fc2ブログ

古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

9月14日から16日=今年の秋夕(チュソク)

9月14日から16日は今年の韓国の祝日・秋夕です。わざわざ「今年の」と断るのはこの祝日が太陰暦の8月15日に前後1日を加えた3日間であるためで、韓国では太陰暦を太陽暦のカレンダーに当てはめて祝日としています=日本の夏季休暇にあたる。
秋夕には墓前で「祖先崇拝」の儀礼が行われるので日本の盂蘭盆会と同じ由来なのかと勘違いしてしまいますが、佛教の盂蘭盆会は本来、太陰暦の7月15日に行われていたのを明治5年12月3日(=太陽暦の1872年1月1日)に太陽暦へ移行して以降、「1カ月前倒しでは季節感が合わない」と夏真っ盛りの8月15日にずらしただけなので8月15日では日付が合いません。
そもそも秋夕は儒教の儀礼なので墓前での作法は三跪九叩頭(さんききゅうこうとう=立った姿勢から土下座して頭を3回床に叩きつける動作を3回繰り返す)など立ったり座ったりの繰り返しであまり落ち着かないようです。
中国の祖先供養の祝日は太陰暦の4月5日から4月7日あたり(数日の誤差がある)の「清明節」ですが韓国では採用されていないようです。沖縄では「シーミー祭」として行われていますが。
日本では太陽暦に移行してからもカレンダー通りの7月15日に行っている盂蘭盆会を「新盆(にいぼん)」と呼びますが、これは太陰暦の7月15日、実際は太陽暦の8月15日に盂蘭盆会を行っている地域を「旧盆=旧来のお盆」と揶揄した言葉の対比語であって、本来は太陰暦・太陽暦の7月15日までに四十九日を終えた魂魄を新たに迎える盂蘭盆会を意味し、誤用に近いのです。
それでも東京の官公庁やマスコミは太陽暦の「7月15日が盆である」と強弁しており、新聞などの「今日の出来事」欄などでは7月15日が盂蘭盆会、8月15日は「敗戦の日」のついでに「旧盆」と書いてあります。
野僧は浜松の寺の管理人をやっていた頃、市内の佛具店が7月から8月まで2ヶ月間も「お盆セール」をやっていることで興味を持ち、全国各地の同じ業界の友人に確認してみたのですが、太陽暦の7月15日に盂蘭盆会を行っている地域は東京でも23区と周辺の市までで多摩や伊豆・小笠原諸島では8月15日か太陰暦の7月15日でした。神奈川県では横浜市(川崎市は「大師さんが旧盆だからウチも」だそうです)、この他には石川県金沢市、静岡県静岡市(静岡県内では戸主の出身地で両者が混在している)、栃木県栃木市の県庁所在地3つと北海道函館市、富山県白山市でも旧市街くらいで、多数決で言えば8月15日か太陰暦の7月15日の圧勝です。
野僧の経験で言っても西方浄土から魂魄さん御一行様のお盆ツアーが行われるのは太陰暦の7月中旬ですから、季節感を尊重した地方の人たちの方が正しかったのは間違いありません(と言うよりも尊皇攘夷と文明開化を一緒にした明治政府の宗教政策は全て間違っていた!)。
日本では盂蘭盆会の期間中、京都では「おばんざい」と呼ばれている精進料理を食べる風習がありますが(このため素麵がお寺の供物になる)、韓国の秋夕では里芋の団子や汁を食べるようです。季節的には日本の月見団子に重なりますが、韓国人の友人に尋ねると何でも「日本の文化は韓国の物真似」と言われるので関連は調べていません。
祖先供養の他に収穫祭の意味合いもあるようで、家々の墓参がすむと相撲や綱引き、農楽の演舞会など地域の祭礼・行事が目白押しのようです。
ちなみに「春分の日」「秋分の日」は佛教の春秋彼岸なのかと勘違いしていましたが、どちらも神道の皇霊祭に由来するそうで、こうなると日本の戦前からの祝日は神道の行事・儀礼のみと言うことになります。それも太陰暦の行事を太陽暦でやるから季節感が滅茶苦茶になっており、その点では伝統を正しく継承している韓国の方が立派です。
  1. 2016/09/14(水) 08:58:43|
  2. 日記(暦)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<振り向けばイエスタディ579 | ホーム | 振り向けばイエスタディ578>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://1pen1kyusho3.blog.fc2.com/tb.php/3388-312298a9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)