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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

振り向けばイエスタディ1645

「貴方、ただいま」梢は早引きしたのではないかと心配になるくらいの時間に帰ってきた。おそらく空港内の支店カウンターを定時で閉め、売り上げを本店に届けると上司を捲し立てて確認を受け、店の前で拾ったタクシーに割増料金を渡して直行してきたのではないか。
「お帰り。御苦労さまでした」一方の私は父が夕食を食べている間に志織以来十数年ぶりに恵祥を入浴させた感激を噛み締めていた。ただし、恵祥を受け取ったのが母だったため、あかりの乳房と同様に見せてはならない一物を見せてしまった。梢がこれほど早く帰ってくるのなら祖父母が2人で協力して入浴させるべきだった。梢の裸を見るのは30年弱ぶりだが、そんな妄想を掻き立てても興奮できない自分が口惜しい。
「今から手料理に腕を揮うからね。貴方の大好物のオンパレードよ。ただしカロリー制限を前提で」梢はこう宣言すると寝室を兼ねた自分の部屋へ引っ込んだ。梢はデートで養老の滝などの本土系のチェーン店に入ると前から私の顔を観察していて、嬉しそうな表情をした料理を見つけると後から料理人に作り方を聞いていた。おかげで梢のアパートでは常に好物を食べられていたが、今回はそれを堪能させてくれるつもりらしい。
「さてと昨日用意しておいた材料は・・・」自衛隊並みに素早く着替えた梢はエプロンをはめて台所に立ち、冷蔵庫を開けて材料を探し始めた。どうやら昨日のうちに準備万端整えていたようだ。そう言えば材料探しのスーパー巡りも梢とのデート・コースだった。
「今夜はカキフライとマカロニ・サラダ、春雨のスープにするんでしょう。材料は上の段にまとめて並べていたじゃない」そこに風呂上がりの母乳をもらって眠った恵祥とあかりの様子を見に行っていた母が戻ってきた。折角、内緒にしていたメニューがバレてしまったが確かに大好物だ。おまけにフライは食用油を大量に使うため独り住まいの自炊では中々作ることはできない。梢のことなので私の生活までお見通しなのかも知れない。
「貴方はビールにしますか、それとも仕上げの島酒にしますか」母は私の隣りでテレビのニュース解説を見ている父に声をかけた。今夜は早かったとは言え、やはり最終便の客足が途絶えてから閉店する梢の帰宅は夕食よりも晩酌の時間なのだ。
「それでは私たちは失礼しますよ」「うん、おやすみ」梢の手料理を味わいながら父との晩酌を楽しんだ後、両親は寝室に引っ込んでしまった。このマンションはリビングを中心に和室が3つだが、奥の佛間にあかりと恵祥が寝ていて障子で隔てた隣室に両親が寝ている。梢の部屋は玄関脇の独立した一間だが、果たして私はどこに寝るのか。常識的にはリビングのソファーだが流し台で洗い上げを始めている梢は何も言わない。私は黙ってアパートの台所に立っていた20歳代の梢を思い出しながら懐かしいエプロン姿を眺めていた。
「酔ってないよね。寝る前にもう一度シャワーを浴びるでしょう」洗い上げを終えてエプロンを外した梢が訊いてきた。確かに恵祥との入浴は細心の注意を払っていたので少し緊張していた。その意味ではもう一度身体を洗った方が熟睡できそうだ。
「うん、下着はさっき替えたからこれを着るよ」返事をしながら歯磨きセットを出そうと演習バッグを探すと置いてあったリビングの隅にはない。私が周囲を見回していると梢が「歯磨きセとは洗面台に置いてあるわ」と声をかけた。
「貴方、入るわよ」歯を磨き、壁に固定したシャワーで頭から温めの湯を浴びているとイキナリ梢が入ってきた。自宅の浴室なので当然全裸だ。先ほどは「30年弱ぶりに裸を見る機会を逃した」と無常住地煩悩(実現しない願望)に耽っていたが、それが実現してしまった。
「ナナナナ・・・何事だ」慌てた振りをしながら梢の裸身を眺めると恥じらうことなく悪戯っぽく笑った。梢を初めて抱いた久米島のホテルでも似たような場面があった。純潔を奪った後、私が感激と後悔を噛み締めながらシャワーを浴びていると梢が入ってきて全身を手で洗わせたのだ。それで私は感激だけを胸に留めることができた。
「佳織が貴方のリハビリを試しなさいって言うんだもん」「リハビリって・・・」とぼけた答えに梢は30年弱ぶりに私の男根を見た。佳織よりも3歳年上の梢の身体は昔の弾けそうな張りは失っているが、どちらかと言えば筋肉質になってきている佳織よりも欲情を誘いそうだ。それでも私の身体は反応しない。これが美恵子であれば私の気持ちに関わりなく手や口で執拗に刺激し始めて、結果的に立ち直れないような自己嫌悪と敗北感を与えたはずだ。それでも肉体的魅力は2人に比べて格段に落ちるからそちらを原因にできる。
「ふーん、あの佳織でも反応しないんだもん私なんかじゃあ無理だね。でも久しぶりに貴方に身体を洗ってもらいたいからよろしくお願いします」先日、2人で勝手に私の譲渡を決めていたことで佳織を張り倒したが、どちらも一向に懲りていないらしい。
そ・純名里沙イメージ画像(弾けそうな頃の梢)
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  1. 2019/08/17(土) 12:18:41|
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