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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ190

「北朝鮮は間接的核攻撃を実施した。これは国際社会の秩序を根底から破壊する暴挙であり、武力制裁の対象とするべきである」数日後の国安全保障理事会でアメリカの国際連合大使は北朝鮮への武力制裁に言及した。これまでアメリカはニューヨークの国際連合本部近傍の公園を含む全米各地で続けられている中国系と半島系移民による数万人規模の反日デモが暴動に発展することを恐れて正面から日韓、日中の武力抗争に関与してこなかった。しかし、今回の弾道ミサイルによる原子炉破壊は核兵器を保有しない国家やテロリストにも核攻撃が可能であることを実証した暴挙であり、決して容認できることではなかった。
「あれは宇宙ロケットが誘導に失敗して空中分解した部品が日本の原子力発電所に落下した事故であって責任の大部分は事前に通告を受けながら予防措置を取らなかった日本側にある」当然のように中国の国際連合大使は反論した。アジア圏内は言うまでもなくアメリカやヨーロッパでも中国資本が経営権を握っているマスコミが同様の論説を拡散しているが、最近は日韓、日中が公表している事件の証拠資料の検証を個人的に進めている各分野の専門家たちが日本側の説明の信憑性を評価するようになっている。さらに東アジアの移民が公園や公共広場を占拠し続けていることに苛立ちを積のらせてきたヨーロッパ系市民の方が危険度を増しているのでホワイトハウスとしても自縛を解くことを決断したようだ。特に大統領自身は今は亡き加倍首相が安全保障関連法によって日米相互防衛を実現した場面に副大統領として立ち合ったので内心には日米安保条約の発動には固い決意を抱いている。だから海軍にはアメリカのマスコミの目が届かない場所での戦闘を含む自衛隊との協同作戦を命じたのだ。
「我が国政府の専門部署の映像解析によれば破壊された3基の原子炉には数十センチ単位の精度で弾頭が命中していて周囲の施設には損害は及んでいない。また弾頭は原子炉の上にあった建物の屋根と階下の床を突き抜けて地下の原子炉に達しており、部品の落下による偶発的な事故とは絶対に考えられない」中国の反論に続き常任理事国と非常任理事国が丸い席の順番に意見を述べ終わるとアメリカの女性大使はスクリーンに画像を表示して説明を始めた。本来は先に動かぬ証拠を見せるべきなのだが、国際会議では腹の探り合いから始めるため最初に提起された問題に対する見解を披瀝させるのが一般的だ。
「さらに原子炉は内部での核反応に十分に耐え得る強度を持っているので爆発力を持たない部品の落下で破壊することは不可能であり、意図的に破壊したと考えるのが常識です」アメリカは日本政府から提供を受けた情報収集衛星の画像を使用したが「我が国政府の専門部署」と説明することで国家秘密の保全に配慮した。
「そこで1つ問題になるのは北朝鮮に弾道ミサイルを数十センチ単位の精度で着弾させる誘導技術があるのかと言うことです。これまで北朝鮮が当理事会の再三の中止勧告を無視して日本海や太平洋で繰り返してきた弾道ミサイルの発射実験では命中精度の飛躍的向上は確認できてもこのレベルにまでは至っていません。つまり高精度な弾道ミサイルを開発している第3国が技術を提供した可能性が極めて高いと言うことです」「その国も武力制裁の対象にするのか」アメリカの大使の見解にアフリカの非常任理国の大使が質問したが、議長の指名を受けていないので却下された。アフリカ諸国の多くは中国の武器供与と軍事指導によって民族紛争を繰り返した結果の勝者が政権を握っているので事実上の傀儡国家なのだ。
「我がロシア連邦はチェルノブイリ原子力発電所の事故で放射能の流出を抑える技術の開発に全力を挙げてきた。今回日本で発生した原子炉破壊の原因については議論と検証を継続するとしても放射能の抑制には全面的に技術提供する用意がある」アフリカの大使の質問が却下されたことで議論が中断した席で唐突にロシアの大使が提案した。ロシアは2022年2月24日のウクライナ侵攻以降、常任理事国の資格停止要求まで公然化するほど窮地に陥っていたのでここで疑いを招くことは何としても避けたいのだろう。
「それは放射能を中和するとか言う薬剤のことかな」「中和じゃあなくて無毒化だろう」「重水素だったかな」ロシアの大使の提案は常任理事国と非常任理事国よりも記者席が反応した。ヨーロッパではウクライナ侵攻でロシアの大統領が西側の経済制裁や軍事支援を牽制するため核兵器の使用をチラつかせたことで市民の間で核戦争への恐怖が流行していて、今回の原子炉破壊については福島第1原子力発電所の事故の時とは別次元の関心を呼んでいる。
「まさかロシア軍の核対処専門部隊を派遣すると言い出すんじゃあないだろうな」「狙いはウクライナでの中国への返礼のついでに日本を軍事占領することだ」ロシアを揶揄する会話には中国資本に買収されている新聞社の記者も加わっている。やはりアジア圏を席捲している毛沢東主義もヨーロッパやアメリカではジャーナリストまで洗脳できるほどの魔力はないようだ。
  1. 2022/07/19(火) 12:53:06|
  2. 夜の連続小説9
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