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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

変質者的漫画の創始者・吾妻ひでおさんの逝去を悼む。

10月13日に手塚治虫先生が始めた作品に筆者自身が登場するスター・システムで自虐的な姿を晒け出して多くの共感者を獲得したシュールな漫画家・吾妻ひでおさんが亡くなったそうです。69歳でした。
野僧の高校では同級生の間で好きな作者を決めて買い揃えた単行本を互いに貸し借りする貸本組合制度があり、その中に吾妻ひでおさんの熱烈なファンがいて昭和47(1972)年から昭和51(1976)年まで週刊少年チャンピオンに連載して絶大な人気を博した「ふたりと5人」や昭和50(1975)年から昭和55(1980)年までプレイコミックに連載していた「やけくそ天使」などを熟読することができました。
「ふたりと5人」は今の基準ではかなり変質者的ですが当時は性同一性障害や女装趣味と言う概念がなく単にシュールな物語として理解され、支持を集めたようです。そもそも主人公の男子中学生が一目惚れする美少女が5人登場するため赤塚不二夫さんの「おそ松くん」式な家族構成なのかと思いきや少女は1人だけで父親と兄は女装趣味で同じ名前を名乗り(ただし、少女はユキ子、父は夕紀子、兄は由希子)、母と祖母も若造りで同じ名前(母は雪子、祖母はゆきこ)と言う意表を突き過ぎな設定でした。それでいて他の4人は服を脱ぐと父には胸毛が生えて筋肉質で、兄は胸が平面で陰毛が生えていない。一方、母は巨乳で祖母は72歳の老婆体形になり、これで識別します。おまけにスター・システムの走りで吾妻ひで子と言う美少女も登場しますが、設定は作者が性転換した姿や12時になると変身する姿などとまちまちで、後半からは作者本人が登場することになって消えてしまいました。ところで題名の「2人」と「5人」が誰を指すのかは不明です。
一方、「やけくそ天使」は連載されていたのが少年誌ではなかったため(成人指定ではなかった)展開は滅茶苦茶でかなり変態色が濃厚になっています。先ず主人公の名前が「阿素湖素子(あそこそこ)」で職業は看護婦に始まり記憶に残っているだけでもステュワーデス、教師、専業主婦、家政婦、アイドル歌手、会社社長などでどれも日活ロマン・ポルノや現在のアダルト・ビデオでレイプされている男性が征服欲を駆り立てられる職業ばかりです。当然、エロが前面に出ていて風紀委員も統括する生徒会の役員としては校内持ち込みを許可するべきか悩みましたが画風にリアリティがないため黙認しました。ちなみに吾妻さんをロリコン漫画の創始者とする説がありますが確かにその気配はありました。
そんな吾妻さんは昭和25(1950)年に北海道十勝郡浦幌町で生まれ、手塚先生の作品を愛読している間に漫画家に憧れるようになり、道内の同人誌に投稿を始めました。1968年に高校を卒業すると上京し、テレビ・アニメになった「おらぁグズラだど」や「どかちん」の作者の助手を経て、デビューしたそうです。
一方、昭和60(1985)年頃から精神を病み、失踪や自死未遂事件を繰り返し、その体験を描いた作品で海外の賞を受賞しているそうですが、野僧は大学生・自衛官になっていたため残念ながら読んでいません。
大学の哲学科志望だった野僧には吾妻作品との出会いは貴重でした。ご冥福を祈ります。
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  1. 2019/10/26(土) 12:15:01|
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