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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

振り向けばイエスタディ2012

「ベトナム人は心の中では韓国を許していないぞ。だから韓国人として行動するのには細心の注意を払う必要がある」年明けにベトナムへ出張することが決まった岡倉はタイにいる杉本に助言を求めた。岡倉がペルシャ語を学んだのはアラビア語に堪能な松本と2人で中東を担当するつもりだった。韓国語を余技にしたのは渡米して最初に住んだ西海岸では万事に控え目な日系人とは違い、アメリカに母国の街を作っている中国人華僑や南北一体の半島人たちと接触する機会が多く、アジア人であることを偽装に利用するためだった。それが杉本に誘われて訪韓してジアエと出会い、やがて結婚した。今では韓国語が第1外国語なのかも知れない。当然、日本語と英語は業務用外国語には含まれない。
「自分はベトナム戦争にはあまり詳しくないんですが、韓国軍がそこまで恨みを買うような悪事をはたらいたんですか」「意外に不勉強だな。本間でも知ってるぞ。なッ」「当然じゃん」ニューヨークとタイの時差は11時間なのでニューヨークの朝9時はタイの夜8時になる。この時間にも杉本と本間は一緒にいて妙に親密な様子だ。
「帰ったら嫁に訊いてみろ。元は専門家だろう」「そうします」国際電話が長くなるのを避けて電話を切ったが、松山1佐からベトナムへの長期出張を命ぜられた夜、知愛に韓国企業のベトナム進出の背景を確認した時も現地の激しい反韓感情の話をしていた。しかし、ベトナム戦争は岡倉が小学生だった1975年に終結しており、むしろ1978年12月25日に発生してモスクワ・オリンピックに影響を与えたソ連軍のアフガニスタン侵攻の方に興味を持っていた。中学・高校生がこれを調べるのはかなり苦労したが、それが現在につながっている。
今夜も冷えているので焼酎のお湯割りで夫婦の会話になった。聖也は岡倉の仕事部屋で始まった筋力トレーニングの疲れで熟睡している。
「韓国軍はベトナム戦争で何をやったんだ」「私は韓国軍とは決別したから話すけど、組織としては秘密指定がない極秘事項なのよ」乾杯に続きクリスマスを前にした聖也の幼稚園と韓国の両親たちの話題で盛り上がり、酒が進んだところで岡倉が本題を切り出した。最近の知愛は韓国系アメリカ人が北朝鮮系と一体化して中国系華僑と協同で反日活動を展開していることに強い嫌悪感を抱いており、日本人としての生活を尊重するようになっている。
「貴方は詳しくないのね。意外だわ」知愛にまで呆れられてしまった。そう言われても日本でのベトナム戦争はアメリカ軍による非人道的戦争犯罪としか紹介されておらず、岡倉の親はあまりにも残酷な戦場写真を見せようとはしなかった。また韓国軍についてはアメリカの命令に軍事政権が同調して激戦地に送り込んだ徴兵された市民=被害者であり、それ以上の情報は大人たちも知らなかったはずだ。
「1968年2月12日に韓国海兵隊第2海兵師団第1大隊、通称・青龍部隊が男性不在のフォンニィ・フォンニャット村で老人と女性、子供たちを村の中央広場に集めて、少女から老女、妊婦までを集団でレイプ、その後で女性の乳房を切り取り、妊婦の腹を裂き、子供は銃剣で突き刺し、老人は頭を銃で撃って69名、事件前との比較では79名を殺害した上で住居や倉庫に放火したのよ」知愛は韓国軍の法務士官の顔になってこの残虐な事件を冷静に説明した。先ほどまでの楽しげな笑顔はどこにもない。
「外の仕事から帰った村の男性たちは遺骸を道路脇に並べて通過する軍用車両に晒すことで抗議したんだけど事件は続いたわ。今度は2月25日に同じ海兵隊の青龍部隊が近くのハミ地区で同じように135人を殺害したの。ところが問題なのは1999年9月に犯行に加わった元青龍部隊の兵士が謝罪に訪れて私費で慰霊碑を建立したんだけど、韓国政府が経済的影響力を背景に圧力をかけて銘板を隠したのよ」知愛は法務士官として朝鮮戦争やベトナム戦争、アフガニスタンやイラクでの韓国軍の犯罪行為を調査・研究し、最近の政権と反日活動家が糾弾する日本軍の残虐性などは遠く及ばないことを確認したようだ。
「さらにライタイハンと言う韓国との混血児が少なくとも1500人(日本の朝日新聞の数字)、最大50万人(日本の産経新聞の数字)いるのよ。その大半も韓国軍の兵士によるレイプで妊娠した女性が産んだ子供なんだけど、韓国政府が圧力をかけて現在までベトナム政府による実態調査は行われていないわ」ここまで冷静に説明してきた知愛は急に目を険しくして少し冷めた焼酎のお湯割りを半分まで一気に飲んだ。
「それだけのことをやっておいて謝罪するどころか圧力をかけて事実を抹消しているんじゃあベトナム人は許さないわな」急に酔いが回ったのか知愛はテーブルに両肘をついてウトウトし始めた。岡倉は今回の任務が想像以上に危険であることを自覚し、愛する妻を抱き上げるとベッドに運んで大人しく眠った。ここまで残酷な話を聞いてしまうと流石に続きはない。
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  1. 2020/08/21(金) 11:50:52|
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