古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

相次ぐフランスの大女優の逝去を悼む

7月31日に「死刑台のエレベーター」や「恋人たち」「雨のしのび逢い」などの名作に出演していた大女優・ジャンヌ・モローさんが亡くなって残念に思っていたら、1カ月も経たない8月27日に今度は「恋するガリア」や「ウィークエンド」のミレーユ・ダルクさんの訃報が届きました。
フランス映画は豪華な出演者と巨大セット、過剰な演出による迫力で圧倒するハリウッド映画とは違い日本の名作路線にも通じる複雑なストーリーと微妙な心理描写で魅せる作品が多く、出演者にも高度な演技力が求められているようでした。また自由奔放で醜聞=スキャンダルを繰り返すハリウッド女優に比べて文化人としての自負があるのかその点でも安心できました。さらにラテン民族であるフランスの女優さんの容貌は明らかに人種が違うハリウッド女優とは違い日本人女性と共通する雰囲気があり、ファンよりも一歩踏み込んだ憧れを抱いている友人たちも多かったようです。
ジャンヌ・モローさんとミレーユ・ダルクさんの他にもカトリーヌ・ドヌーブさん、アンナ・カリーナさん、ロミー・シュナイダーさん、イザベル・アシャーニさん、ナタリー・ドロンさん、何よりもブリジッド・バルドー(B.B.)さんは小父さんたちを虜にして放さなかったようです。野僧個人としてはジョアンナ・シムカスさんが好きでした。
そんなフランス映画の多くを野僧は国際通りの映画館の地下にあった古典リバイバル作品専門の映画館で鑑賞しましたが、その中でも「死刑台のエレベーター」は強く印象に残っています。
ジャンヌ・モローさんは社長夫人でありながら夫が経営する会社の社員と恋愛関係にあり、その恋人が夫を会社で自死に見せかけて殺し、ジャンヌさんとの待ち合わせ場所に向いますが、証拠になる点に気づいて引き返したところエレベーターに閉じ込められてしまうのです。証拠が見つかれば殺人犯として逮捕される。しかし、必ず見つかるとは限らない。閉鎖された狭い空間で焦燥と不安に苛まれる恋人。ようやく交わした約束の時間になっても姿を見せない恋人に思いを巡らしながら夜の街をさまようジャンヌさんが電話で会話を楽しむだけの関係(現在で言えばメル友のようなもの)だった相手の素顔を知る。恋人はエレベーターの中で多くのことを失う死刑を執行されるのです(当時のフランスの死刑がギロチンだったことを考え合わせるとより恋人にとっての悲劇が際立ちます)。好演が光りました。
ジャンヌさんはパリ市内の自宅で倒れて亡くなっているところを家政婦に発見され、その後、死因は老衰であることが居住地の区長と代理人から発表されたようです。89歳でした。しかし、老齢になっても若い頃と変わらぬ美貌を保っており、40歳に差し掛かった頃から著しく劣化する(顔の厚化粧だけでなく体型も)アメリカの女優たちとは何かが違うようです。
一方のミレーユ・ダルクさんは映画の方は出演作、監督としての作品のどちらもそれ程、印象に残っていませんが、ナタリー・ドロンさんと同様に俳優のアラン・ドロンさんのパートナー(事実上の妻)であったことが映画雑誌で報じられていたので憶えています。
考えてみると日本で人気があった往年のフランス女優の多くはアラン・ドロンさんと共演した作品を切っ掛けにしていて、日本人の間では「フランス映画=アラン・ドロンさん」と言う固定観念ができていたのかも知れません、
ミレーユ・ダルクさんはそのアラン・ドロンさんに看取られながら亡くなったそうですから、女性としては幸せな人生だったようです。
亡き妻との思い出を作ってくれた女優さんたちに感謝しつつ「あちらで握手を求められれば応じてやって欲しい」とお願い申し上げます。
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  1. 2017/09/04(月) 09:27:10|
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