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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

第128回月刊「宗教」講座・精進料理教室12時間目

一般的に山寺の裏手は墓地になっていますが、それより奥の山中には三昧所(さんまいしょ)と呼ばれる土葬だった頃に棺桶を埋めた場所があって人間の遺骸の養分を吸った土は非常に肥えていて山菜が見事に生育します。すると何も知らない都市部の人々がハイキングがてらの山菜採りに来て「立派な山菜が採れる場所」として口コミで広まり、山菜の季節になると多くの人たちが押し掛け、歓声を上げながら山菜採りに励みます。
ところが棺桶は中に土を入れて埋葬する訳ではないので土中に空間ができていて足に力を入れると腐った蓋を踏み抜いてしまうことがありました。当然、中には遺骨や埋葬品が入っているのですが都会の人々は気にも留めず帰り際に寺に寄って「裏山に落とし穴が掘ってあった。子供に注意してくれ」と苦情を言っていきました。こうなると山歳採りの人々が返った後、確認に行くのが小坊主の仕事になり、薄暗くなった三昧所を懐中電灯で照らして見て回る肝試しをする羽目になりました。
田舎の地方僧堂も同様だったので立派な山菜が大量に採れて畑で収穫する季節の野菜の端境期には雲衲の食材になっていました。

蕗料理の前に
1、蕗は生のまま皮を剥くと手が真っ黒に汚れてしまう。また剥きにくい。沸騰した湯に30秒程度漬けてから冷水に浸して冷ました後に剥くと手を汚さずに容易に剥くことができる。
2、蕗は水気が多いので煮汁は濃い目に作る。

蕗の青煮

材料(量は使う蕗の量に合わせて)・蕗・砂糖・塩・化学調味料・酢

作り方
1、皮を剥いた蕗を5センチほどの長さに切り揃える。
2、塩と酢を少量加えた水に20分間ほど晒して灰汁(あく)抜きをする。
3、真水に浸しながら水洗いをしてからザルに入れて水気を切る。
4、蕗が完全に浸る程度の量の砂糖と塩と化学調味料で甘辛い煮汁を作り、沸騰させてから蕗を入れて煮る。
5、もう一度、煮立ってきたなら鍋を火から下ろして蕗と煮汁を分けて冷ます。
6、冷めてから再び一緒にして漬けておき、煮汁をよく染み込ませる。
※蕗の青=緑色を残すのがポイント

蕗の昆布巻き

材料(同前)・蕗・なるべく薄い昆布・干瓢(かんぴょう)・料理酒・砂糖・醤油・酢

作り方
1、皮を剥いた蕗を4から5センチほどの長さに切り揃え、しばらく水に晒す。
2、昆布は水に漬けて柔らかくしてから水気は拭かずに竿などで干し、乾いたなら蕗と同じ幅に横切りにする。漬けた水は使うので捨てないこと。
3、干瓢は水に浸して柔らかくしておく。
4、蕗3,4本を昆布で巻き、中央部を干瓢で縛る。
5、昆布を漬けた水に砂糖と醤油と料理酒を同量ずつ入れて濃い目の煮汁を作る。量は昆布巻き全体が浸る程度。
6、煮汁に少量の酢を加えた後、昆布巻きを入れて落し蓋をして煮る。煮立ってくれば弱火にして昆布が柔らかくなるまで煮込む。
7、火を落としてからも鍋で煮汁に漬けたまま冷まし、冷めてから器に盛る。

蕗の揚げ煮

材料(同前)・蕗・油揚げ・昆布出汁・醤油・料理酒・砂糖・竹皮

作り方
1、油揚げを俎板(まないた)の上に広げて擂粉木(すりこぎ)などを転がして潰す。その後、長い一辺を残して切れ込みを入れ、開いて一枚にする。
2、油揚げを湯通しして油抜きする。
3、皮を剥いた蕗を油揚げの幅に切り揃える。
4、竹皮を十分に水に漬けて柔らかくして必要な数量を適当な幅に裂く。
5、蕗4、5本に油揚げを巻き、2箇所くらいを竹皮で縛る。
6、材料が浸る程度の昆布出汁に料理酒と砂糖、醤油を加えて濃い目の煮汁を作る。
7、中火で煮込み、冷めてから一口大に切って器に盛る。

蕗のから煮

材料(同前)・蕗(細いもの=新芽)・料理酒・醤油・一味唐辛子

作り方
1、細い蕗を皮つきのまま3センチくらいに切って30分ほど水に晒す。
2、熱湯に移して5分ほど茹でる。
3、煮汁を半分捨てて料理酒と醤油に唐辛子を加えて汁気がなくなるまで時々かき混ぜながら煮込む。
※醤油だけで味つけして煮込めば「伽羅蕗」と呼ばれる佃煮になる。

蕗の葉の煮つけ=廃物利用料理

材料(同前)・蕗の葉・塩・料理酒・味醂(酒の2割程度)・醤油・化学調味料

作り方
1、茎を取って残った葉を塩水で洗いながら虫が喰った穴などを除く。
2、蓋をしない鍋で葉を薄い塩水で茹で上げてからしばらく水に晒す。
3、固く絞り、5ミリ幅で細かく刻む。
4、鍋で料理酒と味醂を煮立てる。量は葉が全体に漬かる程度
5、葉を入れて弱火で煮込み、煮上りに醤油を差して化学調味料を加える。
※多目の醤油と少々の味醂、化学調味料で煮詰めた佃煮も美味い。

蕗のとうの煮つけ

材料(同前)・蕗のとう(開く前のもの)・味醂・醤油・化学調味料

作り方
1・蕗のとうの一番外側だけを取り除いてしばらく水に晒す。
2・ぬるま湯で茹でる。
3・茹で上がれば水を足して苦味が消えるまで4,5回はぬるま湯から茹でる。
4・蕗のとうが浸る程度の水に同量の味醂と醤油を足した煮汁で煮込む。
5・煮汁が半分程度になったなら化学調味料をふりかけてもう一煮立ちさせる。
6・火から下ろし、冷ましてから別に作った同じ煮汁で煮直す。
※蕗のとうの苦味を消すために何度も煮るが、好きな人は3の茹でる回数を減らす。

128・蕗の青煮蕗の青煮
  1. 2023/08/01(火) 15:11:31|
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第127回月刊「宗教」講座・精進料理教室11時間目

前回は米=飯は托鉢で集め、野菜は自給自足だった地方僧堂で満腹になるための食材だった大根の精進料理でしたが、今回は梅雨時には境内の竹薮でニョキニョキ生える筍を使った精進料理です。ただし、筍は土に埋もれている部分が柔らかくて美味しいので季節になると番人が指名されます。野僧の地方僧堂では支那竹=メンマが得意で好物の中国人の雲衲が筍番に立候補していて猪が喰い荒す音が聞こえると工具室から持ってきた鉈(なた)を持って飛び出して行きました。この雲衲は蝮を捕まえると焼酎漬けにしていましたが流石に猪肉入りの筍鍋にはなりませんでした。
また航空自衛隊の幹部候補生学校がある奈良基地には近くの法華寺の尼僧の墓苑が竹藪だったため大型連休が明けると連日のように筍の炊き込み飯になっていました。これは訓練が本格化する予告のようなものだったのですが、余り精がつく料理とは思えませんでした。ちなみに竹の北限は何故か航空自衛隊の北部航空方面隊と中部航空方面隊のバンダリー(境界線)と同じく岩手県から秋田県の中央部あたりで、そこから北は笹になります。

筍料理で初心者が頭を悩ますのは「灰汁(あく)抜き」なので先ずこれから始めます。
1、皮の剥き方・根の汚れた部分を薄く削ぎ取り、先端部は深く根元は薄く皮の厚さに従って切れ込みを入れ、そこに指を指し込んで一気に剥がすと簡単に剥ける。
2、米の砥ぎ汁か米糠を溶かした多目の水で茹でる。大きい筍は縦に2分して、えぐみを消すには少々の唐辛子を刻んで入れる。
3、沸騰したら中火に弱めて1時間以上は茹でて終わればよく洗ってから水に漬けておく。

筍の葛煮

材料(量は筍の大きさに合わせて)・筍、昆布出汁、醤油、吉野葛(なければ片栗粉)

作り方
1、筍を一口で食べられる程度に厚さ1センチほどの輪切りにする。太い筍は縦に半分、若しくは4分の1に割る。
2、鍋に昆布出汁を材料の八分目程度入れて浸し、そこに砂糖と醤油を1対3の割合で加え(濃い目の方が美味い)、落とし蓋をして煮つける。
3、煮汁が3分の1程度まで煮詰まったら水で溶いた葛粉を加え、汁にとろみが出るまで手早くかき混ぜる。

若筍煮

材料(同前)・筍、若布、味醂、砂糖、昆布出汁、塩,醤油

作り方
1、茹でた筍を一口で食べられる程度に厚さ1センチほどの輪切りにする。同前
2、若布を水で戻して芯の筋を取り、適当にザク切りにする。
3、鍋に昆布出汁を筍が完全に沈む程度まで入れて火にかけ、味醂、砂糖、醤油で好みに味付けする。
4、15分ほど煮たら若布を筍の上を覆うように入れて落とし蓋の代用にして、一煮立ちするまで煮る。
5、盛りつけは皿に筍を並べ、上に若布を広げて煮汁をかける。好みで胡桃などの砕いた木の実をふりかけても美味しい。

筍の味噌煮

材料(同前)・筍、味噌、調理酒、砂糖、胡麻油

作り方
1、茹でた筍を2から3センチの賽の目切りにする。
2、フライパンに多目の胡麻油をひき、切った筍を炒める、
3、味噌を筍の3分の1ほど加えてさらに炒め、調理酒と砂糖を加える。
4、汁の量を増やすために水を足して、そのまま汁がなくなるまで甘辛く煮込む。

筍の美味煮

材料(同前)・(新鮮で柔らかい)筍、醤油、砂糖、調理酒

作り方
1、筍を2センチくらいの厚さに切る。
2、鍋に筍が沈む程度に醤油、砂糖、調理酒を同量で入れ、落とし蓋をして中火で煮る。醤油は半分ずつ始めと終わりに入れた方が筍が軟らかく煮える。

筍と昆布の佃煮風甘辛煮

材料(同前)・使い残しの固い部分の筍、昆布、醤油、砂糖、山椒の実

作り方
1、筍を厚さ5ミリ程度に薄切りにする。全体に小さ目に切る。昆布を幅2センチ、長さ3センチ程度に切る。
2、鍋に筍と昆布、山椒の実に筍が沈む程度の水を入れて弱火にかける。
3、昆布が十分に戻ったところで同量の醤油と砂糖を加える。佃煮風にするのでかなり多目。そのため醤油は3度に分けて入れた方が美味しく仕上がる。
4、汁がなくなるまで煮込む。
番外編・支那竹=メンマ

材料・筍、中華スープ(湯で溶いて1合)、料理酒大匙1、醤油小匙2、味醂小匙2・胡麻油大匙1

作り方
⦁ 茹でた筍を一口大に切り、胡麻油で炒める。
⦁ 料理酒、醤油を加えて中火で煮る。
⦁ 汁気がなくなったら味醂を加えて更に水気を飛ばす。
※中国人の雲衲が勝手に買ってきた中華スープが精進料理に許されるかが議論になりましたがそれなりに美味かったので不問に伏されました。

野草山岳録・小浜の無名&貫君さん
地方僧堂での夜食(ドイツ人と中国人の雲衲と)
  1. 2023/07/01(土) 12:50:25|
  2. 月刊「宗教」講座
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第126回月刊「宗教」講座・精進料理教室十時間目

野僧が修行に上った幾つかの専門僧堂では米は托鉢で集めるものの野菜は雲衲が鋤や鍬や鎌、鎌を使って耕作する水田なしの自給自足でした。そのため野菜で腹を膨らますことになり、中でも大根は食べ応えがあって腹保ちが良く、沢庵を漬けるため大量に作っていたので畑作務に当たると形が歪つな物をもらってきて火鉢に鍋をかけて煮て夜食にしたものです。そんな訳で今回は大根を使った精進料理を紹介します。
大根は厚く切った方が味が染みて美味しいのですが、水から始めて沸騰してからも続けて尖っていない「割り箸」が刺さる柔らかさまで煮るのが基本です。ただし、僧堂では熱源は火鉢の練炭でした。

大根の煮つけ

材料・大根=1本、醤油=適量、砂糖=適量、昆布=1枚。山椒の粉又は七味唐辛子=少量。好みで油揚げを一緒に煮ても美味しい。

作り方
1、大根の皮を剥く。
2、3センチくらいの厚さで輪切りにする。
3、軽く洗う。
4、大根が浸るように冷たい米の砥ぎ汁を入れて強火にかける。
5、沸騰してきたら中火にして楽に箸が通るようになるまで煮る。
6、煮えたら笊にあけ、流水で灰汁などを軽く洗う。
7、鍋底に汚れを拭き取った昆布を敷き、上に大根を載せて水を注ぎ、醤油と砂糖でやや薄目に味を付ける。
8、落とし蓋を載せて中火にかけ、煮立ち始めたら弱火にして一時間ほど煮る。
9、皿に盛って山椒の粉や七味唐辛子をふって食べる。
※多目に作って余りを煮直すと更に美味くなる。

大根の油煮

材料・大根=1本、醤油=適量、食用油=600cc

作り方
1、下ごしらえは煮つけの一から六と同じ。
2、鍋に食用油(使い回しで可)と大根を入れてかき混ぜながら加熱する。
3、大根が透明になってきたら大根の七分目まで冷水を注ぎ、醤油で味をつける。
4、二時間ほど煮込む。自然な甘みが出る。

大根の柚子味噌煮

材料・大根=1本、柚子=1個、味噌=適量、昆布=1枚、砂糖=適量

作り方
1、下ごしらえは煮つけの一から六と同じ。
2、昆布出汁で濃くて甘味をつけた味噌汁を作る。
3、柚子を卸し金で擦って味噌汁に加える。
4、大根を入れて弱火で煮込む。

大根の炒め煮

材料・大根=1本、醤油=適量、胡麻油=適量、化学調味料=適量、七味唐辛子又は炒り胡麻=少々

作り方
1、5センチの長さに胴切りにした大根を厚さ3センチに輪切りにして、さらに1センチ幅に短冊切りする(大根は皮を剥かないで可)。
2、大根の短冊を濃い塩水に20分ほど漬ける。
3、大根を布に取って揉むように搾って水気を抜く。
4、大根を胡麻油を引いたフライパンで炒める。
5、途中で醤油と砂糖を加え、大根から出た汁と一緒に炒めながら煮る。
6、大根に適度の固さが残る程度で終わり、器に盛って七味唐辛子や炒め胡麻をふりかけて熱い間に食べる。

廃物利用?大根の皮の金平

材料・大根の皮=150グラム(2分の1本分)、胡麻油=小匙1杯、醤油=大匙1杯半、砂糖=大匙1杯、唐辛子=適量、禁じ手で調理酒=大匙2分の1杯

作り方
1、大根の皮を長さ五5センチ、幅5ミリ程度に切り揃える。厚めに剥いた方が独立したオカズになる。
2、調味料を混ぜ合わせる。
3、胡麻油を引いてフライパンで炒める。
4、皮が透明になり、多少焦げ目がついたら調味料と唐辛子を加えて炒めながら煮る。
5、汁がなくなるまで加熱してでき上がり。好みで炒り胡麻をかけても可。
126・大根の皮のキンピラ大根の皮のキンピラ

  1. 2023/06/01(木) 14:32:38|
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第125回月刊「宗教」講座・精進料理教室9時間目

これまでは今時の若い修行僧が精進料理では我慢できずに考案した「もどき」料理シリーズでしたが、今回からは本山で食べた本格的精進料理の初級編の第1回として「豆腐の磯部焼き」です。
野僧はこの精進料理については曹洞宗の大本山・横浜の總持寺と鎌倉の臨済宗の某本山の坐禅会で食べたことがあり、作り方は口頭で聞いただけですが、自坊で試作してみると意外に美味しくできあがりました。作り方は2種類あります。

材料(1人分)
木綿豆腐=2分の1丁、焼海苔=1枚、片栗粉=大匙2杯、醤油=大匙1杯、味醂=大匙1杯、胡麻油=大匙1杯、小麦粉=大匙2杯(作り方・乙のみ)、麺つゆ=大匙1杯(作り方・乙のみ)、青葱=20グラム(作り方・乙のみ)

作り方・甲
1、 豆腐に皿などの重しを載せて水分を絞る。
2、 醤油と味醂を混ぜてタレを作る。焼海苔を豆腐の大きさに切る。
3、 水分を絞った豆腐を4分の1の大きさに切る。
4、 豆腐に片栗粉をまぶして海苔を巻きつける。この時、海苔の端を下に置く。
5、 熱したフライパンに胡麻油を引き、海苔の端を下にして焦げ目が着くまで焼く。
6、熱いうちにタレにつけて食べる。

作り方・乙
1、 豆腐に皿などを載せて水分を絞る。ただし、甲ほど絞り切る必要はない。
2、 醤油と味醂を混ぜてタレを作る。焼海苔を豆腐の大きさに切る。
3、 水分を絞った豆腐に小麦粉と麺つゆ、刻んだ青葱を入れる。
4、 泡立て器で擂り身状になるまでよく混ぜる。
5、 切った海苔に混ぜた豆腐をスプーンなどで載せて巻く。
6、 フライパンに胡麻油を引いて海苔で巻いた豆腐を入れ、蓋をして中火で3分ほど焼く。その後、ひっくり返して裏面を焼き、側面もフライパンの縁を利用して焦げ目をつける。
7、 熱いうちにタレにつけて食べる。
125・豆腐の磯部焼き豆腐の磯部焼き(作り方・乙)
  1. 2023/05/01(月) 15:29:02|
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第124回月刊「宗教」講座・精進料理教室8時間目

バブルの狂乱景気になると寺の跡取りたちも檀家に学費を出してもらっていながら東京や横浜、京都や名古屋などの都市部にある宗派の大学を卒業すると本山や地方僧堂での修行を嫌ってそのまま都会の会社に就職するようになりました。勿論、跡を取らなければ父親が住職としての勤めを果たせなくなると両親が寺を追い出され、高齢で路頭に迷うことになるのは承知していましたが、若い間は大学の仲間たちと同様に都会生活を満喫したかったのでしょう。そんな訳で地方僧堂では若い修行僧が好む料理を精進で工夫するようになり、そんな中で生まれたのが「スパゲティ・納豆と茸ソース」です。
日本の佛教では生活空間であり、坐禅を組む僧堂と風呂の浴司(よくす)、便所の東司(とうす)を三黙堂と呼んで会話や発声を禁じていますが、配食・配膳の便や衛生管理のため設けられている食堂(じきどう)でも会話や発声は勿論のこと食器を置く音や沢庵などをかじる音、汁をすする音まで禁じられています。ところが麺類だけは対象外で、雲衲たちは日頃、無音での喫食に気を使っている鬱憤を晴らすかのように轟音を立てて麺をすすって一気喰いするのです。そのため麺類は人気メニューなのですが、現代の若者には和食の饂飩や蕎麦、素麺よりも中華のラーメンや洋食のスパゲティの方が好まれるので地方僧堂としては精進料理で出す工夫をすることになりました。ただし、パスタには卵黄が使われているので厳密に言えば曹洞宗式の精進料理にはなりません。

材料
スパゲティ・パスタ=100グラムから200グラム
ひき割り納豆=1パック(調理担当者によっては通常の納豆の場合もある)
しめじまたは舞茸、椎茸(好みの茸)=適量(少な目の方が無難)
醤油=大匙2分の1(付いている出汁でも可)
マーガリン(バターの方が美味いが乳製品なので)=10グラム
オリーブオイル=大匙1杯
刻み海苔または青紫蘇=適量
粗挽き胡椒と塩=各小匙2杯
塩=適量

調理法
1、 スパゲティを大きい鍋で塩を入れた多めの湯で茹でる。
2、 海苔または青紫蘇を細く刻む。
3、 椎茸は刻み、その他の茸はそのままマーガリンで炒め、塩・胡椒をふる。
4.醤油を混ぜて納豆を練る。回数に指定はない。
5、茹であがったパスタの湯を切り、器に入れてオリーブオイルに絡める。
6、パスタの上に炒めた茸を敷き、練った納豆を載せ、その上に刻んだ海苔または青紫蘇を被せる。
7、調理担当者によっては頂上に大根おろしや鶉の卵を載せていた。
124・スパゲティ納豆と茸ソーススパゲティ・茸と納豆ソース
  1. 2023/04/01(土) 15:33:22|
  2. 月刊「宗教」講座
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