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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

10月28日・唯一になったブルー・エンジェルスの来日飛行

昭和46(1971)年の明日10月28日木曜日に名古屋空港と滑走路を共有している小牧基地で開催されていた朝日新聞主催の国際航空宇宙ショーの目玉として初来日したアメリカ海軍(海兵隊が必ず1機入っている)のアクロバット・チーム=ブルー・エンジェルスが翌日の本番を前に空港の上空で予行演習を実施したところ騒音の苦情が殺到したため主催者が中止を決定しました。
この頃、野僧は愛知県の岡崎市に住んでいたので航空宇宙ショーのニュースに胸を躍らせていましたが、この事態を契機にニュースの論調が一気に冷淡になり、主催者のはずの朝日新聞が名古屋空港の騒音問題を批判し始めたのを憶えています。
当時、ブルー・エンジェルスはJ79エンジン2発のFー4ファントムⅡを使用していて(空軍のサンダーバーズも同一機種だった)、性能の限界を発揮するアクロバット飛行での騒音は極めて大きく、日本家屋の薄い「窓ガラスが割れた」と言う苦情もあったようですが、名古屋空港=小牧基地周辺では防衛庁(当時)の基地対策費でサッシ化と冷房の設置が進められていたはずなので眉に唾をつけなければいけません。
本番前日の中止の決定を受けてブルー・エンジェルスは次の訪問地の在韓米軍基地に向かって離陸していきましたが、この時、青い天使たちは怒りを露わにして「2度と来ねェぞ」と捨て台詞を残していったそうです。実際に厚木基地のアメリカ海軍航空隊や第7艦隊、岩国基地の海兵航空隊が招聘しても拒否され、再度の来日は実現していません(サンダーバーズは1959年に板付基地、1994年に三沢基地で展示飛行していて、2004年にも三沢・百里・浜松基地での予定で来日しましたが悪天候で中止になりました)。
戦後の日本人は航空自衛隊のパイロットが墜落事故で一緒に死ぬことを当然視しているのでブルー・エンジェルスが命を賭けて機体の限界を披露することやパイロットたちが身動きもできない狭いコクピットに閉じ込められ、空中給油を受けながらハワイとグアムを経由して太平洋を横断してきたことにも特別な感情は抱かず、その命がけの苦労を無駄にされれば青い天使たちの怒髪が天を突くのは至極当然です。
ブルー・エンジェルスを追い払った小牧基地周辺の住民は現在も生存しているようで、小牧基地が2015年の航空祭から44年ぶりにブルー・インパルスによる展示飛行を再開し、2016年と2017年にも継続したところ2018年1月に基地周辺、と言ってもかなり離れた春日井市を含む住民388人が「ブルー・インパルスの展示飛行は航空法9条が禁ずる国土交通大臣の許可を受けない住宅密集地の上空での『曲技飛行』に該当する」との告発状を名古屋地方検察庁に提出して受理されたため2018年からは中止になりましました。2016年には奈良基地での展示飛行でも同様の告発がありましたが、世界遺産の上空では呼んだ方、やった方が間違いです。
実は航空自衛隊がブルー・インバルスのアクロバットを「展示飛行」と呼んでいるのはこの航空法の規定を考慮しているからであり、航空祭前後の取材で記者がこの「曲技飛行」で質問してくるのも自衛隊側に認めさせるための誘導で、要注意でした。
  1. 2021/10/27(水) 13:39:20|
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