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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

振り向けばイエスタディ1813

1月下旬、中華民国陸軍の王茂雄(ワン・マオシィォン)中校が今年は1月23日が正月になる台湾の年末年始の休暇で沖縄に来た。目的は玉城美恵子の広東語の語学力テストだ。
「あまり知能は高くないようだったが本当にマスターしたのかな」那覇空港の国際線ターミナルを出てタクシー乗り場に向かって歩きながら王中校は独り言を呟いた。台北在日経済文化代表処那覇支処長の粘進士から「香港で使える語学力がレベルまで進歩したから確認して欲しい」と言う連絡を受けたのだが、広東語の語学教室に入って1年に満たない短期間で3年の執行猶予でも身につかなかった日常会話が習得できるとは到底思えなかった。
「台北代表処へ」「お客さん、自衛隊じゃあないねェ。断るところだったさァ」開いていたタクシーのドアに乗り込みながら行き先を告げると運転手は急に表情を緩めて意外な返事をした。若し自衛官であれば乗車拒否するつもりだったようだ。それにしても空港に乗り入れているタクシーが乗車拒否するとは信じ難いが、民政党政権が普天間基地の辺野古への移転容認に転換したことで沖縄県内の反基地活動家たちは米軍との連携強化が進む自衛隊も同一視して、一般の県民を焚きつけているのかも知れない。
「ユーチョン・メイファイスー(玉城美恵子)は驚くほど勉強熱心だったよ」支処の執務室で粘支処長は王中校を招き入れると妙に感心しいたように声をかけてきた。
「そうかね。努力をすることもあるんだな」ソファーに腰を下ろして王中校は皮肉に答えた。王中校は玉城美恵子を香港社会への盗聴器にするための機能確認として台湾の判事、検事、弁護士、通訳などの法廷関係者や執行猶予中に勤務した拘置所の職員から印象や評価を聴取してきた。彼らが口を揃えていたのは日本人とは思えない常識の欠落への嫌悪と侮蔑であり、教育や助言が徒労に終わる虚しさだった。唯一、拘置所内で収監者を散髪している時だけは別人のように陽気になって卓越した職人技を揮っていたことだけは賞賛していた。
「それにしても馬英九の人気は根強いな」「大陸の企業を誘致して経済が好調だから、国民は政治的な危険性に目を向けないんだろう」そこに女性秘書がコーヒーを持って来たので2人は申し合わせたように話を変えた。こんな時は先週1月14日に行われた総統選挙で国民党の馬英九総統が再選された問題の時事放談に限る。粘支処長も外務官僚である以上、現政権への批判は避けなければならないが、台湾同様に共産党中国の属国ヘの道を脇目も振らずに猛進している沖縄で勤務しているとその脅威を実感せざるを得ない。すると秘書は一礼して退室した。
「メイファイスーは香港で店を持つためには広東語をマスターしなければならないことを自覚しているようだ。その夢を実現させるためには勉強しかないと思って必死だったんだろう」「だから柄にもない勉強も苦にならなかったと言うことだな」話を戻した粘支処長の見解に王中校は同意しながら香港での仕事に励ませるための餌を思案した。おそらく玉城美恵子は香港に与える店を守るためには枕営業(肉体を提供する接客)や殺人でも請け負うはずだ。
「香港で与える店は手配できそうかい」冷たい笑いを浮かべて思案を始めた王中校に粘支処長が声をかけた。手にはコーヒー・カップを持っている。
「香港島の行政機関と外国企業の支社が集っている地区の店に目星をつけているんだが、購入するにしても賃貸にしても我が国が関与したことを気づかせる訳にはいかないから、そこが難題だ」王中校は答えながらコーヒーを口に運び苦そうな顔をした。
「流石にメイファイスーはオーナーと交渉できるまでは上達してないよ。理容師としての接客と日常生活に支障がない程度だ」「それはそうだろう。中共(共産党中国)の人間を相手に交渉するのは法律を熟知している正直者でも危ないからな。日本の企業は安い人件費と共産党が提示する甘い条件に惹かれて大陸へ進出しているが、国際法や契約文書よりも共産党の意向が優先される。西側の常識が通用しないことには全く気づいていない。その点は始めから中共を疑ってか掛かっている我々の方が安全だろう」王中校の説明に粘支処長もうなずいてコーヒーを飲み干した。実は共産党中国は必要となれば中国国内に存在する外国企業にも最新技術を提供する義務を課した法律を制定している。この法律は有事=戦時の名目をつけているが前提は「必要とする時」であり、平和な現在に命ぜられても拒否できない。
「法律を熟知している正直者と言えばメイファイスーの前夫の中校には会わないのか」ここで粘支処長は余計なことを思い出した。
「モリヤ2佐は日本の新年になってからは弁護士の仕事が忙しくて年末年始の休暇も取れなかったようだ。だから今回は東京に行って会おうと思っている。しかし、彼も陸軍の将校だから世間一般の正直者とは次元が違うな」「うん、明治時代の日本の軍人のような顔だったね」その頃、私は東京の職場でくしゃみを連発していたが風邪ではない。
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  1. 2020/02/01(土) 14:24:59|
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