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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ118

治安出動を命ぜられた陸上自衛隊に与えられた任務は機動隊の増強や支援ではなく在日中国人を対象にした銃砲刀剣類所持等取締法に基づく家宅捜査と摘発だった。日本では正規の手続きを踏んだ合法的移住者だけでも約80万人の中国人が生活しており、密入国や観光などの目的で来日したまま行方不明になった不法入国者を含めれば100万人を超えるとも言われている。今回の事件で逮捕されたデモ参加者は全員が完全黙秘していて武器の入手経緯や指揮系統、あそこで発砲を始めた目的は明らかになっていないが、各地方裁判所も今回の凶悪事件に「在日中国人」と言う身元だけを根拠に捜査令状を交付することに同意したのだ。
「呂明文さんのお宅ですね。治安出動命令を受けた陸上自衛隊第32普通科連隊の大村2曹です。2曹は警察官の巡査長に相当します。呂明文にさいたま地方裁判所から捜査令状が交付されました。家宅捜査します」首都圏でも在日中国人の自宅に陸上自衛隊員が派遣され、家宅捜査を展開した。家宅捜査の実施要領については各駐屯地に所在する警務隊と近傍の警察署の担当者による事前講習を受けているが、隠し持っている拳銃を発砲してくる危険を考慮して戦闘服に防弾チョッキを着用し、鉄帽を被って指揮官は実弾を込めた拳銃を携帯している。指揮官のみなのは陸上自衛隊では中隊長以下は小銃を携帯するため保有数が足りないからだ。
「主人は真面目なサラリーマンです。中国人の友だちはいても政治的な活動には参加していません」「そうでしょう。国会周辺で機動隊員を射殺したデモ参加者たちも大半は真面目なサラリーマンや店員、技能実習生に留学生でした」このマンションの住人・呂明文の日本人の妻は自衛隊員たちが土足のまま室内に踏み込み、次々に家具の引き出しを外して中を確認し始めると半ば泣き顔になって指揮官の大村2曹に訴えた。しかし、封殺するための反論は用意してある。中国は日本への懲罰を宣言しながら国交を断絶していないため在日大使館は機能していて死亡し、逮捕されたデモ参加者の身元照会には誠実に応じた。その結果、今回のデモ参加者は在日中国人が運営するインターネットのサイトに統制された東京都内のサラリーマンや店員、技能実習生と大学への留学生が中心だったが、「護身用に入手していた拳銃と実弾を携帯してきたのは偶然の一致だった」と言う全く信用に値しない回答だった。
「これがご主人の机ですね」「主人を呼びます、待って下さい」指揮官は中央のリビングに留まり、隊員たちが子供部屋や夫婦の寝室のタンスを開けて、勉強机の引き出しや本棚に並ぶ本の奥まで確認しているのを監督していたが、リビングの隅にある古びた机に歩み寄って妻に声をかけた。机の上には中国製のパソコンが置いてあり、本棚には中国語の本が並んでいるので呂明文と言う住人が愛用している勉強机のようだ。
「失礼」大村2曹は制止しようとする妻が近づく前に引き出しを開けた。机の構造は大村2曹が高校生まで自宅で使っていた勉強机と同じなので使い方も想像できる。大村少年は3段になった右手の引き出しの目立たない2段目にセンズリ用のエロ本を隠していた。
「これは拳銃だな。ご主人はサバゲの趣味はないでしょう」「いいえ・・・サバゲって何ですか」大村2曹が引き出しを全て外すと引き出しの枠の底に3角形の布袋が置いてあった。並べてある茶封筒は実弾らしい。大村2曹は警務隊に指導されたように発見の状況をカメラで撮影しながら妻に確認した。すると妻は反論しようとしたがサバイバル・ゲームの略称を知らなかった。仮にサバゲの趣味があったとしても自衛官が手に取れば鑑定に出すまでもなく実銃か玩具なのかは判明するから無駄な抵抗ではある。
「これは92式手槍ですね」「国会議事堂で逮捕された連中が持っていたのも92式だったぞ」「西側への輸出用だから弾丸は9ミリのはずです」大村2曹は布袋と茶封筒を取り出すとリビングの中央にあるテーブルの上で中身を出した。すると子供部屋の捜索を終えた3曹が警察から渡された参考資料のファイルの写真と見比べながら判定した。出てきた拳銃は洗練されたデザインの手のひらサイズの小型で外観上はプラスチック製の部品が使用されていて東側の軍用拳銃とは思えないが、西側への輸出用と聞いて納得できた。実弾も連隊本部の幹部の拳銃射撃訓練に参加して取り扱った覚えがある9ミリ弾だ。
「ご主人は銃砲刀剣類所持等取締法違反容疑で逮捕されます。着替えなどを差し入れることを勧めます」「主人は・・・夫はどこでそのような恐ろしい武器を入手したのでしょうか」妻は先ほどまでの追い詰められた小動物のような態度から一転して裏切られた女の冷め切った表情になり、呼び名を言い換えて質問した。
「硝煙の臭いがする。この拳銃は何度も射っていますね。どこかで射撃訓練をやっていたのでしょう」大村2曹は銃口を鼻に近づけると質問に対する回答ではない説明をした。これで妻にも呂明文が母国の命令を受けて反日暴動に参加する予定だったことが理解できた。
56・進藤晶子イメージ画像
  1. 2022/05/08(日) 14:27:03|
  2. 夜の連続小説9
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