「日本の女を慰安婦にしろ」日本以上にインターネットが普及している韓国では佐藤有真(ユジン)の従軍慰安婦少女像の隣りで裸身を晒した画像と集団レイプの動画が「聖女の自己犠牲」として拡散すると閲覧者たちが危険な書き込みを始めた。幸いなことに新型コロナ・ウィルス感染症の変異株の蔓延によって日本からの渡航が制限されているので観光客の入国は皆無に等しいが韓国人と結婚して移住した日本人妻は少なくない。韓国の行政当局は国内の反日感情が高まると公的業務にもアカラサマに反映し、明確な説明がない帰化の却下だけでなく年金や社会保険の加入を拒否されるなどの冷遇を受けている。時代の変遷を考えればかつて左翼勢力の「理想の楽園」と言う虚構の喧伝を信じて夫の母国である北朝鮮と移住した日本人妻たちが家畜のように扱われ、飢えと寒さと過酷な労働で命を落としたのと大差はない。
「日本政府としては貴女とお子さんだけで帰国されることを勧めます」「それでは離婚されます」ソウル特別市の日本大使館や済州島と釜山にある領事館では日本人女性の集団レイプ事件の急増・頻発化を受けて電話での聞き取り調査を開始した。本来であれば本人を呼ぶか、大使館員を自宅に派遣して面談するべきなのだが韓国の行政当局は新型コロナの変異株の拡散防止を理由にして大使館員の個人宅への訪問を禁止している。
「離婚を心配すると言うことは家庭は円満なんですね」「・・・いいえ、私と子供が帰国すると決まれば夫にどんな目に遭わされるか判りません」大使館員は女性が真剣に怯えていることを察して個人情報の書類の横のメモに「DV(ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力」と書き込んだ。韓国では儒教道徳が濃厚に残っているため家族愛が強い反面、夫が絶対君主と化して妻や子供に絶対服従を強いることも珍しくない。さらに男性は異常にプライドが高いので妻が子供を連れて帰国することを裏切りと受け取って暴力を奮うことは十分にあり得る。
「夫は日本の大学に留学していたので会社では親日派と決めつけられて孤立してるんです。最近は上司まで仕事を与えなくなって雑用で最低限の基本給を受け取っています。それで私たちが帰国することになれば一家心中を考えるでしょう」日本では外国人を本人の好悪の感情や態度で親日派と反日派に分類するが、韓国での親日派は戦前の統治時代に日本の権力者に取り入り、戦後も日本企業に就職して高収入を得ていた売国奴を意味する。そのため最近では日本に関する知識が潤沢な知日派や好意的な好日派、さらに単なる反日的言動ではなく日本への攻撃的活動を実行している抗日派なる造語も使われている。
「しかし、現在のような状況が続けば貴女の身に危険が及ぶ可能性は高まるばかりです」「確かに私の友人も先日、子供に日本語で声をかけたのを聞いた男たちに集団レイプされました。子供をトイレに連れていくのに押し入ってきて、子供の目の前で散々レイプして引き揚げる時には『慰安婦の仕事だ』と声をかけたそうです」意外な情報に職員はメモ紙を1枚めくって記録する準備をした。在留日本人が犯罪に関われば大使館が対応しなければならないのだ。
「その友達は警察に届けたのですか」「いいえ、夫に訴えたんですが、『日本の女を慰安婦にする』と言うのは今の韓国では抗日運動として正当化されている。警察に届ければ愛国者の抗日運動を犯罪にしたと批判されて社会から抹殺されると説得されたそうです」この説明にも納得せざるを得ないほど韓国の反日感情は激化している。現時点の武力衝突の犠牲者は海上自衛隊の対潜哨戒機と航空自衛隊の緊急発進した戦闘機の撃墜による日本側の12名だけだが、韓国政府は対潜哨戒機を撃墜した後に自爆自沈した旧式のコルベットの損害賠償と謝罪を要求して国民の反日感情の扇動に利用している。最近の韓国軍は防衛駐在官の公務での接触を拒否し、逆に常に私服の軍人を尾行させるようになっている。
「お宅の事情は理解しますが、日本政府としては邦人の安全確保のためこれ以上事態が悪化すれば韓国外への退去を最大限の強さで要請することになります。それに応じないで残留した場合は何があっても自己責任になります」「はい・・・考えておきます」大使館員の重い説明に女性もそれ以上に重い声で答えた。大使館員は「日本政府としては」と繰り返したが実際は石田政権からの指示はまだ出ていない。石田首相はA日新聞を始めとする日本の大手マスコミが政府と防衛省・自衛隊の説明に疑惑を与える報道を続け、国民の中にも韓国政府の発表を信用する世論が広まっていることに過剰反応して謝罪と賠償による解決を模索し始めているらしい。それでも外務省としては最悪の事態に備えた対応の準備を進めなければならず、韓国駐在大使の独断としてこの業務が指示された。しかし、日本国憲法には緊急事態に政府が国民の権利を制限する規定がなく、仮に戦争が始まっても相手国に居住している邦人を強制退去させることはできない。それは東北地区太平洋沖地震や新型コロナ・ウィルス感染症でも指摘された問題だが、国民の多くが憲法を「不磨の大典」とする以上、敗戦以外の改定の手段はない。

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- 2022/02/13(日) 14:56:31|
- 夜の連続小説9
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