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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

7月15日・ワシントンで第442戦闘団の歓迎・解散式典が開催された。

1946年の明日7月15日にワシントンで7月3日に貨客船・ウィルソン・ヴィクトリー号でヨーロッパから帰国した第442戦闘団の歓迎・解散式典が開催されました。
ヨーロッパにおける第2次世界大戦は1945年5月8日のナチス・ドイツの降伏によって終結しており、第442戦闘団はイタリア戦線でジェノバを陥落させた時点でアメリカ陸軍の基準では「全滅」に相当する死傷率30パーセントを超える損害を出していたため事実上の部隊機能停止命令を受け、生存者のうち数少ない軽傷者は捕虜収容所で警備と受け入れ、作業監督などの任務に当たり、大半は入院加療していました。このため1945年9月2日に太平洋戦線の第2次世界大戦も終結してから1年近く経ってからの帰国になり、ようやく歓迎・解散式典が開催されたのです。
この式典でハリー・S トルーマン大統領(ミドルネームは「S」1文字なので短縮を意味するピリオドはつけない)は「諸君は敵のみならず、偏見とも戦い、勝利した」と賞賛しましたが、実際は空手形に過ぎませんでした。この時点でアメリカは連合軍=戦勝国の盟主としてナチス・ドイツと日本の戦争犯罪を裁き、国家体制を変革する終戦処理に当たっており、その前提=根拠は「ドイツ人と日本人が異常に好戦的な狂気の民族であり、人道を尊重する意識が本質的に欠落しているため徹底的な再教育を施して民主主義を理解させなければならない(共産主義国のソ連も含まれるため自由主義ではない)」と言うものだったので、第2次世界大戦中にヨーロッパ戦線で多大の犠牲を払ってアメリカ陸軍最高の軍功を挙げた日系人2世部隊・第442戦闘団の勇猛果敢で自己犠牲を厭わない国家への忠誠心は日本人(この場合は「民族」を意味する)の好戦性と同義語になり、表立って賞賛することはできなかったのです。この政治的配慮は戦果・軍功にも及びナチス・ドイツ軍との激戦については控え目ながら公表されても、ユダヤ人強制収容所を解放した事実はアメリカだけでなくフランスやドイツでも隠蔽されました。これも日独伊三国軍事同盟を締結していた共犯者である日本人によって解放された事実が公表されると敵味方・善悪・正邪のキリスト教的二者対立の論理でナチス・ドイツを断罪するヨーロッパ諸国では極めて拙い影響を及ぼす可能性があったからです。キリスト教国での悪者は一点の是もない極悪非道な人間でなければならないのです。
第442戦闘団の軍功と国家への忠誠心が公表され、アメリカ人たちの賞賛と敬意を受けるようになったのは1950年代から湧き起こった民権運動によるものでした。元奴隷のアフリカ系アメリカ人たちが兵役の見返りにフランクリン・デラノ・ルーズベルト政権が約束した「平等な権利」の保証を求めていたのに対して同様の約束で誘われアフリカ系部隊以上の多大な犠牲を出し、抜群の軍功を挙げながら終戦後にアメリカの故郷に帰還すると戦前以上に過酷な差別と迫害を受けた第442戦闘団の兵士と遺族たちが黙って耐えてきたことを引き合いに出して不満を緩めることに利用したのです。このためこの時期から既に解散していた第442戦闘団に対する勲章の授与と格上げが続出し、日系アメリカ人は一般ヨーロッパ系と同格(WASPよりは落ちる)の1等国民として認知されました。
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  1. 2020/07/14(火) 12:44:50|
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