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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

残念ながら台湾国民の期待には応えられません。

台湾の民間のシンクタンクがロシアのウクライナ侵攻が発生した後に行った世論調査で、「台湾は独力で中国の侵略を阻止できると思うか?」と言う質問に78.0パーセントが「不可能」と答えた一方で「中国が侵攻した時、参戦して台湾防衛に協力すると国」と言う質問に対しては43.1パーセントが「日本軍=自衛隊」と回答し、「アメリカ軍」の34.5パーセントを大きく上回りました。
シンクタンクは今回のウクライナ侵攻でアメリカのバイデン政権が「NATOに加盟しておらず、二カ国条約も締結していないウクライナの防衛義務はない」と侵攻が起こってからEUや日本と連携して経済制裁を課しているものの中国の妨害には及び腰になっていることが不信感を生んでいると分析しています。ちなみに蔡英文政権が共産党中国の意向に背いて経済制裁に参加していることは64.4パーセントが支持しています。
台湾とアメリカの安全保障上の関係はウィルソン政権による第1次世界大戦への参戦の結果、多大な戦死傷者を出したことへの反省からモンロー主義=アメリカ大陸鎖国への復帰が世論の大勢を占める中、フランクリン・ルーズベルト政権が日中戦争への介入を画策して蒋介石総統の国民党軍に陸軍の戦闘機に乗ったパイロットを義勇軍と称して派遣したのが始まりです。第2次世界大戦後は国共内戦への直接介入は避け、むしろ撤退を模索していましたが朝鮮戦争に共産党中国が参戦したことで敵視せざるを得なくなり、インドシナ紛争にも事実上参戦していたことを認識したアイゼンハウアー政権によって1955年に米台相互防衛条約(正式に中華民国美利堅合衆国共同防禦条約)が締結されたのです。ところが1971年に国際連合の加盟国と常任理事国が台湾から共産党中国に入れ替わるとニクソン政権は国交樹立を進め、1972年の国交正常化、カーター政権による1979年の国交樹立によって台湾は共産党中国の領土であることが確認されて相互防衛条約も1980年の期限で更新されずに消滅しましたが、これに代えて大統領独自の判断で台湾の防衛を果たす権限を与えた台湾関係法を制定して現在に至っています。つまりアメリカが防衛義務を負わないことが台湾の人々の不信感を招いているのです。
一方、日本は安倍晋三政権が改定した自衛隊法第76条2項の「我が国と密接な関係がある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由と幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」が台湾有事に関与し得る根拠法令ですが、これは日米安全保障条約を相互に防衛義務を課すために9・11のようなアメリカ本土への武力攻撃を想定しているので台湾有事への拡大解釈は難しいでしょう。
1996年の総統選挙で李登輝総統有利の観測が報じられると共産党中国は台湾海峡にミサイルを多数射ち込む演習を実施しましたがアメリカ海軍は空母艦隊を通過させて抑止しました。共産党中国にとってアメリカは直接対決すればただでは済まない軍事大国だから大人しく引き退がるのであって、自衛隊では「何ならついでに」と舐められて心中することになるでしょう。ましてや小渕恵三・小泉純一郎・安倍晋三政権の頃なら兎も角、岸田文雄政権下の自衛隊にはできない芸当です。
  1. 2022/04/04(月) 17:11:59|
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