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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

振り向けばイエスタディ1716(一部、実話です)

9月2日に成立した野畑内閣は民政党の人材払底を内外に公然化させたと言うしかない代物だった。先ず人事情報の保全が機能しておらず組閣発表前の昼のニュースで氏名と役職が決定事項のように報道されて、午後からの組閣では官邸に到着した入閣予定者を女性アナウンサーが「〇〇大臣に就任する××さんです」と紹介していた。そんな中、防衛大臣は二川和夫と言う石川県選出で尾沢派の参議院議員で農林水産省の元官僚と紹介されている。
「松真、今度の防衛大臣になった二川は小松の人間らしいが知ってるか」新防衛大臣が小松市を地盤としていると知って私は元義弟で淳之介とあかり夫婦の仲人でもある玉城松真1曹に電話をした。松真は浜松の第1術科学校に転属するまで小松の第6航空団で勤務していたのだ。すると松真は「待ってました」とばかりに返事をした。
「ニイニ、早速の情報収集とは流石だね。やっぱり陸幕だと防衛大臣に会うことがあるんでしょう」やはり松真は空曹であって市ヶ谷の内情については理解していないようだ。防衛本省=内局と統合幕僚監部や陸海空幕僚監部では建物が違うため偶然にも会うことはない。
「大臣は内局の官僚に取り巻かれているから制服組が会うのは向こうから呼ばれた時だけだよ。呼ばれるのは将官限定だな」帝国陸軍では天皇の御前に出られる将官を閣下と呼んだのだが、今では平安時代並みに武官=制服組の立場が貶されているので検非違使の長である防衛大臣に会うことさえ難しくなっている。
「二川は自民党じゃあないから入れなかったよ。やっぱり本当に自衛隊を理解してくれるのは自民党だけでしょう」「それは今回の政権交代で証明されてしまったな。所詮は社人党が看板を掛け替えただけの売国政党だ。これでは他の選択肢はないぞ」二川新大臣は衆議院では森元総理大臣と同じ選挙区になるため勝てるはずがなく参議院で当選している。その保守本流の石川県の参議院でも平成に年号が変わった1989年には労働組合である連合推薦の議員が当選し、二川新大臣は2007年に2回目の非自民党の当選者だった。
「ワシはどうも石川県の政治屋は好かんな、なだしおの事故で自衛隊を売った防衛庁長官も輪島が選挙区だったじゃないか」なだしお事故は私が部外の幹部候補生の2次試験を受ける直前に発生したため特に注視していた。海上自衛隊の潜水艦・なだしおが乗客に見せるために接近してきた遊漁船・第1富士丸に衝突された事故では記者会見で謝罪を要求された海上幕僚長が「責任の所在が明確になっていない状況で謝罪はできない」と拒否したのに対して防衛庁長官が入院している被害者への謝罪を始め、制服を着させた海上幕僚長を同行させて晒し者にしたのだ。その話を冬の課程で担当した後輩にしたところ輪島の隊員が地元情報=悪評を聞かせてくれた。現在、担当しているイージス護衛艦と漁船との衝突事故の参考として公判記録を確認して同じ構造の冤罪だったことが明らかなったのであの防衛庁長官は絶対に許せない。
「あの人は政権交代選挙の時は自民党の候補を後継者とは認めないって民政党の候補者を支持したらしいよ。ニイニが言う通りの人間みたいだね。立派なのは森さんだけだな」私は神の国発言をした元総理も日本版ナチズム=国家神道の信奉者として認めていないのだが、やはり石川県には地元住民でなければ知り得ない地域の特殊事情があるようだ。
「モリヤ2佐、折角テレビを点けておくなら私が見たい番組にしても良いですか」新たな官房長官が閣僚名簿を発表してからも野畑内閣に関する解説が続いているのでテレビを点けっ放しにしていると岡田恵子事務官から引き継いだ日誌データの入力を終えた二村由美事務官が唐突に声を掛けてきた。私は「業務の参考」として時折チャンネルを換えながら報道番組を見比べているのだが、二村事務官は別の番組を推薦するつもりらしい。
「いいえ、人気ドラマの再放送があるんです。家で予約録画していますがここで見られれば帰ってから別の番組が・・・」「たわけたことを」二村事務官の説明が終わる前に私は努めて柔らかく叱責した。時事問題にまったく関心を持たない二村事務官にとっては組閣情報と楽しみにしているドラマに違いはなく、仕事時間中にテレビを見られるのなら同じような話題が続く退屈な報道番組よりもドラマを満喫する方が有益なのだろう。
「はい、テレビは消すから諦めて下さい」私は今後は課業時間中のテレビの視聴を止めることを決めてテレビを切った。しかし、その結果、新大臣の極めて重要な発言を見逃してしまった。
「私は安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアン・コントロールだ」これは官邸から認証式のために皇居に向かう途中で受けたインタビューでのものだった。夜のニュースでは「ほとんどの国民は素人だ。一般の国民の代表が監視するのがシビリアン・コントロールだと思っている。国民目線で、国民が安心できる防衛政策が大事だ」と補足説明していたが、この人事を見ると「野畑首相は本当に自衛官の息子なのか」と疑いたくなってくる。
1・中島久美子イメージ画像
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  1. 2019/10/27(日) 11:12:59|
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