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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

1月31日・マックアーサーが2・1ゼネストの中止命令を下した。

昭和22(1947)年の1月31日に共産党の指揮を受けて日本の共産主義化を画策していた国鉄労働組合、国家・地方公務員、教職員、郵便局、電電公社などに一部の主要産業を加えた労働組合が吉田茂保守内閣の打倒を目指した2月1日のゼネラル・ストライキが占領軍のマックアーサー総司令官の命令によって中止になりました。
占領軍は当初、日本にアメリカ式の民主主義を定着させるため労働者に権利意識を植えつけようと労働組合を保護し、治安維持法違反の政治犯として収監されていた共産党の幹部たちを釈放して政党として合法化しました。そのため共産党も占領軍を解放軍、マックアーサー司令官を解放者と位置づけ、結党の目的だった共産主義革命は隠蔽すると労働組合を支持基盤にした選挙による政権奪取を標榜するようになりました。
そのため労働者の人気取りとして企業の業績を無視した賃上げ要求を繰り返し、一社が拒否すると他の企業の労働組合にもストライキを指示して賃上げを勝ち取る戦術を常用するようになり、これが敗戦後の経済復興の障害になっていきました。
特に公務員労組や教職員組合は経済復興を優先する保守政権が企業への課税水準を抑えていたため給与が大手企業に比べて低かったので国家の財政事情を無視して倍額の賃上げを要求し、社会への影響が大きい国鉄労働組合を巻き込むことで政府を窮地に追い込むようになり、やがてこの戦術が政治目的に利用できることに気づいたのです、
しかし、吉田首相は教職員組合や公務員労組の要求には断固として屈せず、むしろ国民への奉仕者である公務員の労働組合が共産党の指揮を受けていることを問題視して昭和22(1947)年の年頭の辞で「政争の目的のためにいたずらに経済危機を絶叫し、ただに社会不安を増進せしめ、生産を阻害せんとするのみならず、経済再建のために挙国一致を破らんとするが如き者あるにおいては、私は国民の愛国心に訴えて、彼らの行動を排撃せざるをえない(中略)しかれどもかかる不貞の輩が我が国民の中に多数ありとは信じない」と批判したため、共産党や公務員労組や教職員組合を始めとする全官公庁労働組合拡大闘争委員会が中心になって吉田内閣打倒と言う政治目的での一斉無期限ストライキ=ゼネラル・ストライキを決定したのです。
これを受けて吉田内閣はやむなく占領軍に中止命令を出すように要請しました。すると占領軍司令部も共産党指揮の労働運動が政治目的になっていることを危険視するようになっていて全官公庁労働組合拡大闘争委員会の議長を呼んで中止を勧告しましたが拒否し、逆に参加規模が拡大したためマックアーサー総司令官に国鉄や海運のストライキで軍需物資の輸送が滞ることを説明して中止命令を出すことを要求したのです。しかし、帰国後に大統領選挙に出馬する予定だったマックアーサー総司令官は労働組合の反発を危惧して口頭での伝達に留めましたが、労組側が応じないためこの日の夕方に文書を伝達した上で議長をNHKに連行して中止を放送させました。
この結果、共産党は労働組合の支持を失い、戦前の武力革命路線に回帰したため公安当局の監視対象になりました(後に武力革命路線=学生運動過激派は社会党左派に奪われた)。
  1. 2022/01/30(日) 15:39:42|
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