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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

ウクライナ侵攻を教材に戦時輸送を愚考する。

2月24日にロシアがウクライナに侵攻して2か月半になろうとしていますが、戦況は航空自衛隊の元警備幹部=航空陸戦隊指揮官の野僧が予測した通り、機甲部隊を主力とするロシア軍がウクライナ軍のゲリラ戦の術中にはまり、1939年11月30日からの冬戦争でソ連軍機甲部隊がフィンランド軍に散々に撃破された二の舞を踊っています。
現在、ロシア軍は首都・キーウの占領とウクライナ全土の制圧を先に延ばして分離独立を望むロシア系住民が多く、2014年にロシアが勝手に併合したクリミア半島に隣接する東部地区に攻撃重点を絞り、4月21日にプッチン大統領(最近は切れっ放しのようなので)が「ウクライナ東部のマリウポリでの軍事作戦が成功した」と発表しました。
野僧は現役時代、警備幹部の他に輸送幹部と言う適性と興味が全くない職種にも指定されていて、戦況が停滞したところでこちらの立場で教材を活用しようと思い立ちました。
ゲリラ戦術の基本は敵の弱点を叩くことで敵地に深く突進する縦深突破戦術を常用するロシア軍の機甲部隊にとっては食料と燃料、弾薬を追送する伸び切った補給線=輸送部隊が最大の弱点になります。冬戦争でもフィンランド軍は卓越したノルディック・スキーによってソ連軍の後方に回り込み、輸送部隊をことごとく撃破して燃料不足で停止した機甲部隊では暖房が効かない戦車の中で乗員が空腹に耐えていたところを包囲・攻撃して壊滅しましたが、今回のウクライナ侵攻ではヘリコプターによる輸送でも携帯式地対空ミサイルが絶大な威力を発揮して補給を遮断し、包囲したはずのロシア軍が弱体化して撤退せざるを得ない窮状に陥りました。
これらの戦況を航空自衛隊が実施する輸送戦術に適用するとすれば、日本国内で間接侵略による大規模テロが発生して出動を準備している自衛隊基地に物資を送る車両が襲われて破壊される。防衛出動が下達されるのと同時に少数武装ゲリラが活動を始め、同様に車両を襲い、空輸するヘリコプターも撃墜されるなどの状況が考えられます。
野僧は第3術科学校の輸送幹部課程に入校中、運行統制や車両管理と安全運転指導などの平時の輸送業務のみの課程教育に疑問を持ち=嫌気が差し、車両管理で塗装の色を詳細に説明する教官に「現在の航空自衛隊の車両のOD色は針葉樹の葉の色だが、広葉樹林が多い西部航空方面隊での迷彩効果を考えると地域ごとに選択できるアメリカ軍式に変更するべきではないか」などと毎回のように追及したため胃潰瘍で入院させてしまいました。
また浜松時代には暗視眼鏡の英文の取扱説明書を翻訳したところ機能として「無灯火での車両の操縦が可能」とあったため基地内の巡察車両で実習させると輸送員たちも関心を示して当直ドライバーの時に体験するようになり、第3術科学校に教程の無灯火運行の実施要領(=懐中電灯を持って前を歩く)の改訂を申し入れましたが握り潰されました。
さらに滑走路を使用して車両の限界速度を体験させる訓練や警備小隊の護衛を受けながらの戦闘輸送を総合演習で実施しようとしましたがこれは輸送小隊長に拒否されました。
野僧が第5術科学校の兵器管制幹部課程に入校中に湾岸戦争が起こると課程内容を中断して戦況の分析研究に励みましたが、第3術科学校の輸送幹部課程はこの教材をどうするのでしょうか。
  1. 2022/05/04(水) 14:50:53|
  2. 常々臭ッ(つねづねくさッ)
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