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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ139

「日本人を生かして帰すな」「日本で殺された人民の仇を討て」「日本人資本家の搾取を断罪せよ」日韓に続き日中の軍事衝突が本格化すると中国各地の経済開放地区に進出している日本企業が中国人暴徒の襲撃を受けるようになった。その中には従業員も加わっていて敷地に侵入すると工場内を案内して略奪を手引きしていた。
「日本は在日中国人を殺害していません。中国が不法に持ち込んだ銃器を所持していた犯罪者を逮捕して国外退去させているだけです」工場では日本人の工場長が社内アナウンスで暴徒たちに日本国内の実情を説明している。確かに日本では在日の中国人と韓国人による刑法犯罪が急増し、警察が逮捕に向かうと拳銃を発砲し、さらに周囲を取り込んでいる群衆からも銃撃を受ける状況になっている。このため警察官も防弾チョッキに鉄帽を着用して現場に向かい、到着する前にパトロール・カーの車内で拳銃を用意して直ちに応射できるよう構えて下車するようになっている。しかし、発砲するのは正当防衛と緊急避難に留め、警告、威嚇射撃などの手順も維持しているので射殺したのは銃撃戦になった時だけだ。それでも中国国内では銃器刀剣の不法所持で摘発され、強制退去処分を受けて帰国した(刑法犯罪で逮捕されれば拘置所に収監される)元在日中国人たちがインターネットで「日本では在日中国人を無差別逮捕している」「在日中国人の犯罪者は射殺している」と書き立て、A日新聞が提供した遺骸の写真を添えて事実のように演出していた。これは第2次世界大戦後の極東国際軍事裁判所だけでなく現地で開廷したB・C級戦犯の裁判でも用いられた証拠の捏造で、中でも南京大虐殺の犠牲者として東京裁判で証拠採用された大量の遺骸の写真は中国の満州軍閥が殺害した馬賊のものであることが後年になって確認されている。
「虚偽の言い訳を繰り返すならこの日本人も同罪だ。シャー(殺=殺せ)」「殺せ」「殺せ」暴徒たちは工場の高いフェンスに手をかけると「殺せ」と声を揃えながら一斉に揺すり始めた。するとフェンスの中で暴徒の様子を注視していた警備員たちが建物の中に歩いていった。
「何だ、君たちはデモたちの侵入を阻止するのが仕事だろう」間もなく社内アナウンスから工場長の叫び声が流れ始めた。どうやら警備員たちが放送室に乱入したようだ。この工場の警備員は契約雇用した中国の警備会社の社員であり、全員が中国人だ。
「シャーッ(殺せ)」バーン、バンッ、バンッ、バンッ。続いて社内アナウンスは男の叫び声と数発の銃声を放送した。中国でも警備保障会社の警備員は拳銃の携帯や使用を許されていないが、この様子では放送室に向かった警備員たちは隠し持っていたらしい。
「中華人民共和国、バンゼー(万歳)」「万歳」「万歳」放送を聞いた暴徒たちは拳を突き上げて絶叫を始めた。そして正門に駆け出すと工場内に侵入して倉庫に置いてある完成した製品や控室の家電製品、さらに社員食堂の食器から大型で持ち出せない冷蔵庫の中の食材まで奪ったが、今回は破壊することなく逃走した。この工場を中国が強制接収し、再稼働させることを知っているようだ。同様の事件が各地の日本企業で発生したが中国の警察は対応せずに放置した。
結局、この事件も日本国内に武器を持ち込み、内乱を発生させたが警察と治安出動した自衛隊が法令に基づいて厳格に対処し、A日新聞を中心とするマスコミによる反政府世論の扇動も効果がなく、太平洋上では世界最強の日米海軍が合同作戦を遂行して軍艦だけを揃えた中国海軍では太刀打ちできないことを見せつけられている共産党執行部の欝憤晴らしのようだ。
「在中国の日本人全員を強制退去させなければならないな」このニュースを知った石田内閣では緊急閣議を開いてこれまで先延ばしにしてきた抜本的な対策を決定した。中国在住の日本人は細菌兵器の蔓延によって観光客が激減し(事実上の消滅)、工場などの管理職と技術指導者、中国国内の企業の代理店や出店しているチェーン店に派遣されている常駐社員と家族に限られているが、それでも約12万人になる。
「問題は政府がチャーターする旅客機の乗り入れを中国が認めるかですが」「自衛隊機は無理だな」「黄海と東シナ海であれば国内用フェリーでも渡航は可能でしょう」「しかし、入国時の新型コロナの検疫には万全を期さないと」決定してから問題は百出したが、厚生労働大臣だけは指摘した問題の次元が違っていた。
「それで日中の国交も断絶するのですか」「それは拙い。あくまでも危険事態に伴う邦人保護を目的とする緊急措置だ」外務大臣の確認に石田首相は即答した。この辺りは2人が所属する計算づくの常識的な判断しかしない派閥の発想だ。
「陸路となるとベトナムに南下してそこから空輸と言うのが常識的ですが」「船舶はすでに太平洋上でタンカーが攻撃を受けていますから危険です」浜防衛大臣の指摘は本当は「未遂」なのだが閣僚たちの危機感を高めるためには適切な省略=編集だ。
  1. 2022/05/29(日) 16:23:30|
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