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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

振り向けばイエスタディ1420

その夜、2人でシャワーを浴びた後、裸のままお姫さま抱っこで布団に運び、念入りに全身を愛撫したが私自身は「その場に伏せ」のままで早駆けどころか匍匐前進もしなかった。それで浮気はないことは証明できたが、加齢による衰えも加われば復活への努力は虚しくなるだけだ。
しかし、男は愛撫を性行為に到るための手順・準備のように思っているが、女は必ずしもそうは思っていないようで、念入りな愛撫で気持ち好くなればそれだけでも納得できるものらしい。だから佳織も私の胸で幸せそうな寝顔で眠っていた。
「やっぱり釈放が決定したかァ」土曜日の朝刊を見て私はその歴史的現場に立ち合ったことをあらためて実感した。24日に招集された検察首脳会議で司法への政治介入の受け入れが決定し、午後に那覇地方検察庁が釈放を発表したようだ。昨夜はテレビを点けないで梢の話題に終始していたためこの重要なニュースを見逃していた。
「発表から数時間でチャーター機が迎えに来て、そのまま出国するなんて裏で手配していたのは見え見えじゃない。中国が何をやっても絶対服従なんて党名を正直に日本中国共産党にすれば良いのよ」テレビの報道番組を見ながら佳織が怒っている事態は新聞には載っていない。そこでテレビの画面に目をやると釈放された中国人船長が今日の未明に中国が手配したチャーター機で石垣空港から出国する記録映像が流れている。要するに那覇地方検察庁に外務官僚を送り込んだのは話し合いではなく命令の伝達と説得であり、その時点で中国には釈放するための手順を進めていることを説明して準備を促していたのだ。
2人の前には朝食のトーストと夕食の残りのポテト・サラダが置いてあるが、ニュースに意識がいって手が伸びない。それでも無意識にマグカップのコーヒーを口に流し込んだ。
「おそらくあの船長は軍人だぞ。手口も衝突じゃあなくて体当たり攻撃だって淳之介が言っていた」「淳之介は見たの」「うん、巡視船と漁船の両方の破損個所を見たそうだ」軍人を使って事件を起こし、その対応で日本に譲歩させることは実効支配の弱体化につながる。まさしく日本共産党以上に中国に従属する日本中国共産党だ。そんな売国者の集団を政権与党にしてしまった愚かな日本人に猛省を促す手段はないものだろうか。
問題なのは政治の誤りを監視し、世論に喚起する立場のマスコミが現在の政権を作った首謀者であり、支持率が急落している現状を挽回するために『是是非非』どころか『是是非是』の報道を繰り広げていることだ。これでは仮に憂国の激情に駆られた自衛官が5・15事件のように元凶の政治屋を暗殺しても世論の同調を得ることは不可能だ。
「それにしても淳之介が今回の出張に協力してくれるなんて想定外の収穫だね」「うん、プロとして立派に成長していることが判って感動したよ」ここで時事の話題に一区切りをつけて冷めてしまったトーストを頬張った。佳織はマーマレードだが私は老眼対策にブルーベリーのジャムだ。そう言えば梢と検査結果を受け入れて「糖尿病」としての治療を受ける約束をしてきた。次の定期検査で医師と相談すれば投薬によっては食生活が変わる可能性もある。
「そう言えばあかりが『マタニティーを有り難う』って言っていたぞ」「私の方が背が高いけど大丈夫だったの」「まだお腹が膨らんでいないから試着はしなかったよ。あかりは似合うって言う感覚が判らないから必要になるまで着ないみたいだ」本当は受け取ってすぐにサイズ合わせに試着しようとしたのだが私の前で服を脱がれても困るので制止したのだ。それは羞恥心の欠如とは別次元の視覚障害者としての不具合だった。
「でもあかりが子供を産んで育てるには梢さんかお祖母さんの介助が必要になるわよね。その件は何か言っていなかった」やはり佳織も義母=母親の先輩として考えているようだ。今回の出張では梢と話す時間が十分にあってこの問題も意見交換してきた。私自身も幼い淳之介との父子家庭を経験しているので忌憚のない意見を述べたが、結論的には那覇で出産し、子供が保育所に入る年齢まで預かると言うことだった。その間、淳之介は単身赴任になるが仕事の勤務態様から見て自衛隊のように定期的には帰省できないはずだ。それを2人に納得させるのも石垣島に行った私の任務だった。
「あかりは石垣島で産んで淳之介と一緒に育てるって言い張ったけど淳之介が説得していた。アイツも志織の子育ての手伝いをしてたからあかりが1人でいる時の不安は感じているらしい」「うん、淳之介もお兄ちゃんとして本当によく志織の面倒を見てくれたもんね」実はオムツを替えて志織の性器が自分と違うことを質問したこともあった。志織にブラザ―・コンプレックス的なところがあるのも潜在意識の中に淳之介の優しさが刻まれているのかも知れない。
「単身赴任かァ・・・あまりさせたくないけどあかりのハンディーを考えたらそれも仕方ないんだね」ここで2人は競い合うように冷め切ってしまった朝食を口に入れ始めた。
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  1. 2019/01/01(火) 08:59:38|
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