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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

5月17日・長久手立てこもり発砲事件が発生した。

2007年の明日5月17日に警察の特殊急襲部隊=SATが初=唯一の殉職者を出した長久手立てこもり発砲事件が発生しました。
事件はこの日の午後3時47分頃、愛知県長久手町(現在の長久手市)の民家から「父親が拳銃を持って暴れている」と通報が入り、2分後に「父親はもう落ち着いた。警察が来ると父親が興奮するから来るな。拳銃は玩具だ」と続報が入りました。父親=犯人は元妻に復縁を迫り、拒絶されたため拳銃を持ち出して家族を脅していたのです。そこで最寄りの派出所から巡査部長が駆けつけると元暴力団員の父親=犯人が家の中から回転式拳銃を発砲し、巡査部長は首を射たれて出入り口付近に倒れました。この間に息女2人が射たれて負傷していた息子と息女を連れて脱出しましたが元妻=母親は取り残されました。
その直後に捜査車両3台で愛知県警の刑事課員10名が拳銃を携帯せずに到着しましたが、犯人が「救急車を近づけたら射つ」「弾丸は100発ある」「爆弾を持っている。近づくと爆発させる」と脅迫した倒れている巡査部長を救助することはできませんでした。
午後4時45分頃に愛知県警の機動隊が到着し、拳銃を持った隊員を民家の窓から死角になる位置に配置して狙撃の態勢を取りましたが、突然、前線指揮所から「下がれ」と言う命令が出て狙撃による突入は中止になりました。午後6時頃には愛知県警特殊捜査班=SITの隊員が到着して民家裏の空き地で盾を持った7人を先頭に並んで前進し、その後ろに拳銃を構えた3人が続き、最後尾に担架を持った6人の隊形で巡査部長を救出する準備=練習を始めましたが、愛知県警の特殊急襲部隊=SATが到着した午後8時20分になってようやく救出作戦の実施を決定し、70メートル離れた建物の屋上に狙撃手1人を配置した上で息女が父親と電話をかけて午後8時54分に救出作戦が始まりました。
それでも作戦は遅々として進まず午後9時30分を過ぎて巡査部長を担架に乗せて搬送していた時、民家の番犬が吠えて顔を出した父親が気づいて発砲し、その1発が掩体として乗り入れていた警備車両の陰で短機関銃を構えていたSATの林一歩巡査部長の頚部に命中したのです。林巡査部長は防弾チョッキを着用していましたが、弾丸は胸と背中の継ぎ目から左鎖骨下部と上行大動脈を貫通して翌18日の午前0時頃に搬送された病院で殉職しました。死因は外傷による心不全とされています。なお、救出された巡査部長は外傷性クモ膜下出血の重傷を負い、半身不随の後遺症が残りました。
事件は犯人が午前10時頃放送のFMラジオ番組への電話出演を要求し、実際に電話をして人気DJと話している間に人質の元妻が脱出したことで弱気になり、午後8時30分過ぎに投降して逮捕されました。
愛知県内の民間放送はこの事件を実況中継していたので野僧も喰い入るように見ていましたが、元プロの目で見ると殉職したSATの隊員を含む警察官の行動・動作は無防備に身体を露出していて完全な練度不足であり、近隣への被害や対応の失敗による批判を恐れて断固たる処置を避けていた指揮官の状況判断も全く稚拙で警視庁や静岡・福岡県警の友人たちから聞いていた愛知県警のレベルの低さを実感しました。
  1. 2022/05/16(月) 12:37:45|
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