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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

5月6日・上海領事館員ハニートラップ自死事件

2004年の明日5月6日に上海総領事館に所属していた46歳で既婚の通信担当官が中国当局の色仕掛けの籠絡=いわゆるハニートラップによって弱みを握られ、秘密の提供を強要されて自死に追い込まれました。
この通信担当官はハニートラップの定型通りに上海に赴任した2003年頃に中国人女性と知り合い、それが交際に発展し、肉体関係を持つに至りました。2003年の6月に交際相手が買春容疑で逮捕されますが公安当局の配慮で翌日には釈放され、この時の温情処置を餌にされて通信担当官は「公安部隊の隊長」とその部下と接触を持つようになったのです。そうして2004年の2月になって通信担当官の自宅に国家安全部からの「総領事又は首席領事のいずれかと連絡が取りたい」と要求し、連絡先として携帯電話の番号を記して「公衆電話から掛けること」「金曜日か日曜日の19時から20時の間にかけること」と指示する書簡が届きました。通信担当官が「公安部隊の隊長」に相談すると2週間後に「書簡を送った者を逮捕した」と告げたそうです。
ところがこれ以降、「公安部隊の隊長」の態度が高圧的になり、部内秘になっている外務省人事のユジノサハリンスク領事館への転属予定を持ち出して「何故、黙っていた」と叱責し、「(中国語で記した)総領事館の全職員の名簿」を見せ、「お前が電信官であることや職務の内容を知っている」「館員が接触している中国人の名前を教えろ」「我々が何に興味を持っているのか分かっているのだろう」と要求した上で、「国と国の問題になる」「仕事を失い、家族が路頭に迷うことになるぞ」などと3時間にわたって脅迫したと言います。
この時は協力に同意して帰りましたが、通信担当官は「自分の職務を知られている以上、要求は最高機密の公電暗号にまで及ぶ」と考え、事件を詳細に記した5通の遺書を残して宿直室で自死したのです。
ところが外務省はこの件を小泉純一郎首相には報告せず、秘密裏に川口順子外相と官僚主導で処理し始めました。先ず「外交官の特権と保護を定めたウィーン条約違反である」として中国に対して2度にわたって口頭で抗議と真相の究明を要求し、数日後に監察査察担当参事官以下の調査団を派遣しましたが「通信担当官の自死は中国側の脅迫が原因」と結論付けたものの中国側からは明確な対応はなく、そのまま放置されたのです。
しかし、2005年12月27日発売の文春砲が炸裂し、(内部告発と思われる)事件の詳細を報じました。その関係者へのインタビューでは事件当時の福田康夫官房長官すら何も聞いておらず、川口外相以降の町村信孝・麻生太郎両外相も「引き継ぎを受けていない」と答えていて、この極めて重大な外交問題が政治を蚊帳の外に置き、外務大臣と一部官僚によって処理されていたことが判明しました。
小泉政権はこれまで外務省が波風立てぬことを第一義に進めてきた事勿れ主義外交を打ち壊し、政治主導の新米反中路線を明確しており、外務官僚でも中国担当者=いわゆるチャイナ・スクールの間では小泉首相個人に対する敬遠感が蔓延していたと言います。元通産官僚の川口外相も内閣の一員である前に官僚の操り人形になることを選んだのでしょう。
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