ロシアのウクライナ侵攻から3カ月経過してもベトナム戦争以来のアメリカを敵視してソ連=ロシアや共産党中国の軍事行動を隠蔽する報道を堅持している日本のマスコミ各社は戦況を詳細に解説するだけで当事者=加害者のロシアが隣国であり、日本も同様の脅威に直面していることには意図的に触れない報道手法を継続していますが、国民は無関心でも馬鹿ではなくロシアや共産党中国の脅威を切実に感じ取っていて、それを背景に岸田政権と自民党は防衛費の大幅な増額を検討しているようです。
しかし、何よりも問題なのは国民がマスコミの報道の隠蔽工作によって情報が遮断されている中で共産党中国の軍事的脅威=一路一帯戦略が既に末期状態に立ち至っていることを具体的に認識していないことです。共産党中国の一路一帯戦略は中国本土から中東の産油国、さらに事実上の植民地であるアフリカ大陸を結ぶ黄海・東シナ海・南シナ海・タイランド海・マラッカ海峡・インド洋の航路の制海権を奪取して維持するものですが、それは海軍力だけではなく経済支援、世論操作の情報戦も駆使した総合戦略です。
共産党中国は先ず古代から多くの華僑が移住しているタイとシンガポールに親中傀儡政権を樹立することから始めましたが、シンガポールでは香港と同様にイギリスの植民地時代からの私立大学の買収が思うように進まず若い世代の毛沢東主義への洗脳が不十分です。逆に洗脳に成功したタイでは毛沢東主義を信奉する若い世代が王制を否定する政治運動を起こすと華僑の経済独占に反発する現地人との間で内戦状態に陥り、それを鎮圧するために出動した陸軍が政権を握り、こちらも野望が頓挫しています。
ところがインド洋の航路上の拠点となるスリランカでは四半世紀に及んだ内戦の巨額の戦費を貸し付けた見返りとしてコロンボに潜水艦基地を確保し、戦費の返済によって経済破綻に追い込んで事実上の属国化を画策しています。さらにアフリカ大陸の東岸の紅海の入り口のジブチにも同様の手法で軍港を獲得し、現在はイギリス海軍が握っているインド洋の制海権を奪取する拠点は確保しました。そして植民地時代に農場開拓労働者として多くの中国人が移住したオーストラリアでは1950年代のアメリカ公民権運動に呼応して本来は原住民のアボリジニが対象だった権利拡大に中国系移民が便乗して選挙権を獲得したことで強い政治的影響力を持ち、親中政策を進めて北部の太平洋岸に軍港を獲得する寸前だったのですが、同じ旧イギリスの植民地のスリランカが落ちた共産党中国の罠に気づいて回避すると今度はソロモンに手を伸ばして軍港を獲得しています。
日本にとって共産党中国の一路一帯戦略が脅威なのはそれが日本の輸出入の主要航路と完全に重なっていることで、ここの制海権を握られれば完全に輸入に頼っている原油や多くの食糧は忽ち滞り、国民が昔ながらの米飯食に戻れば飢餓に陥ることはありませんが、電力による文化的生活は維持できません。
その一方で日本が海上防衛力を強化しても建造した艦艇に乗り組む若者が全く足らず、苦肉の策として自動化を進めていますが限界があります。制海権の奪還には足下の問題解決が前提のようです。「男と生まれ 海を征く・・・おお選ばれた自衛隊 海を守る我等」
- 2022/05/29(日) 16:25:07|
- 時事阿呆談
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