続・振り向けばイエスタディ３２

ソウル特別市内のキリスト教系の大学に通う佐藤有真（ユジン）は嵐と化した風潮の怒涛に翻弄されていた。友人に誘われて戦時売春婦＝従軍慰安婦の支援団体が毎週水曜日に日本大使館の跡地で開催している反日集会に参加して、日韓の軍事衝突に興奮した男たちが「日本の女を慰安婦にしろ」と叫び始めた中で日本人であることを知られて輪姦され、全裸のままこの団体が大使館の正門前の歩道に設置した従軍慰安婦少女像の空席になっている椅子に座らされた。
「有真、貴女は日本人が犯した罪を１人で償ったのね。その気持ちは立派だけど日本政府が責任を認めないのが悔しいわ。石田になって少しは誠実に対応するかって期待してたけど韓日合意を押しつけた外務大臣だからやっぱり駄目ね」その日の夜に母親からメールが入った。父親が新型コロナ対策で通勤時間を外して早く帰宅したため電話はできないと理由の説明が添えてあった。男たちは有真を輪姦し、晒し者にした一部始終をスマート・ホンで撮影してインターネットに投稿したのだが、投稿するのに先ず全裸で椅子に座らせた画像をアップし、「母国の罪を懺悔して裸身を晒した日本の女」と言う解説を加えた。その数時間後に画像の閲覧者数を確認した上で有真が輪姦されている動画をアップしたが、こちらにも「売春婦に堕した日本人の女」とつけ加えていた。そのため周囲の韓国人たちは「自己犠牲」と肯定的に評価して表向きは敬意を表している。それにしても普通の母親であれば理由が何であれ娘が裸身を晒した画像が衆目の的にされれば犯罪を疑い、世間体を失うことに怒り狂い、娘の将来を危惧して冷静ではいられないはずだ。その点が長年にわたり韓国の映画や番組を見続けて実在の理想郷と信じ込んでいるこの母親の異常性なのだ。
「有真、お前は売春婦になったんだな。何人の男に姦られたんだ」翌日、高校時代につき合っていた在日韓国人の同級生から電話が入った。母親は慰安婦少女像の隣りに座らされている静止画像しか見ていなかったが、元恋人は次々に男たちに抱かれている動画も見たらしい。
「高校時代のお前は俺だけのモノだったが、今では公衆便所のようなものだ。結局、お前は俺と言う人間に惚れたんじゃあなくて在日韓国人が好きだったんだな。韓国の男なら誰でも好いんだろう。韓国には統一教会って言うキリスト教団があるが、あそこの信者の女は全て教祖の所有物で、抱かれることを夢見ているそうだ。だから教組が決めた相手と結婚して代理で抱かれているんだ。お前も憧れの韓流ドラマの俳優の代理で俺に抱かれていたんだろう」「そんなことないわ。私は貴方が好きだったから抱かれたんだよ」高校時代の同級生の間では「有真が一緒に留学することを希望したのに恋人は日本の大学に進学した。だから卒業した時に別れた」と噂しているが、実際は帰国すると２人で過ごす恋人関係が続いていた。
「お前が男に入れられて喘いでいる顔が世界中に拡散したんだ。そんなハシタナイ売春婦を抱けば俺も客になったようなものだ。これからは韓国人の客を悦ばすんだな。終わりだ」「待って、私はレイプされたのよ」元恋人の別離の宣告に有真は自分の誇りを守るために否定していた事実を訴えた。人権団体を標榜している戦時売春婦の支援団体も集会会場での集団レイプ事件が発覚すれば日韓の軍事衝突で大炎上している反日感情が吹かしている追い風の向きが反れてしまう可能性がある。そのため殊更に有真を「母国の罪を償うために自己犠牲を払った聖女」扱いしてマスコミにまで売り込み始めている。
「本当にレイプされたんだったら警察に訴えろよ。お前が性犯罪の被害を受けたんだったら俺も一緒に戦うぞ」「・・・ありがとう」元恋人は高校時代と同じように自分を守ろうとしてくれたが、韓国社会では有真を戦時売春婦の罪を自己犠牲で償った聖女から日本の軍事挑発に抗する聖女ジャンヌ・ダルクにしようとしている。今の韓国では虚構を積み上げることで事実化して世界に発信し、日本を断罪することが常識になっているのだ。
「ユジン、俺を売春の客にしろよ」大学の講義を終えて有真が学内の図書館で調べ物をしていると本棚の間の通路で顔見知りの男子学生が抱きついてきた。大学内でも有真の痴態の画像と動画の閲覧者は多いが、性的な関心を示すことが許されない雰囲気に守られている。しかし、男子学生にとっては自慰行為のオカズであり、主演女優が目の前にいれば御相伴に与ってみたくなるのは動物の性本能としては自然だ。
「止めて、私は・・・」「日軍（日本軍）は我が民族の女たちを連れ去って売春婦にした。お前が我が国に来たのは俺たちに姦られるためだ」男子学生はもがいて逃れようとする有真を両腕で固めると肉体の前に言葉で汚しながら唇を塞いだ。そうして有真が脱力すると専門書の本棚で来る者がいないことを確認して性行為に及んだ。聖女ジャンヌ・ダルクも異端審問で収監された牢獄で連夜のように看守たちに犯されたと言われているが、日韓の軍事衝突の聖女は英雄ではなく従軍慰安婦として扱われているようだ。
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