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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

2月19日・第2次世界大戦中の大統領令9066号が廃止された。

1976年の2月19日に日米開戦から2カ月後の1942年2月19日に第32代・フランクリン・ルーズベルトの署名によって発布された大統領令9066号が第38代・ジェラルド・ルドルフ・フォード・ジュニア大統領によって廃止されました。つまり終戦後5代の大統領は放置したことになります。
アメリカ時間の1941年12月7日に日本海軍の真珠湾攻撃を受け、翌8日に連邦議会が対日宣戦布告を可決したことで国民の多数が第1次世界大戦への参戦を批判し、モンロー主義に回帰していたアメリカも連合国の一員として日本だけでなくナチス・ドイツとイタリア王国との戦争に参戦しましたが、独立戦争後は自国領土を戦場にしたことがなかったアメリカがハワイを攻撃された衝撃は大きく「ハワイの日系移民が手引きした」「奇襲に呼応して37パーセントを占める日系移民が暴動を起こして島を占領する」と言う疑心暗鬼に陥っていました。さらに日本海軍は真珠湾作戦と同時期に10数隻の潜水艦をアメリカ西海岸沖に展開させ、年明けからは航行する10隻以上の貨物船やタンカーを撃沈しただけでなく、沿岸の住宅街から数キロの沖に浮上して多くの住民の目の前で砲撃を加えて撃沈していて、「太平洋艦隊が壊滅した以上、日本軍の上陸は近い」と言う噂が広まっていた中で発布された大統領令9066号は「敵国を母国とするアメリカの居住民による諜報活動や軍の行動の妨害、破壊活動を防止すること」を目的として特定地域を軍の管理地域に指定する権限が陸軍長官に与え、現地軍司令官が必要と認めた場合は(国籍の指定はなかった)指定場所から退去させることを認める常識的な内容でした。
すると2月24日にカリフォルニア州サンタバーバラの石油精製所を潜水艦が砲撃で施設を破壊し、その翌日にはロサンゼルスで陸軍がレーダーが捕えた謎の機影に向かって激しい対空砲撃を実施し、落下した砲弾の破裂で3人が死亡、倉庫や自動車が被害を受けただけでなく日本軍上陸の誤報を聞いて3人が心臓麻痺で死亡する事態が発生しました。
この事態を受けて1942年3月2日にアメリカ本土西海岸一帯が陸軍の管理下に置かれ、日系人に強制退去が命ぜられましたが1世の多くは家業を営んでいた上、アメリカで生まれた2世や3世は市民権を保有していて、退去命令を出した現地軍が転居費用や生活保障を提示しなかったため応じる者は少なく、3月29日から日系人だけでなくドイツやオーストリア(ドイツ人とユダヤ人を区別しなかった)、イタリアからの移住者の強制収容が始まりました。逆に指定地域以外の日系人の自由は維持されました。ただし、1992年5月以降にカリフォルニア州の2カ所、アリゾナ州の2ヶ所に建設された「転住センター=強制収容所」に移送されたのは日系人だけでした。
敗戦後の歴史家たちは「これはアメリカの人種差別意識の結果だ」と反米感情を扇動するのに利用していますが、アメリカ政府と軍が前述の脅威を感じていたのは強大な海軍力を持つ日本だけだったことが理由ではないでしょうか。それでも1982年にロナルド・ウィルソン・レーガン政権が日系人に限定された強制収容を「人種的偏見、戦時のヒステリー、政治的指導力の誤った発露」として初代ブッシュ政権が損害賠償を行っています。
  1. 2022/02/19(土) 16:32:51|
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