国際連合の常任理事国でも共産党中国を除くアメリカとイギリス、フランスと第2次世界大戦のポーランド侵攻ではソ連と共謀したドイツは雪が凍結して機甲部隊の行動が容易になるとすでにウクライナ国境付近に13万人もの戦力の配置・編成を終えているロシア軍が侵攻を開始するのではないかと厳戒態勢に入っているようです。
実際、アメリカは1993年にNATOに加盟した隣国のポーランドに約4500人を常駐させているのに加えて「AA=オール・アメリカン」の部隊章で有名な第82空中機動師団(旧・空挺師団)の1700人を含む3000人程度を増派し、開戦時には2日間でウクライナの首都・キエフを制圧できる作戦準備を進めていると報じられています。
ロシアのウクライナ侵攻が現実味を帯びるようになったのは前政権の汚職の一掃と2014年から東部地区で続くドンバス戦争の終結を公約にして2019年に当選した元コメディー俳優の大統領がウクライナとロシア、ヨーロッパ安全保障協力機構(OSCE)の3者で停戦を取り決めたミンスク合意の破棄を主張したことが発端でした。
ドンバス戦争はロシアによるクリミア併合時にロシア系住民が多いウクライナ東部地区が分離独立を主張して大規模なデモを繰り返したためウクライナ政府が武力鎮圧するとロシアの支援を受けた住民が武装蜂起して発生した内戦です。ミンスク合意では東部地区で選挙を実施して高度な自治を認めることが取り決められているのですが、高度な自治が分離独立に向かうことを懸念する現政権はこれを拒否していて、逆に分離独立と吸収併合を狙うロシアは合意違反を口実に武力で占領奪取しようとしているのです。
この危機に直面したウクライナ政府がNATO軍への加盟を模索し始めたこともロシアを刺激して問題を複雑化して解決への糸口が見つからず、現時点ではNATO軍の一員としてのアメリカ軍とロシア軍の睨み合いで開戦を先送りし続ける以外にないようです。ちなみに旧ワルシャワ条約機構加盟国(旧ソ連領を含む)で現在はNATOに加盟しているのはポーランド、アルバニア、ブルガリア、クロアチア、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、モンテネグロ、北マケドニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニアでロシアの孤立化が完成しつつあります。
NATOは「冷戦構造の崩壊によって軍事的脅威は消滅した」として旧植民地の実質的な支配を続けているイギリスとフランスを除く加盟各国は同業者には信じ難いほど大規模な軍縮を実施しましたが、それでも中世以来の仮想敵である帝政ロシア=旧ソ連=現在のロシアに対する警戒心は捨てていなかったようで、現在は4000人規模の旅団3個と特殊部隊、各生物化学兵器対処専門部隊の地上部隊や空母打撃群と機雷戦対処部隊の海上戦力に1日200回の作戦行動を可能にする航空戦力の25000人を初動対処用の即応部隊として5日から30日以内に動員できる態勢で常備しています。組織戦闘としては旧ユーゴスラビア内戦のPKO活動がスレブレニツァの大虐殺を生起させて失敗に終わるとNATO軍として空軍と地上部隊(水上艦艇からも艦対地ミサイルを発射している)が攻撃を開始して軍事占領による停戦を実現しました。
- 2022/02/13(日) 14:57:34|
- 時事阿呆談
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