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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ45

「今回の竹島の一件をどう思うかね」目黒地区では毎週のように陸上自衛隊教育訓練研究本部を中心に日韓の軍事衝突の今後についての話し合いが持たれている。新型コロナ・ウィルス感染症に配慮して席と席の間隔を取るため出席者は1佐以上に限定されているが、陸海空の上級幹部課程や指揮幕僚課程の講義でも留学生(韓国軍は帰国した)を含む入校学生の激論が続いているので教官としても他の自衛隊の見解を参考にしたいところだ。
「ウチの対潜哨戒機の時と同じく自作自演でしょう。問題は自衛官じゃなく漁民を殺したことです」本部長の質問には先ず海上自衛隊の1佐が答えた。昨日の日本のマスコミ報道ではアナウンサーが個人的見解として韓国は明言しなかった自衛隊による攻撃の可能性を島根県の漁船3隻が同時に遭難した事故に結びつけて推理して見せた。これを受けて夕刊と朝刊では「自衛隊が竹島を攻撃?」と言う見出しが躍り、今日の国会では野党が政府を追及している。
「昨日は現場海域で捜索中の海上保安庁の巡視船が韓国海軍の高速艇に威嚇射撃されたらしい」「それはニュースでは言ってなかったな」別の海上自衛隊の1佐が補足すると意外な情報に出席者たちは離れて座っている隣りの席と顔を見合わせた。かつての海上保安庁は海上自衛隊に憎悪に近い態度を取っていたが、2度の海上における警備行動が発令されてからは同じ任務で住み分ける同僚・同志としての意識を抱くようになり、情報の共有も進んでいるようだ。それにしてもこの問題が報道されなかったのは石田政権の政治判断なのか、海上保安庁の隠蔽か、マスコミ各社が自己規制を申し合わせたのかは不明だ。
「それに加えて問題なのは政府が我々を疑っていることです」次は陸上自衛隊の1佐が率直な見解を述べた。アメリカの仲介と独自の人脈で韓国との和解を模索する石田政権は日本のマスコミの韓国政府と日本政府の発表を同等に扱い、陸海空自衛隊内に反韓過激派の幹部が存在し、保守反動の加倍政権によって右傾化して韓国を敵視するようになっていると言う勝手な推察報道を半ば信じていて、閣議でも防衛大臣にマスコミ報道に沿った調査を命じているらしい。
「我々が事実を発表してもマスコミが疑問符を付けてしまうから韓国の虚偽が対等に徒競争してやがる」「アイツらはどこの国のマスコミなんだ」出席しているのは高級幹部ばかりだが、発端となった対潜哨戒機撃墜事件以降、マスコミの報道と韓国の対外宣伝工作によって国内外で虚偽が事実よりも先行している現状に鬱屈した思いを積らせているため言葉が汚くなった。それにしても自衛隊は世代交代が早いため阪神淡路大震災の災害派遣によって国民の支持が不動になる以前の反自衛隊報道を知る世代は現役を去っている。それでも沖縄で勤務すれば今でも敵意に満ちた針のムシロを体験できるが陸海では少数派だ。
「ここまでやると言うことは韓国は本気と見るべきですね」緊急発進機を撃墜された航空自衛隊の1佐が話を一段格上げした。航空自衛隊では緊急発進を実任務として通常の事故の殉職者は1階級の特進だが、緊急発進では戦死と同じ2階級にしている。そのため今回のジージョ1尉も2佐になった。あの事件の後、築城基地にマスコミが殺到したが、墜落した位置の関係で最寄りの小松救難隊が遺骸を収容したため当てが外れたマスコミは「事実を隠蔽した」「取材を拒否した」との疑惑報道を繰り広げた。そして部隊葬当日には築城基地の正門前に九州北部や中国地方西部の在日半島人が押しかけ、遺骨を抱いた妻を乗せた官用車が立ち往生し、取り囲んだデモ隊は車内をのぞき込んで罵声を浴びせ、窓を拳で叩いて威嚇した。当然、警備小隊員が駆けつけて入門させたが、現場にマスコミがいたため抵抗せずに暴力に黙って耐えていたのだ。そのため心中では戦意が固まっていても不思議はない。
「海外では中韓が一体化して反日世論の扇動を進めているようだ。本番となると中国も介入してくると見るべきだろう」ここで陸上自衛隊の将補が口を挟んだ。アメリカから届く非合法組織からの情報は出所を伏せて部内に配布されているが、アメリカ軍内ではここに来て北朝鮮が挑発行動を激化させているため一時期は大統領の署名を待つだけになっていた在韓米軍の撤退が白紙になり、同盟国としての日韓の取捨選択は不可能になっている。これも現在の北朝鮮と韓国の政権の実態を見ればアメリカ軍を足止めするための策略なのは明らかだが、アメリカ国内が中国資本に買収されたマスコミによる世論誘導で韓国の主張が事実化されている以上、親日的なバイデン政権も手がつけられないらしい。
「西部方面隊が正面になるから総監部としても秘密裏に作戦の立案に着手しているらしい」「2正面作戦か・・・苦しいな」陸上教育訓練研究本部でも防衛出動発令時の課程教育の取り扱いは定められているが、2年間の指揮幕僚課程は転属扱いになっているため2尉から3佐の課程学生を作戦中枢の幕僚か戦時に編成される部隊の指揮官として配分することになる。当然、最前線に赴かせることになるが、現在の教育で実戦が指揮できるのかは今一つ自信がない。
  1. 2022/02/25(金) 16:10:45|
  2. 夜の連続小説9
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