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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

6月11日・スイス空軍のパトルイユ・スイス唯一の墜落事故が発生した。

2016年の明日6月11日にスイス空軍のアクロバット・チームのパトルイユ・スイスがオランダのレーワルデン基地の航空祭前日の準備練習中に1964年の編制以来唯一になる空中衝突墜落事故を起こしました。
パトルイユと言うアクロバット・チームと言うとイギリスのレッド・アローズ、イタリアのフレッチェ・トリコローリと共にヨーロッパの3大アクロバット・チームに数えられているパトルイユ・ド・フランスを思い浮かべてしまいますが、パトルイユは「編隊」を意味するフランス語の単語なのでドイツ語、イタリア語、フランス語を公用語としているスイスの空軍が使用しても不思議はありません。
パトルイユ・スイスは空軍創設50周年を記念してイギリス製のホーカー・ハンター戦闘機の4機編隊で編成され、1964年8月22日にローザンヌで開催された国内博でデビューしました。海外のアクロバット・チームはアメリカ海軍のブルー・エンジェルスが1946年、フランス空軍のパトルイユ・ド・フランスが1953年、アメリカ空軍のサンダーバーズが1956年、航空自衛隊のブルー・インパルスが1960年、イタリア空軍のフレッチェ・トリコローリが1961年、イギリス空軍のレッド・アローズが1965年の編制なので必ずしも後発のデビューではありません。
その後、1968年には幕間として運動性が良いフランス製のダッソー・ミラージュⅢが2機加えられましたがやはり主役はハンターでした。
ミラージュⅢの退役を受けて1970年に1機、間もなくもう1機のハンターが追加されて6機編隊になりましたが、これはパトルイユ・スイスで使用している機体も空軍が戦闘機として使用しているためでアクロバット用の下面の赤白の塗装は標的機としての識別用とされていました(機種にはチームのエンブレムが描かれていた)。
1995年からは戦闘機の機種更新に伴いアメリカ製のF-5Aタイガーに変更され、塗装も全体を白く塗り、スイスの国旗をイメージした赤の線を入れて本格的なアクロ・チーム仕様になりましたが、スイス空軍はF-5Aタイガー戦闘機を36機しか保有していないためアクロ用の塗装を施した6機はあくまでも標的機であり、依然としてパイロットも展示に合わせて選抜される臨時編成です。
さらにF-5Aタイガーは戦闘機としての耐用年数は2016年が期限とされていたため2013年2月にはスイス政府の国防大臣が後継戦闘機として選定したスウェーデン製のサーブ39グリペンの導入が却下されて決定したアメリカ製のF-18ホーネットの導入が遅れていて「2016年初頭にパトルイユ・スイスを解散せざるを得ない」と発表しました。それでも2014年夏の時点で「2016年末にF-5A×6機をF-18×4機に更新する」と訂正され、さらに議会は「F-5Aを攻撃機として使用することで2018年までパトルイユ・スイスでも継続使用できる」と決議しました。
そんな中で発生した事故では1機のパイロットは脱出に成功して機体は近くの池に墜落し、もう1機は損傷しながらも基地に無事に着陸して2人とも軽傷ですみました。
  1. 2022/06/10(金) 14:43:50|
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