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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

10月5日・強姦殺人の代名詞・小平義雄の死刑が執行された。

昭和24(1949)年の明日10月5日に戦中・戦後にかけて10名もの女性を強姦、殺害して強姦殺人事件の代名詞になっていた小平義雄死刑囚の確定刑が宮城拘置所で執行されました。実際、8人の女性を殺害した大久保清死刑囚(昭和47年1月22日に執行)も「群馬の小平」と呼ばれていたようです。
1回目の犯行は戦時下の昭和20年5月に小平死刑囚が勤めていた品川の海軍第1衣糧廠の女子寮に侵入して21歳の女子工員を強姦、殺害しましたが、憲兵隊が別の工員を疑って取り調べを始めたため退職して逃亡を図り、逮捕後の自供で発覚したのです。2回目は同年6月に食糧の買い出しに東武鉄道で栃木駅に来ていた31歳の女性を「知り合いの農家に案内する」と誘って山林に連れ込んで3度強姦した上で殺害し、食料の代金として持っていた70万円も奪いました。3回目は同年7月で食糧の買い出しのため渋谷駅に来ていた22歳の女性を同じ手口で誘って山林に連れ込みましたが、女性が小刀を出して抵抗するとこれを奪って強姦、馬乗りのまま絞殺して持っていた現金40円入りの財布と腕時計を奪いました。4回目はその3日後の7月に池袋駅で21歳の女性を同じ手口で山林に連れ込んで強姦、絞殺して現金60円と下駄一足を奪いました。5回目は敗戦後の同年9月に東京駅で同じ手口で21歳の女性を山林に連れ込んで強姦、絞殺し、現金300円と物々交換のため持っていた縮緬(いちめん)の洋服を奪いました。6回目は同年11月で芋の買い出しのため渋谷駅に来ていた17歳の女性に「こちらの方が暖かいよ」と声をかけ東急デパートの地下へ連れ込んで強姦、殺害して現金20円を奪いました。7回目は同年12月に東武鉄道の浅草雷門駅で「知り合いの農家」の手口で21歳の女性を栃木県の山林に連れ込んで強姦、絞殺して現金130円入りの財布とリュックサックを奪いました。8回目は昭和22年6月に顔見知りだった15歳の少女に「ビスケットをやるから」と肉体関係を迫り、断られたため強姦、殺害しました。9回目は「銀座で遊ぼう」と声を掛けた女性(身元不明)を芝・増上寺の林で強姦、殺害しました。第10回は昭和21年8月で今度は6月に「就職を世話してやる」と誘っていた大相撲の立行司第24代・木村庄之助の実娘である17歳の女性を芝公園のトイレで強姦、絞殺しましたが事前に相手に連絡先を教えており、事件の前日に小平死刑囚本人が被害者宅を訪れて母親と会っていたのですぐに発覚して逮捕されました。
当時はラジオのニュースや新聞もあまり機能しておらず警察も犯罪情報を市民に周知すると言う発想が不十分だったため同じ手口で10人もの女性が被害に遭うことになったのでしょう。それにしても当時は「知り合いの農家に案内する」は殺し文句だったようです。
小平死刑囚は海軍に入営して山東出兵に参加した後、帰国して予備役に入ると就職して結婚しますが、愛人を作って子供を産ませたため妻は実家に戻り、これに激怒して義父を撲殺、周囲にいた6名に重軽傷を負わせて懲役15年の判決を受けましたが大正天皇の崩御などの恩赦で昭和15(1940)年に出獄していたのです。
刑の執行前、小平死刑囚は饅頭3個を食べ、煙草を一服吸ってから刑場に赴いたそうです。
  1. 2018/10/04(木) 08:45:54|
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