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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ75

「どうやら沖縄県警内にも工作員が潜入していたようです」テレビの臨時ニュースよりも前に九州管区警察局から連絡を受けた西部方面総監は最高度の秘匿機能を有する専用電話で陸上幕僚長に事態の発生を伝えた。九州管区警察局としても日韓の武力衝突を独自に検証してきて、実際は韓国側の捏造であることを確認してからは中国が黒幕の侵略を前提とする対策を研究していた。ただし、それはあくまでも中国軍と韓国軍が九州・沖縄に上陸した時の主要施設の警備と要人の警護、治安の維持、何よりも住民の保護と避難であって警察が発端を作るのに利用されるとは思っていなかった。沖縄県警の国境離島警備隊の補給係だった金城事務官は部隊が空港に向かった直後に所在不明になり、家族にも行き先は判らない。
「とうとう口火を切ったな」「開戦ですね」すると陸上幕僚長は極めて冷静に答えた。東京大学出身の陸上幕僚長は統合幕僚長の勇退を受けて転任する予定だったが、「有事が迫っている間は組織を維持する」と言う防衛大臣の意向で留任している。
「これで安全保障理事会に懲罰動議が提案されれば可決しなくても中国は動くでしょう」「アメリカでは中国人華僑と半島系移民がワシントン、ニューヨーク、ボストン、サンフランシスコ、ロサンゼルスの主要都市で数十万人規模のデモを起こして日米安保条約の発動を阻止する準備が整っているらしい」総監の見解に幕僚長もニューヨークの非合法組織からの情報を加えて同意した。中国は本来、殲ー20が墜落した時に「航空自衛隊機が正当な理由もなく撃墜した」として戦争犯罪国の常任理事国に対する武力行使への懲罰動議を提出する計画だったのだが、航空幕僚長の先制的奇襲反撃に遭って頓挫したのだ。この時、在アメリカの中国人華僑と半島系移民の団体は事前に北京と平壌、ソウルから準備を指令されていて韓国国内で常態化している日本人女性に対するレイプを楽しむつもりだっただけに欲求不満が爆発寸前らしい。警察の取り締まりも中国資本が押さえたマスコミを使って「警察のアフリカ系市民に対する差別的逮捕がアジア人にも及んだ」と言う批判報道で阻止する予定だ。
「それで常任理事国さまは何処に懲罰を加えてくると考えているのかね」「以前、閣下から日韓有事の研究を指示された時、韓国の背後には中国がいると補足されましたから韓国と中国の協同作戦を想定しています」「まるで元寇だな」幕僚長の返事に方面総監が笑った吐息が受話器から聞こえた。敗戦後の日本の学校教育では在日の北朝鮮人は朝鮮学校に通っても韓国人は日本人と同じ教育を受けているため歴史でも日韓の対立や抗争については触れないようにしている。そのため文永11年と弘安4年の元寇では朝鮮王朝が呼応して対馬と壱岐島に上陸して島民を大量虐殺した史実は教えていない。
「あの時、中国は国内のデモだけではアメリカの軍事介入は抑え切れないことが判っているから世論を刺激しないために在沖縄米軍には手を出さないと言われました。私も同感でして幅広く研究してみた結果、琉球王国の最盛期には徳之島まで領有していたことが判りました。つまり徳之島以南の奄美諸島に侵攻することは中国の属領だった琉球王国の領土の奪還と言う侵略の正当化が成立するんです。それで島内での地上戦を避けるため海上の基地がある奄美大島と航空のレーダー・サイトがある沖永良部島を除いた島が危ないのでは」「なるほど・・・それなら徳之島が危ないな。輸送機が離着陸できる空港もない小島を取っても戦略的な意味はない。その点、徳之島であれば利用価値は高い」「なるほど・・・」今度は幕僚長が方面総監の同じ返事を笑った。緊迫の会話のはずだが常在戦場の自衛官にとっては単なる本番なのだ。
「しかし、徳之島に守備隊を配置する訳にもいくまい。守備隊を置けばそこを避けて別の島に向かうだけだ」「とは言え占領されてから水陸機動団で奪還するのも馬鹿げています。自分としては地理的に極めて不利で、住民の支持もない対馬は放棄して対馬警備隊を徳之島に配備してはどうかと考えています。他の小島を占領されても戦略的な影響は小さいはずです」方面総監はバウ両庁の見解を踏襲した。しかし、幕僚長の反論は次元が違った。
「確かに防衛上の影響は大きくはないが問題はマスコミの報道だ。今でも開戦責任は日本側にあると韓国や中国の発表を紹介する形で批判報道を展開して反日世論を扇動している。これで開戦となって対馬だけでなく奄美の島まで奪われたとなるとマスコミは日本に勝ち目はない。離島を見捨てたと戦闘が始まる前に早期停戦を要求するのは目に見えている」「なるほど・・・」再び同じ返事を繰り返しながら方面総監は日露戦争における満洲軍参謀総長の児玉源太郎大将の逸話を思い出した。日露戦争緒戦の沙河会戦で日本軍がロシア軍を撃退すると東京の陸軍首脳はマスコミに「辛じて勝ちを拾った」と語り、それが海外では「ロシア軍の戦術的退却」と報じられる結果になった。これを聞いた児玉大将は同郷の山県有朋元帥や桂太郎首相、寺内正毅陸軍大臣に宣伝戦に対する認識が欠落していることに怒髪天を突いたと言う。
  1. 2022/03/26(土) 15:33:47|
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