古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

振り向けばイエスタディ957

2人で紹興酒の600cc1本を空にするまで飲んでも別段、何も起こらない。すると酔いが回り始める頃、志玲の方が内面から沸き起こる衝動を必死に押さえているような表情になった。その額には低めの室温では不自然な汗がにじんできている。
「ジィリン、悪酔いしたのか。少し飲ませ過ぎたのかも知れないな」倉田が声をかけても志玲は黙って首を振るだけだ。その表情はイギリスのMI6から入手した自白剤を試した時の同僚たちと同じだ。であればこの女をどのようにも操ることができる。倉田は立ち上がると椅子に座り両腕で自分の身体を固く抱き締めている志玲の背後に立ち、顎を掴んで顔を向け肩越しに口づけした。
倉田は放心している宮志玲を抱き上げると居間と寝室をし切っている壁のドアを開け、ベッドに横たえた。そしてベッドに背中を向けて座り、逆ハニー・トラップの用意を始める。セカンド・バッグから杉本を通じて入手した媚薬を入れた100円ライターを取り出して底の蓋を開け、すでに臨戦態勢に入っている男性自身にかぶせた避妊具の上に塗った。後は世界の要人たちを虜にしている中国のハニー・トラップで久しぶりにアジア人の女を堪能するだけだ。
「ジィリン」恋愛感情を演出するために優しく声をかけてから掛け布団をめくり、仰向けになったまま人形のようになっている志玲を全裸に剥いた。つれ合いの黒い肉体とは別の生物のような艶やかな肌で覆われた芸術作品が現れた。ルーム・ライトで映し出されたその肌は真珠のような光りを放つ。乳房は美しい円錐形を描いており、その頂部には肌色の小さな乳頭が飾られてある。
倉田は志玲の腰の上に膝を立てて座ると両手で乳房を掴んだ。肌が掌に吸いつくようで、弾力も重みよりも柔らかさを感じる。倉田は大学時代、そして自衛官の頃に抱いた日本人女性たちの顔を1人1人重ねながら念入りに身体を弄んでいった。それでも動かない志玲の唇を吸い、舌を差し入れると突然、火が点いたように反応し始めた。
「ウォ・デ・ヂュウレン(我的主人=ご主人さま)」そう言いながら上になり、倉田の首筋から胸、脇の下から腰に唇を這わす。志玲の長い髪が滝を下から見上げているように顔にかかってくる。しかし、口腔性交で避妊具を外されることはできない。倉田は志玲の腰を手で持ち上げると下から男性自身で深く突き上げた。

倉田はホテルに帰ると自白剤を投与された時の軽度の薬物中毒者を演じた。本当はホテル付の政治局員がしかけたハニー・トラップ=宮志玲の方がナチス・ドイツが開発した現代の媚薬に酔わされて人格が破綻したのだが、まだそれを感づかせる訳にはいかない。
「お客さま、気分が悪そうですが大丈夫ですか」「うん、酒を飲み過ぎたのかも知れない。紹興酒って言うのは度数の割に効くんだな」一般的な紹興酒である元紅酒の度数は17度前後だが、薬物を投与されたことに気づいていない振りをするにこれしかないだろう。
「そうですか。医師は帰ってしまいましたから、備えつけの酔い覚ましの薬をお出ししましょうか」「大丈夫、酔いくらいは朝まで眠れば醒めるだろう。明日の撮影の時間を遅らせればすむ話だ」「それでは朝食の時間はお客さまだけ延長しておきます」このホテルに滞在して初めて行き届いたサービスを受けているような気がする。倉田はフロントの申し出を強がりのような口調で断ると少しふらついたような歩調でエレベーターに乗り部屋に戻った。このホテルは室内にまで防犯名目の監視カメラが設置されているので演技はベッドに入るまで続けなければならない。
倉田は媚薬の効果で悶え狂った志玲を堪能し終えた後、ホテルの政治工作員に電話をさせていた。
「砂狐です。仕事を終えました」どうやら珍獣・チベットスナギツネが宮志玲の陰名のようだ。
「自白剤を飲ませて寝物語で尋問しましたが、山岳写真家以外の素性は出てきませんでした。はい、はい。間違いないようです」志玲の表情が冷静に戻りかける度に倉田は背後から身体を刺激した。今回の逆ハニー・トラップで性感帯は知り尽くしている。志玲は身悶えしながらも声は平静を保ち、報告を終えた。それがフロントの対応につながったようだが、それにしても薬物で酔わせられながらも正気を呼び戻して報告した宮志玲の精神力には驚くしかない。逆にナチス・ドイツが化学技術を結集して開発した媚薬の効果も緩和させる予防薬を中国が開発しているとすれば全ては発覚する。そうなれば中国の拷問が待っているのは間違いない。その恐ろしさを考えると逮捕される前に自ら命を絶つ方が賢明だ。倉田は飛び降りられるように窓の鍵を開けて寝ることにした。
お・宮志玲イメージ画像
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  1. 2017/09/25(月) 10:31:44|
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