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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

11月10日・中国人民海軍・漢型原子力潜水艦領海侵犯事件

2004年の11月10日に沖縄県八重山近海を中国人民海軍の漢型原子力潜水艦が潜航したまま行動し、日本の領海を侵犯したため海上自衛隊に対して2度目の海上における警備行動が発令されました。
武力紛争関係法の海戦規則では潜水艦は浮上して軍艦旗、若しくは国旗を掲揚していれば通常の軍用艦艇と同等の扱いを受けますが、潜航していればそれだけで戦闘に準ずる行動と見なされ、領海侵犯を行えば当事国が撃沈しても合法的自衛行動になります。
漢型潜水艦は西側の分類コードであって中国では「長征型」と呼んでいるようですが、1970年代に運用を開始した老朽艦で、静粛性などは全くなく周辺国の海軍からは「海中に騒音を撒き散らしながら航行している」と馬鹿にされています。
この潜水艦は10月中旬に青島の北海艦隊の基地から出港したことが沖合に潜航して監視している海上自衛隊の潜水艦(日本政府の発表ではアメリカ海軍になっている)によって確認されており、東シナ海を南下するのもアメリカの偵察衛星や海上自衛隊の対潜哨戒機のパッシブ・ソノブイ(=空中から投下する浮遊式ソナー)で位置を特定されていました。
潜水艦は上海(緯度的には鹿児島と同じ)と沖縄本島の中間地点で南進し、宮古島近海を抜けて太平洋に出て、その後はグアム島に接近して約150キロの半径で島を一周すると帰途につきました。帰路は当初、フィリピンのルソン島に進路を取っていましたがその手前で北進を始めて八重山に向かったのでした。海上自衛隊は11月8日の時点でこの動きを内緒で協同している中華民国海軍から逐次、通報されており、潜水艦に対処する能力は全く持ち合わせていない海上保安庁と共同で大規模な追尾を開始しました。
海上自衛隊は対潜哨戒機からソノブイを投下して位置を特定し、佐世保基地から派遣した護衛艦「くらま」と「ゆうだち」で洋上から無線による通告(領海侵犯するまで警告は行えない)を実施しました。同時に日本政府は中国に対して潜水艦の所属確認を行いましたが回答はなく、撃沈しても文句のない国籍不明潜水艦として対処することになったのです。この日の午前4時、進路を北に変えてさらに領海に接近したため海上自衛隊はソノブイを音響探知用のパッシブ型から探信音を発信して精密に位置を測定するアクティブ型に変更して事実上の戦闘準備に移行し(対潜水艦ミサイルへの入力データを測定する)、海上保安庁は周辺海域を航行する船舶に警報を発令して注意情報を流し始めました。
潜水艦は午前5時48分から7時40分にかけて石垣島付近を領海侵犯し、それを受けて8時45分になって海上における警備行動が発令されました。この時点で潜水艦は領海外に出ていたのですが、進路を維持したまでは尖閣諸島付近の領海を侵犯する可能性があったため領有権を巡って対立している現場での領海侵犯による発令を避けるため最初の領海侵犯を理由にしたようです。ただし、潜水艦は東シナ海に出てからはデコイ(偽の音響を発する囮)を海中に射出したり、機関を急速停止するなどして逃走を図りましたが、海上自衛隊は母港に帰還するまで完全に追尾していました。
この事件以降、戦闘艦艇による事案には海上自衛隊が対処するようことになりました。
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