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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

5月13日・航空自衛隊が初めてホット・スクランブルを実施した。

昭和33(1958)年の明日5月13日に同年2月17日から千歳基地で対領空侵犯措置=アラート任務についていた第3飛行隊のF-86F旭光が初めて緊急発進=ホット・スクランブルを実施しました。
ホット・スクランブルの通称は緊急発進するためパイロットと整備員が機体の周りで慌しく動き回る姿が「スクランブル・エッグを作っているのに似ている」に由来します。
対領空侵犯措置は占領軍時代の在日アメリカ軍が領空よりも外側に設定した防空識別圏=ADIZに飛行計画=フライトプランを提出していない彼我不明機=アンノウンが接近・突破した時に実施され、野僧は監視する警戒管制部隊と発進する戦闘航空部隊の両方を経験しているので日本の独立と安全を守る「空の防人」の醍醐味を人一倍堪能してきました。
野僧は中学時代からモスクワ放送でロシア語を覚え、アラスカ人の彼女仕込みの北国訛りの英語だったためソ連軍機に通・警告すると通常は無視するパイロットが喜んで返事をしてきて会話が弾み、「国際問題になる」と航空方面隊から談笑を禁じられました。
航空自衛隊の緊急発進は始まった1958年は25回でしたが、翌59年からは119回、60年=150回、61年=192回、62年=235回、63年=197回ときて千歳基地にFー104J栄光が配備された1954年には305回に急増し、65年=387回、66年=358回、Fー4EJファントムⅡを導入した1967年には420回、68年=368回、69年=377回、70年=370回、71年=346回と1日1回ペースが定着し、72年=306回、73年=257回、74年=323回、75年=309回と減少傾向になっていた1976年9月6日にミグ25が函館空港に強行着陸したベレンコ中尉亡命事件が発生し、ソ連軍が威示行動を繰り返したため523回に跳ね上がりました。それからは77年=486回、78年=798回、79年=638回、80年=783回、81年=939回と高止まりしていて、野僧が航空自衛隊に入隊した1982年も926回です。ところが83年は675回に減少したものの9月1日にサハリン上空での大韓航空機撃墜事件が発生するとほとんど実戦の様相を呈する威示行動が始まって翌84年は944回に戻り、85年=898回、86年=825回、87年=848回(12月9日に警告射撃を実施)、88年=812回、89年=812回、90年=604回の高水準が91年は488回に急落して12月26日にソビエト連邦が崩壊したのです。
それからは92年=331回、93年=311回、94年=266回、95年=166回96年=234回と北の脅威は沈静化しましたが、2010年に海洋進出戦略を発表した中国が東シナ海に出没するようになり、3月11日の東北地区太平洋沖地震発生後にロシア、中国、韓国が日本の防衛態勢を確認したのを契機に2011年は425回、12年=567回、13年=810回、14年=943回、15年=873回、16年=1168回(最多記録)、17年=904回、18年=999回、19年=947回と主戦場を換えて昭和50年代の水準に戻り、現在は尖閣諸島の領空は中国側からの方が近いため、戦闘機が東シナ海上空でCAP=戦術哨戒飛行してアンノウンに指向しています。
  1. 2022/05/12(木) 14:11:29|
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