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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

声優・井上真樹夫さんの遷化を惜しむ。

11月29日に野僧の世代ならアニメの「巨人の星」の花形満や「ルパン3世」の石川五右衛門の甘くて渋い声が記憶に残る声優の井上真樹夫さんが持病の狭心症の悪化による急性心臓病のため遷化したそうです。80歳でした。
井上さんは昭和13(1983)年に山梨県甲府市内の寺の息子として生まれ、中学生の時に移動劇団の童話劇を見て役者を志望するようになり、16歳の頃にはテレビドラマに出演していたそうです。さらに高校在学中に東京アナウンス・アカデミーに入学し、寺山修司さんの影響を受けながら当時、流行していた反体制(いわゆるアングラ)劇団を立ち上げました。ところがこの手の劇団の常で経営が息詰まると収入確保の目的=喰うために洋画の吹き替えを始め、それが声優の道につながっていったようです。
本人としては当初、声優は副業であってあくまでも自分で演じる俳優が本業と言う職業意識と誇りを持っていたようですが、アニメで育った世代が社会人になって1つの芸術分野としての評価が確立したことから自分の職業意識を問い直し、声だけの演技で本来無機質なアニメに魂を吹き込む声優に新たな可能性を見い出したそうです。
声のイメージからなのか役柄は少し影がある2枚目が多く、「巨人の星」の花形満は横浜に本社がある自動車メーカー「花形モーターズ」の社長の息子であっても成長期にイギリスへ留学して人種差別を受け、それに打ち勝って女王に面会する栄誉を得て帰国すると民族の誇りを見失った日本人の姿に失望して不良になると言う複雑な役柄でした。そんな失望を純日本的浪花節と武士道の世界に生きている星一徹・飛雄馬父子に出会ったことで救われ、武士の妻的な素養を持つ星明子との結婚につながるのです。野僧が見た昭和43(1968)年からのアニメでは花形と明子の会話はあまり出てきませんでしたが、原作では飛雄馬の高校時代から交流が始まり、深い心理的告白が積み重なって交際に発展し、最終回の終幕は花形と明子の結婚式を飛雄馬が教会の窓から覗いて暗闇に去っていく場面でした。ラジオ番組でも好いから井上さんの台詞を聞いてみたかったものです。ちなみに同じく梶原一騎さん原作の野球スポーツ根性アニメ「侍ジャイアンツ」の花形満とキャラクターが完全に共通しているライバル・眉月光やアニメ版「赤胴鈴之助」の原作には登場しないライバル・柳生市太郎の声も井上さんですが(もう1人のライバル・竜巻雷之進は左門豊作か?)、「男ドホウ甲子園」だけは主人公の藤村甲子園です。
一方、「ルパン3世」の石川五右衛門では無口な古武士のイメージだったため(その割に名前は忍者出身の大泥棒ですが)、その少ない台詞でボケと突っ込みを演じるルパンと次元に負けない存在感を発揮するのに苦心したそうです。
この他にも松本零士さんのSFアニメの「宇宙海賊キャプテンハ―ロック」の主役を演じたそうですが見ていません。その癖、少女アニメの「キャンディ・キャンディ」のウィリアム大叔父さま=ウィリアム・アルバート・アードレーはシッカリ覚えています。
晩年は実家の寺の住職を務めていたそうなので、あの声の勤経と説法を聞くことができた檀家さんが羨ましいです。ご冥福を祈ります。
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  1. 2019/12/04(水) 12:58:23|
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