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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

4月24日・宇宙開発史上初・ソユーズ1号激突死事故

1967年の明日4月24日にソビエト連邦のウラジーミル・コマロフ大佐(最終階級)が搭乗するソユーズ1号が地上に激突して宇宙開発史上初の死亡事故が発生しました。
ソユーズはユーリイ・ガガーリン大佐(最終階級)が人類初の地球周回飛行を達成した1人乗りのヴォストーク・シリーズ、それに続く2人乗りのヴォスホート・シリーズの後継機種でアメリカのアポロ計画に対抗する人類を月面に送るために開発されました。しかし、ソ連の宇宙開発を指揮していたセルゲイ・ハーヴロヴィチ・コロショフ博士が癌を発症して闘病生活に入ったため共産党指導部の政治的強制に屈従することになり、ソユーズは基礎研究が不十分なまま性能を求める悪循環の中で開発に当たった技術者たちが200ヶ所以上の致命的欠陥を報告していた上、無人での射ち上げ実験では一度も成功していない有人飛行に使用してはならない粗悪品でした。
ところが共産党指導部はアメリカのアポロ計画が宇宙飛行士3名が焼死した事故で停滞を余儀なくされたことを受けて4月22日のウラジミール・レーニン議長の誕生日に派手な成果を上げることに躍起になり、ソユーズ1号の翌日に2名を搭乗させた2号を射ち上げて宇宙遊泳で1号に乗り込んで地球に帰還する見世物的計画を強行したのです。
そんなソユーズ1号への搭乗を命じられたのは宇宙飛行士としての訓練で指導的立場を果たし、ヴォスホート1号で宇宙飛行を経験しているコマロフ大佐で、予備=待機要員にはガガーリン大佐が選ばれました。この人選には失脚したニキータ・フルシチョフ書記長の政治的宣伝に利用されていたガガーリン大佐を抹殺するために射ち上げ直前に交代させる陰謀があったと言われていますが、コマロフ大佐は英雄となったガガーリン大佐を守るため交代には応じず、逆にガガーリン大佐はソユーズ1号に向かうコマロフ大佐を制止して一緒に拒否するように勧めましたがソ連においては共産党の命令は絶対なので決められた手順でコマロフ大佐が搭乗しました。
ソユーズ1号は4月23日の深夜の午前3時35分にバイコヌール宇宙基地から射ち上げられましたが地球の周回軌道に入った時から本来は2枚開くはずの太陽光発電パネルが1枚しか開かない故障が発生して機内の電力量が不足して計器類が正常に作動しない状態に陥り、姿勢制御装置も故障してコマロフ大佐は前転横転を繰り返す船内で地球を周回することになりました。さらに手動操縦不能に陥ったため2号の発射は中止され、妻が管制室に招き入れられて最期の会話を交わした後、13周目をもって遠隔操作で逆噴射を作動させ大気圏に再突入したのです。しかし、射ち上げ前に技術者が欠陥を指摘していた通りパラシュートが開かずに時速145キロで落下を続け、着地直前に逆噴射して急減速することに最後の希望を賭けましたがこの逆噴射も作動せず、この残していた燃料は地上に衝突後にカプセルを爆発・炎上させてコマロフ大佐を火葬しました。
この事故を受けてソ連は珍しく18カ月間射ち上げを延期して欠陥の改良を徹底し、その後も不具合を確実に繰り返してきたため現在では「世界で最も安全な宇宙船」と評されて、国際宇宙ステーションへの往復などで使用され続けています。
  1. 2022/04/23(土) 15:01:40|
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