2006年の明日4月16日にカナダの北極海にあるバンクス島でアメリカのアイダホ州から来たハンターが狩猟許可を持っていたシロクマだと思って射殺した熊が後に自然界では初めて確認されたハイイログマとの雑種=混血であることが判明しました。
野僧はアラスカ人の彼女と長く付き合っていたためアラスカの大自然については書籍とアルバムの写真や具体的で詳細な説明でかなり詳しくなりましたが、出身地は太平洋側のアンカレッジだったのでハイイロクマは本物を見た体験談を聞けてもシロクマは書籍やビデオで一緒に学ぶだけでした。ちなみにアラスカではハイイログマ(学術名の直訳は「恐ろしいヒグマ」)を内陸ではグリズリー(直訳すれば「白髪交じりの」)、太平洋岸ではブラウン・ベア=ヒグマと呼び分けていますが明確な動物学的分類基準はないそうです。
次の訪問時、野僧が持ってきた本で日本の本土のツキノワグマの写真を見せながら大きさや習性を説明すると彼女は「可愛い」「ペットにしたい」と笑い、千歳基地から来ている先輩から聞いた北海道のヒグマの話をしても「ミニチュアのグリズリー」と言っていたようにキャンプで撮影した写真では4つ足で立っていても父親の4WD車とあまり変わらない巨体でした。また立ち木の幹に残っている爪を研いだ痕は皮を破り剥がしていて巨木の立ち枯れの原因になると彼女の父親が言っていました。
写真で対象物と比較した感じでは北海道のヒグマの倍はありそうですが、平均的な体重と体長はハイイログマの雄が体重180から360キロ、雌は130から180キロ、体長はどちらも200センチ前後なのに対して近いと言われる北海道のヒグマは雄が120から250キロ、体長190から230センチ、雌は160から180センチ、150から160キロで大差はないそうです。ただし、ハイイログマは外見上、前足の付け根の背中に大きく盛り上がった瘤が目立つ特徴になっています。
一方、シロクマ(=学術名は「海に棲むクマ」)は雄が体重340から660キロ、体長200から250センチ、雌は150から250キロ、180から200センチと氷の海に棲む分、皮下脂肪が厚くなって体重は重く、特に妊娠中の雌は500キロに達することもあるようです。外見上の特徴としては水中で活動するため顔はハイイログマよりも尖っていて耳は小さく、体型も体重が重い割には細長いようです。
この日、ハンターが射殺した熊を確認したカナダの国立公園当局は全身が薄いクリーム色の体毛で覆われているものの目の周りや背中と脚にハイイログマの茶色の毛が生えていることに気づき、ハンターが5万ドルで狩猟許可を買ったのはシロクマであり、別の種類の熊を殺せば1000カナダドルの罰金と1年の懲役を科されるため専門家にDNA鑑定を依頼したのです。その結果、この熊が母親はシロクマ、父親はハイイログマの雑種=混血であることが判明しました。この組み合わせの雑種は動物園などで実験的に交配させた例はありますが、自然界では1864年にイヌイットが捕獲したクリーム色のグリズリーの前例があるだけでした。動物の生息域分布の研究には貴重な熊でしたが剥製になってイギリスのウォルター・ロスチャイルド動物博物館に展示されています。
- 2022/04/15(金) 16:06:31|
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