東北地区太平洋沖地震による記録上は前例がない大津波で福島第1原子力発電所が崩壊して放射能漏れによって避難生活を余儀なくされている3700人が「大津波の発生は2008年の東京電力の試算によって予見されており、その時点で国が必要な対策を指導していれば原子炉の崩壊と放射能漏れは防止できた」として14億円余りの損害賠償金を要求する訴訟で最初の最高裁判決が下りました。同種の訴訟は約30件起きていてこの判決は福島・群馬・千葉・愛媛での4つの訴訟の統一判断です。
この4つの訴訟の高等裁判所の判決では群馬以外の3つ訴訟で国の責任を認めたためマスコミは「原告勝訴が当然」と言う論調でしたが、最高裁は東京電力が試算していた津波は予測震源地の喰い違いから襲来した方角が異なり、実際の波高は最大14・5メートルとしていた予測規模をはるかに上回って主要建屋付近の水深は試算の2倍に達していたので「仮にこの試算に基づいた対策を講じていても被害を防ぐことはできなかった」とする極めて合理的な判断によって国の責任を否認し、原告の賠償請求権を棄却したのです。ただし、4人の裁判官のうち検察官出身の1人だけが「国や東京電力が真摯な検討をしていれば事故が回避できた可能性は高い」と根拠不明の反対意見を述べました。
これを受けて原告を国と東京電力が発生させた「人災」の被害者扱いしているマスコミは「福島では自分の店を経営して生活には余裕があり、子供の将来に夢を膨らませていたが、避難先では雇われの身なので収入は大きく減り、常に周囲に気を使う不自由な生活を送っている」式のお涙頂戴の愚痴紹介の記事で紙面と放送時間を浪費して、最高裁の判決の冷酷非情さを強調する印象操作を演出していました。
しかし、地震発生の予測と言えば駿河湾を震源とする東海地震は対策に巨額の予算を投じ続けてきながら半世紀近くが経過しても音沙汰はなく、地盤が安定している安全地帯と言われていた熊本で大地震が発生するなど、それを根拠に国が対策を講じなかったことに過失責任を求めるのは無理があります。また岩手県宮古市の湾の入り口には過去の津波被害を根拠にして小沢一郎(敬称不要)が建設利権で建設した地元では「万里の長城」と呼ばれている強大な防波堤が存在しますが、東北地区太平洋沖地震の大津波は易々と乗り越え、防波堤を過信して避難を怠った多くの住民が犠牲になりました。小沢一郎が東京電力の試算に目をつけて同様の巨大堤防を福島県の太平洋岸に建設していれば宮古市のように大津波が乗り越え、原子力発電所を破壊して放射能漏れが発生しても国の責任を問う訴訟は起こさなかったのでしょうか。ちなみに政権与党・民主党の重鎮になっていた小沢一郎は震災復興も利権にしようと同様の巨大堤防を東北地方の三陸海岸に建設させています。
結局、今回の訴訟は震災後、避難地域を回って粘り強く不満を煽り立ててきた共産党の戦果であり、マスコミに踊らされて恨み節を叫んだ避難者は可能な限りの同情を寄せてきた国民の目には「忘恩の徒」に堕ちてしまいました。震災後に過酷な運命に黙って耐える古き良き日本人を再現して世界中を感動・敬服させた東北人も今回の愚痴と恨み言を吐き散らす醜悪な姿に擦れ薄れさせてしまいそうです(朝日新聞が発信・拡散するでしょう)。
- 2022/06/20(月) 11:41:08|
- 常々臭ッ(つねづねくさッ)
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