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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

振り向けばイエスタディ1970


翌日は2人で一緒にサッタヒープ軍港に出勤し、トミタ少佐の執務室で過ごした。昨夜は食事の後には当たり前のように一緒にシャワーを浴び、ベッドで愛し合った。今回は媚薬を用いなかったが、杉本の熟練した性技で悶え狂ったトミタ少佐は放心状態で朝まで眠っていた。そのためなのかトミタ少佐の態度は夫婦のようになっている。自衛隊で言えば中隊事務室並みの部屋に入るとトミタ少佐は自分でコーヒーをいれた。やはりアメリカ大使館の駐在武官付扱いで正式な配置がない少佐の連絡官では下士官・兵は配属されてないようだ。
「アメリカ海軍でも中国の習近平総書記が9月7日にカザフスタンのナザルバエフ大学で発表した海のシルクロード構想は問題になっているのよ。タイもその当事国だから責任が重いわ」「一帯一路構想を柔らかく言えばそんな名前になるんだな」コーヒーを飲みながらの話題はタイにも絡む時事問題だ。アメリカでは再選を果たしたオバマ政権が対イスラムの戦争を繰り広げたブッシュ政権への反動のような1期目の対中融和路線が国民の信任を得たと解釈しているため、それほど問題視されていないが、政権を奪い返した日本の加倍政権はその意図を推察して警鐘を鳴らしている。しかし、アメリカのマスコミは加倍首相を「A級戦犯の孫」=保守反動の右翼、軍国主義者と逆に危険視しており、これに同調しているのは国防総省と国務省でも少数派のオバマ政権以前からの対中国外交の専門家だけだ。日本の外務省も2004年に上海領事館の通信専門職員が、中国人女性に誘惑されて肉体関係を持ったことで暗号に関する秘密をう漏洩するように強要されて自死した事件を契機に、それまでの中国屈従姿勢と決別して、危険な現実を直視するようになっている。
「中国共産党では最高指導者と言えども確実に実績を挙げなければ党内での権威を失墜することになるから、公式に構想を発表したのは下準備は整っていると見るべきなんだ。海のシルクロードなんて綺麗な言葉を使っているが、早い話が既に支配下においているアフリカと中国を結ぶ海上交通路を軍事的に確保して途中の中東の原油も合流させる。そうして有事には日本への原油を遮断すると言う海洋戦略だな」「セイヤー・マハン少将の理論の模倣ね」一般大学の予備士官訓練課程出身とは言えトミタ少佐もアメリカ海軍士官だけに「国家の帰趨を決する制海権の確保」を提唱した海洋戦略理論の大家・アルフレッド・セイヤー・マハン少将の名前を即答した。日本海軍も日本海海戦の時の連合艦隊作戦参謀になる秋山真之中将がアメリカに留学してマハン少将の教えを受けていて太平洋における第2次世界大戦で艦隊主力による全面決戦を繰り返したのもその実践だった。それを海上自衛隊も濃厚に継承しており、同じ基盤に立っているから事実上の対等合併が成立しているのだ。
「おそらく中国本土から南シナ海、マラッカ海峡を抜けてインド洋を横断する海路の要衝に中国海軍の拠点を確保し終わっているんだ。具体的には南沙諸島、マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポール、スリランカ、モルジブだな。タイからアメリカ海軍を撤退させたのは華僑の首相の時だろう。シンガポールも華僑の政権が続いている。スリランカは内戦を終結させるのに中国が兵器を供与してその見返りにコロンボ港に中国海軍の軍港を建設した。スリランカでは大手マスコミが中国資本に買収されているから日本の人権団体の内戦批判を大々的に報道して反日世論が強まったんだ。だからこれまで日本が請け負っていた重要施設の無償整備事業を中国に盗って代わられた」民間人がここまで海外事情に詳しいのはいささか奇異だが、杉本の肩書は雑誌記者なので違和感はない。
「タイのマスコミも似たような状況よ。昔は日本のマスコミが日本軍の戦争犯罪の取材に来ても国民に否定されていたのに、最近は経験者がいなくなったことで中国が主張していることが史実として報じられるようになってきているの。華僑の首相も中国資本のマスコミの世論誘導で成立したようなものだわ」「それはオバマ政権や日本の民政党政権も同じだね。共産主義体制の中国は西側の国家や企業とは違って金銭的な収益に関係なく海外投資できるから在外華僑に国家の資金を渡してマスコミの株式を買い占めさせている。西側の政治体制が選挙制度で操れることを熟知した壮大な国家戦略だよ」これは杉本が世界各国の大手マスコミの株主を調査して得た結論だ。幸いなことにアメリカではユダヤ資本が事実上の財閥として君臨しているが、資本力が弱いヨーロッパでは主要なマスコミが続々と中国資本の手に落ちており、2008年のチベット人権弾圧問題で1989年の第2次天安門事件ほど大々的な批判が起こらなかったのもイギリスのマスコミが共犯であり、独自取材を拒否されて情報が極めて限定されていたため多くのマスコミが中国発の虚偽情報を流用したことが主な理由だ。ヨーロッパがこれではアジア各国は国営放送でさえ中国の代弁者と化していても不思議はない。中国は賄賂・籠絡も得意技なのだ。その点、日本のA日新聞は組織として工作機関に組み込まれている。
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  1. 2020/07/10(金) 14:41:29|
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