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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

振り向けばイエスタディ252

会場を見渡すと談笑しているのは私以外数人だけで、殆どの海兵隊員と陸上自衛官たちは仲間同士で集まって酒を飲んでいてややシラケ始めている。
その時、パーティー会場のどこからともなく「レッツ シンガソング(歌うかァ)」「US
マリンコー ソング」と言う声が上がり、海兵隊員たちは肩を組んで合唱を始めた。
「From the hall of Montezuma,To the shores of Toripoli・・・」これはアメリカ海兵歌「マリーンズ ヒム(海兵隊賛歌)」だ。私も普天間の連中から習ってよく知っている。確かに日米協同訓練の打ち上げでは空軍にしろ海兵航空隊にしろ軍歌を必ず唄うようだ。
「We fight our country’s battle,In the air, on land and sea.」私も1人で口ずさんでいると海兵隊員たちが手招きをして肩を組んできた。
「We are proud to claim the title of United Stats Marine」最後まで歌い上げると私は海兵隊員たちから拍手喝さいを受け、バーボンが残っているグラスにビールを注がれ、口に含むときついビールと言うような不思議な味がした。
「ジャパンも歌え」「歌え、アーミー」「ジャパン アーミー ソング」海兵隊員たちからリクエストが起こったが陸上自衛隊歌を誰も知らなくて隊員同士で顔を見合わせている。そこで私はグラスのビールを飲み干すと大声で歌い始めた。
「万朶の桜か襟の色 花は吉野に嵐吹く 大和男の児と生れては 散兵戦の花と散れ」これは我々普通科部隊の先輩にあたる帝国陸軍歩兵科の軍歌「歩兵の本領」だったが部内出身の同期も知っていて一応は合唱になる。
「退く戦術われ知らず、知るや歩兵の操典を 前進前進また前進、肉弾届くところまで」歌い切ると大きな拍手が起こった。私は海兵隊員たちに囲まれてさらにビールを注がれた上、歌詞の意味を訊かれたが酔いが回って英訳に苦労した。
「これだけ盛り上がったパーティーは珍しいよ。モリヤ3尉の英語力と社交術は大したもんだ」部隊に帰るバスの中で主任教官が感心したように誉めてくれた。

部内課程の候補生たちは陸曹時代に着用していた制服で入校し、卒業後の任官時に更新されるため襟に幹部候補生徽章の穴がない幹部専用になるが、入隊して1年の我々は更新には該当せず、そのまま肩に階級章を付けるしかない。
このため幹部候補生学校に注文を取りに来る専門業者で私物の制服を作ることが一般的なのだが、今年はそれがなかった。と言うのも1年後の平成3年から制服が全面改定になり色からデザインまで一新されるのだ(WACはダブルからシングルになる)。
新しい制服の写真は見ているが私はあまり好きではなかった。何よりも生地が安っぽい緑色で肌が黄色いアジア人には似合わない(和服でも緑系は萌黄色と浅葱色)。同じ緑色なら第302保安中隊の特別儀仗用の黒に近い深い緑色の方が風格があって良いと思う。
私個人としてはスターウォーズの帝国軍の軍服が好きなのだが、それは時代が進み過ぎだろう(スターウォーズの時代設定は遠い過去だが)。
  1. 2015/10/24(土) 09:07:45|
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