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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ189

「根拠のない不安の扇動とは具体的にどのような報道を指しておられるのですか」編集部からのメールが途絶えた日本人の記者たちが黙ってスマート・ホンを睨んでいる中、ヨーロッパ系の記者が質問した。福島第1原子力発電所の事故ではヨーロッパのマスコミが先に放射能汚染の健康被害を過剰に扇動し、市民団体の日本産の農水産物の不買運動を発生させた。実は韓国、、台湾、フィリピン、マレーシアなどアジア圏の不買運動はそれの請け売りだったのだ。
「逆にあの時は何を根拠に福島県、我が国で発生していた程度の放射線が人体に悪影響を及ぼすと報道したのか訊きたいものだ」マスコミでは記者会見での逆質問はタブー視されているのでヨーロッパ系の記者は呆気に取られて隣りの席に記者を顔を見合わせた。
「あの時は日本国内でもマスコミ報道に迎合した大手スーパーが福島県産の農水産物の不売を宣伝し始めたが国民の批判を浴びて中止した。最も身近で影響を受ける日本人が冷静に判断しているのに遠く離れた海外のマスコミが机上の論理で危険を喧伝したことを自民党政権なら容認しなかった。実際、加倍政権はヨーロッパで輸入制限を実施している各国政府に実際の放射能の影響を説明して解除を実現したが、君たちも健康被害の報告は受けていないだろう」この説明に編集部から反論のメールを受け取っていた日本人の記者たちは困ったような顔で再びスマート・ホンを睨み始めた。そこで別のヨーロッパ人の記者が手を上げた。
「それでは当時の民政党政権の放射能対策は無駄だったと言うんですか」「民政党政権が改定した生活放射線の安全基準は原子力発電所を遠隔地に建設して万が一の放射線漏れ事故が発生しても影響から隔離されている首都圏で観測される最大値を上回る学術的な数値を当用しただけだ。実際に民政党政権がその安全基準を守るためにやったのは全国の原子力発電所を停止しただけで必要な電力量を確保するために火力発電所をフル稼働させることになった。ところがヨーロッパで環境問題が提起されると今度は火力発電所まで停止しろと言い始めた。日本の火力発電所は燃焼効率が極めて高いから排気中の炭素含有量は微量なんだ。それなのにヨーロッパの環境団体は性能が悪い自分たちの火力発電所と同一視して批判を繰り返している。批判するなら世界最大の炭素性ガス排出国だろう。我が国も悪影響が及んでいるが」話題が環境問題に偏ってきたので記者たちは本題を再確認した。
「大韓日報の朴です。日本政府が韓国軍の災害派遣を拒否しているのは両国が敵対関係にあると認識しているからなんですね」石田首相はヨーロッパ系に代わるアジア人の容姿の記者が韓国の新聞社とは気づかず挑発的な質問に戸惑ってしまった。この沈黙をマスコミは動揺と受け取り、テレビは石田首相の顔を大映しにして眼鏡の奥の細い目の黒目の動きを放送した。
「韓国は前政権末期から現政権に移行してからも海上自衛隊の対潜哨戒機の撃墜、航空自衛隊の緊急発進した戦闘機の撃墜とパイロットの射殺、竹島守備隊の襲撃と殺害事案の捏造、対馬海栗島のレーダー・サイトへの地対地ミサイルによる攻撃と隊員の殺害、続く対馬の不法占領と事実上の武力攻撃と侵略行動を繰り返してきました。これは通常の国家間であれば戦争状態と言えるでしょう。しかし、私は加倍政権の外務大臣として対立の極地に至っていた朴槿恵政権との外交交渉を担当して日韓合意を締結した経験から外交交渉による平和的解決を願い、信じてきました。ところが・・・」ここで石田首相は口をつぐみ、唇を噛んだ。やはり北朝鮮が弄している核攻撃を宇宙ロケットの発射実験の失敗との弁明を韓国が追認したことは過去の一連の事件とは別格の重みを持って受け取っているようだ。
「韓国はこれまで表向きはアメリカに同調して北朝鮮の核実験や弾道ミサイルの発射実験を批判してきても国内では南北統一が実現すれば北朝鮮の核兵器を共有できると言うのが国民の声だと聞いていました。今回の対応でそれが単なる風説ではないことを実感せざるを得ません」これは攻勢に出た記者に押されながら落とすはたき込み的答弁だ。すると隣りの席のアジア人の記者が代わって質問した。こちらも韓国系らしい。
「半島タイムスの白です。北朝鮮の宇宙ロケット発射の事前通告を受けていながら日本海側の原子力発電所を停止しなかった日本政府、石田政権の責任はどう考えますか」」「今回は事故に備えての弾道ミサイル破壊措置命令を発令していませんよね」白の質問に大韓日報の朴も勝手に補足した。この様子では韓国系新聞の記者は韓国政府が公式発表した「空中分解した宇宙ロケットの部品がしたことによる偶発的事故」と言う見解をあくまでも覆す気はないようだ。
「稼働中の原子力発電所の停止には段階を踏んでの長い時間を必要とします。緊急停止は原子炉の破損などの危険性があり最終手段です。今回、北朝鮮が宇宙ロケットの発射実験を通告してきたのは3日前なので到底間に合いませんでした」実は加倍政権でも今回の事態を危惧して原子力発電所の事前停止を検討したことがあったが結論は同じだった。
  1. 2022/07/18(月) 14:43:50|
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