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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

振り向けばイエスタディ1330

「直接、接触って雀山辛(かのと)は中国語ができるのか」本間の唐突な情報に杉本は先ずこの点に疑問を感じた。確かに辛は上海出身のはずだが年齢的に見て幼い頃には日本に帰国しており、中国語を修得することは無理ではないか。また雀山がアメリカ留学中に友人が生活の面倒をみさせた妻であった辛と不倫関係に陥って駆け落ちした痴話は以前、このメンバーの誰かから聞いた気がする。それを考えると英語力には問題がなくても中国人の記者と通訳抜きで密談できるほどの中国語力を有しているとは思えない。
「辛の父親は本名をキム・ジョンウォンと言う半島北部出身の朝鮮人で、日韓併合で日本国籍を取得してからは日本名で通したようです。上海で貿易会社を起こしてアメリカ国籍も取得していますから家庭内で英語と朝鮮語、中国語を学ぶことは十分に可能です」「「それは国務省から仕入れた情報だな」「はい、やはり国務省も自民党の創設者の孫であり、元大蔵官僚の保守派政治家の息子でもある雀山の変質の原因を探っているようです」本間は意外なほど簡単に情報源を認めた。岡倉や松本もここでは比較的正直に情報を入手した経緯などを説明するが杉本は公言できないような手段を用いることが多いため事実の説明のみに留めている。つまり本間も同志と呼べるような存在を国務省内に造り、連携を取るようになっているようだ。杉本は自分の常套手段に重ねて「何人に抱かれたんだ」と訊きたくなったがそこは控えた。
「辛の父親は敗戦直後にアメリカ国籍を取得していたことを利用して渡米しています。そうして日本で不足している物資を買いつけて輸出することで巨万の富を稼いだんですが、その頃に在アメリカ中国人と朝鮮人にも商売上の人脈を作っていたのは間違いありません」「大体、反米意識が高まっている時期にアメリカ国籍を取得すること自体が島国根性丸出しの日本人には有り得ない国際感覚じゃあないか」思いがけず杉本の賛同を得て本間も少し表情を緩めた。本間にとって杉本は自分の甘さをあげつらって傷つけられるだけの忌むべき存在なのだ。
「アメリカの大統領は予備選挙の段階からスキャンダルの暴露合戦を繰り広げるから家族の出自や経歴の瑕疵などは格好の攻撃材料なんだが、日本のマスコミは野党の党首の個人情報は全く報じようとしないからな」ここで岡倉が話に加わってきた。岡倉自身も陸上幕僚監部調査部で勤務している時に自社さ連立の村山政権が成立して社会党が与党になったため内局の官僚たちが政策資料として秘密文書の提供を要求され、それに応じていたのを目の当たりにしていた。そこで中央調査隊の友人と私的に社会党の議員たちの素性を探ったのだが主要幹部の大半が在日朝鮮人や帰化朝鮮人であり、事実上の朝鮮労働党日本支部であることが判明した。村山首相の次に社会人民党の党首となる土肥たか子の本名は李高巡(巡は誤変換)、現在の徳島水子も趙春華(華も同前)だがマスコミは知っていても報じていない。
「そう言えば雀山については妙な噂があるんですよ。あくまでも噂ですが・・・」ここで松本も加わってきたが、ここまで「噂」を強調すると言うことは裏づけが全く取れていないようだ。
「雀山由紀夫は父親が大蔵官僚時代に愛人にしていた在日朝鮮人に生ませた子供でまだ子供がいなかった正妻を説得して長男にしたと言うんです。医者に出生届を偽造させることくらいは首相の息子のエリート官僚ですからお茶の子さいさいでしょう」「確かに弟は全く顔が違うもんな」「性格も真逆だしな」男3人は盛り上がったが話はかなり反れてしまったので本間は困った顔をしている。そこで杉本は岡倉と松本の顔の前に手をかざして続きを始めさせた。その意外な心遣いに本間は困惑した表情を見せたが変に気合いを入れてから話を始めた。
「今回、外務省は訪米と言うことで英語のスぺシャリストを同行させたんですが、辛は彼らの頭越しに女性記者の直接取材を受けて中国語で話し込んでいました」「日本のSPは制止しなかったのか」「辛の方が手招きしたんでは無理でしょう」これには杉本も唖然とするしかない。取材で同行している日米のマスコミ各社がここまで不審行動を公然化していても疑問すら報じないのは何らかの圧力が加えられている可能性すらある。中国は国費を在住華僑に流して各国の大手マスコミの株式の購入を進めているが流石に全社と言うのは無理だろう。
「遠巻きにしていて2人の立ち話の内容が断片的に聞こえたんですが、オバマとの対話の詳細説明と中国共産党の意向の伝達だったようです」「雀山も『自分は英語に堪能だ』と言って外務省の通訳を介さないでオバマやサミット参加国の首脳と直接話していたが、何を言っていたのか判ったものじゃあないな」「問題は雀山にオバマに突きつけられた不信を深刻に受け止めるだけの常識があるかですね」本間の説明を聞くのは2度目のはずの岡倉と松本が再び加わってきた。確かにここまで非ではなく異常識ではまともな判断は期待できそうもない。
「それなら今田(本間の偽名)も中国語で突撃取材を敢行すれば本性を暴けるかも知れないぞ」珍しいことに杉本がジョークを口にした。果たしてこれはジョークなのか本気なのか・・・。
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  1. 2018/10/03(水) 10:17:46|
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