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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

野草山岳録・ある参学風景

幹候校の外出服装
これは奈良基地・幹部候補生学校で外出する野僧と同期たちです。
この格好で行くとほとんどの寺院は無料で拜観できるため(何故か禅宗の寺院は駄目でした)、奈良市内や京都へはこれで出かけていました。
ところがある日、基地内で学校長閣下に会うと、いきなり合掌した上、深々と頭を下げられ、野僧も同じく礼を返しました。奈良基地は3つの前方後円墳に囲まれていて、近所の古刹の僧侶たちの墓もあり、そこに参った僧侶と勘違いされたのでしょう。
翌週、どう言う訳か野僧が候補生(学生)であることを知った学校長閣下は不機嫌になり、副官(秘書)から区隊長に「おかしな服装で外出させるな」と注意が届きました。しかし、野僧は納得せず「法衣のどこがおかしな服装ですか?学生服務規則に違反していません」と反論すると、区隊長も同感だったのかそれを副官に伝え、副官は「特殊な服装で」と言い返し、野僧が「正式な坊主が法衣を着ることが特殊ですか?」と訊き返すの繰り返しの後、どちらも黙ってしまいました(この時点で区隊長は面白がっていましたが)。
結局、野僧が休日は寺院巡りと禅寺に宿泊しての坐禅に励んでいる真面目な修行僧だと知った校長閣下が「今期は変わった奴がいるな」と呆れられて、不問に付されることになりました。
ところがこの話には後日談が出来ました。課程半ばの60キロ行進訓練で候補生は「座らない」「水を飲まない」「荷物を重くする」などの負荷を自分に課すのですが、野僧は区隊長から「道端の石佛に安全を祈願する」と言うスペシャルメニューを命ぜられました。
しかし、奈良市内から柳生を抜けて木津川沿いを下る経路には石佛さまが多く、負荷を知っている前の小隊(区隊)から「森野、地蔵だぞ」と声が掛かる度に野僧は駆け出し、石佛さまの前で合掌してお経を上げ、礼拜している頃には自分の小隊は通り過ぎているため、また走って追いつくことの繰り返しでした。
区隊長は「線香も持たせばよかった」と言っていましたが冗談ではありません。
柳生を抜けて金剛山に差し掛かる山道の入り口で校長閣下が視察しておられましたが、そのすぐ脇にも石佛さまがおられ、走ってきた野僧が合掌、読経を始めるのを可笑しそうに見ながら、隣りにいる副官と「これで絶対に安全だな」と話し合っておられました。そして駆け出した野僧を見送りながら校長閣下はそっと合掌して下さいました。ついでに拜んで差し上げればよかったのかも・・・。
60キロ行進訓練
60キロ行進訓練(小休止地点に追いついたところ)

  1. 2012/05/06(日) 00:29:15|
  2. 宗教(参学録)
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