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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

7月23日・全日空61便ハイジャック・機長殺害事件

1999年の明日7月23日に羽田発・千歳行きの全日空61便のボーイング747が離陸した直後に立ち上がって包丁を振りかざした西沢裕司くんがコクピット=操縦室に乱入してコパイ=副操縦士を室外に追い出した後、長島直之機長に指示を与えて飛行させながら殺害し、自分で操縦桿を握って墜落寸前の危険状態に陥らせた事件が発生しました。
この日の午前11時23分に羽田を離陸した全日空61便の機内で大声を挙げていた28歳の西沢祐司くんが立ち上がり、キャビンアテンダント=客室乗務員に包丁を突きつけてコクピットに入れるように要求したため長島機長は当時の対処規定の「犯人の言うことをきいて刺激しない」に従って11時25分に地上管制に「ハイジャック発生」を緊急通報した上で室内に入れたのです。すると西沢くんは高度を3000フィート=910メートル(=小型プロペラ機が飛行する低空)まで下げるように指示したため長島機長が従うと横須賀方向への飛行を指示して11時38分にコパイを室外に出して内鍵を掛けました。
間もなく横須賀上空を通過すると今度は低高度のまま伊豆大島への飛行を指示しましたが、数分で到着すると今度は横田基地への進路変更を指示するのと同時に操縦させるように要求したのです。当然、長島機長は西沢くんを説得しましたが、すると包丁で切りつけて致命傷を負わせ、空いていたコパイの席に座って実際に操縦を始めたため機体は急旋回と急降下を始め(航空機は速度が早いため操縦桿のわずかな動きで大きく反応する)、コクピット内の対地接近警報装置が作動し、その警告音をドアの外で聞いたコパイと千歳発の便に乗務するためデッドヘッド(非番)で搭乗していた機長がドアを蹴破って突入すると若いコパイが西沢くんを席から排除して機長が操縦桿を握って機体を上昇させて立て直したのです。この時、失速警報装置も作動していました。
61便には乗客503名(西沢くんを含む)と乗務員14名が搭乗していましたが、西沢くんが拘束されたのは八王子市の上空であり、市街地に墜落していれば御巣鷹山に墜落した日本航空123便の520名を超える犠牲者が出ていたのは間違いありません。
この事件は野僧が航空自衛隊を退役して1ヵ月半後に発生しましたが、元プロとしてはハイジャック防止対策に万全を期していた日本の空港で機長を刺殺できるほどの刃物を機内に持ち込んだ手段が謎でした。その後の新聞報道によれば西沢くんは午前中に全日空機で大阪を往復し、乗り換え用の通路が職員専用の通路に接続していることを利用して持ち物検査を逃れたと解説されていましたが、模倣犯の発生を防止するため細部は公表されていません(この欠陥を空港に指摘したが無視されたことも犯行動機と証言している)。
一方、西沢くんは都内の名門私立中高一貫校を卒業後、一浪して中央大学商学部に入学した秀才で、元々が鉄道マニアだったため大学在学中は鉄道研究会に所属していましたが、学園祭での企画が不採用になったことで飛行機に興味が移り、前述の通路の欠陥は空港の建物の構造図を研究していて発見したそうです。しかし、就職では全日空に失敗してJR貨物に入ったものの行き詰まり、失踪して自宅に戻ると精神科に通院して投薬を受けていました。それでもこの事件の刑事責任は認められて無期懲役の判決を受けています。
  1. 2021/07/22(木) 13:46:06|
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