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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

月刊「宗教」講座・番外編・普通のお盆

当・長門地区でのお盆は日本の標準から完全にかけ離れているので、確認の意味を込めて紹介したいと思います。
先ず、お盆に入ると縁側などに盆棚を設け(卓机で代用することも多い)、そこに佛壇の中身を並べて年に一度の風通しをします。これは寺の坊主がお盆に檀家を回る本当の目的はキリシタンの取り締まりだったため漏らさず回らなければならず、草鞋を脱いで家に上がることなく庭から確認できるようにするためのものでした。ついでに言えば隠れキリシタンが家が中を点検させないための予防策とするうがった見方もあります。そして何よりも浄土から帰って来られた祖先たちが気軽に宿ることができるようにする心配りなのでしょう(当地ではやっていません)。
また割り箸を使って胡瓜の馬と茄子の牛を作りますが、これはご先祖さまが早く帰って来られるように馬、ゆっくり帰って往くようにと牛なのです。昔はお盆が過ぎると川や海に流したものですが、最近は環境破壊になると禁止されている地域も多く(昔は七夕の笹も川に流していた)、「どうか快適な旅を」とミニカーを盆棚に供える家も珍しくなくなっています。それどころか「天から帰ってくるのだから」と飛行機やスペースシャトルの模型だったりしますから形式化と同時に楽しんでもいるようです(当地でも昔はやっていたそうですが、今は絶滅しています)。
そしてお盆の入りの夕方に門の前や玄関先で家の目印に迎え火を、お盆明けの夕方には送り火を焚きます。送り火については「煙に乗って魂魄が天に昇って行く」「振り返ったご先祖さまが判るようにする目印」などと説明している坊主もあります。さらに本州の最北端の大間では迎え火に代えて墓地で花火大会を繰り広げ、留守になった墓石の上でドラゴンを噴射させ、花筒に打ち上げ花火を入れて大騒ぎします(当地ではやっていません)。
こうしてご先祖さまを迎えると子孫=家族は精進潔斎して過ごし、料理は「お盆菜」と呼ばれる殺生につながる肉魚を使わない献立になります(添付した献立表を参考のこと)。ただし、姑から家伝の精進料理を習っていない奥さんたちは椎茸や昆布の出汁で作った麺汁の野菜の天婦羅を載せた素麺でお茶を濁しているようです(当地ではやっていません)。
お盆と言えば坊主の檀経=檀家回りですが、佛祖以来の伝統では施餓鬼供養と祖先供養の2つの法要を勤めるものです。施餓鬼供養ではお洗米(水の子とも呼ぶ)と言う洗った米を蓮や里芋の葉の上に置き、呪文で念を入れてから庭に撒いて餓鬼に施します。中には室内に撒く坊主もいますが、それも掃除機ではなく箒で塵取りに集め、庭に撒かなければなりません。ただし、節分ではないので投げ捨てるのではなく池の鯉に餌を与えるように撒きましょう。ところが当地の浄土真宗の寺院は「念佛で必ず極楽往生できるのだから餓鬼などは存在しない」と言う屁理屈を弄して施餓鬼供養はやっていないのです。しかし、街を見れば欲望に囚われた餓鬼たちが溢れ、実際に小庵には姿を現すこともあります。佛祖は「そんな餓鬼たちにも慈悲を与えよ」とこの呪文を教え、法要を勤めるように勧めたのですから、それを拒否できるほど親鸞は偉いのでしょうか。当地の曹洞宗でも施餓鬼供養(曹洞宗では施食供養と呼んでいる)の呪文「甘露門」の後には祖録と呼ばれる「参同契(さんどうかい)」「宝鏡三昧(ほうきょうざんまい)」を勤めるのが作法ですが、普段は使わないお経を覚える手間を省くため法事で勤める「修証義」第2章「懺悔滅罪」で誤魔化しているそうです。
もう1つの祖先供養については初盆の家では親族も集まり、49日や1周忌のような法要になります。そうして坊主の読経が終わり、送り出すとその足で墓参りになるのです。ところが当地ではこの習慣さえなく、「墓を管理するのは年寄りの仕事」とばかりに暑い中、高齢者が草を抜き、掃除をして、1人でお参りしています(高齢者が管理している墓は日頃から手入れが行き届いているのでそれほど時間はかからない)。
普通、田舎の方が伝統の継承として古くからの宗教儀礼が残っていたり、独自の発展を遂げているものですが、当地では祖先供養の必要性そのものを認めておらず快楽に溺れ切っています。この地域の住民の大半は門徒なのですから浄土真宗の責任は大きいはずです。
何にしてもこのような宗教意識の持ち主たちが国家権力を握ったのですから「廃佛毀釋」で国家を破滅に引き込んだのでしょう。
盆棚
  1. 2017/08/16(水) 09:15:05|
  2. 月刊「宗教」講座
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