fc2ブログ

古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

11月6日・松田優作の命日

1989(平成1)年の明日11月6日は下関が生んだ俳優・松田優作さんの命日です。
ただ松田優作さんは生前「下関の話はしたくない」と言っておられたそうで、俳優になるために上京し、有名になってからも帰省せず、これほど地元贔屓する土地柄の割にはあまり脚光を浴びせていません。
アメション女優※の田中絹代は市立の分不相応に立派な記念館を作っていながらです。
その理由としては優作さんが生まれ育った街が下関でも遊郭があった場所であり(昨年の芥川賞を受賞した田中慎弥さんの小説「共喰い」の舞台にもなった)、貧窮を極め、差別を受ける立場であったことが影響しているのかも知れません。
野僧の年代で優作さんと言えば、やはり「太陽にほえろ」のGパン刑事ですが、その殉職シーンで腹を撃たれて上下白のGパン、Gジャンを真っ赤に染め、流れ出る血を両手で受けて「何だこりゃあ」と叫ぶリアルな演技に息を飲んだことを覚えています。そして仰向けに倒れ死ぬ前に「シンコ」と婚約者(関根恵子さん)の名を呼びながら煙草をくわえ、、その煙草が倒れて死を暗示する演技は中学生ながらも涙しました。
その後の探偵物語などは映画館では見ませんでしたが、本格的なファンになったのが夏目漱石原作の「それから」で、アクションなしの淡々とした人間模様が続く中、主人公の心理の変化を見事に演じていて感激し、当時は高価だったビデオを買ってしまいました。
したがって遺作となった「ブラックレイン」も公開を待って鑑賞し、その鬼気迫る演技は完全に他の役者を圧倒していて、感激するよりも「優作さんは大丈夫か=尋常じゃない」と心配になりました(田宮二郎さんがドラマ「白い巨塔」で尋常ではない演技を見せた後、自死したことを思い出して)。
没後の追悼番組で癌に侵されながらも治療を拒んで撮影に臨んでいたと言うことを知り納得しましたが、自らの仕事に殉じた生き様=死に様は、死に損なって生き恥をさらしている野僧には惜しいと言うよりも羨ましい気持ちが強いです。
この島(本州)の西の果て下関は高杉晋作や松田優作の如く燃え尽きるように生きる男の土地なのかも知れません。だからそうしたいのですが・・・。

※アメション女優=田中絹代がアメリカから帰国した時、飛行機のタラップから下りながら投げキスを繰り返し、記者会見も下手な英語で受け答えしたことから「アメリカで小便をしてきた程度でハリウッド女優になったつもりか」と揶揄された。
  1. 2012/11/05(月) 08:43:35|
  2. 日記(暦)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<11月7日・からくり儀右衛門=田中久重の命日 | ホーム | 11月5日・大村益次郎=村田蔵六の命日>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://1pen1kyusho3.blog.fc2.com/tb.php/319-d732d7b8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)