fc2ブログ

古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

名声優・小林清志さんと大竹宏さんの逝去を悼む。

野僧の世代に小林さんと言えば古くは昭和41(1966)年の「遊星仮面」の主人公で敵対する地球人の父親とピネロン人の母親の間に生まれたピーターの父親(すでに死亡しているので回想シーンのみ)、同年の「鉄腕アトム」のアトムを作った天馬博士、昭和43(1968)年の「妖怪人間ベム」の主人公・ベムなどの他は「黄金バット」「パーマン」「悟空の大冒険」「マッハGoGoGo」などの脇役になりますが、野僧にとっては昭和44(1969)年の「巨人の星」のオズマ・アームストロングが代表作です。小林さんは旧制中学校時代から英語が得意だったと言うだけに少し訛った日本語が真実味を与え、オズマがセントルイス・カージナルスから中日ドラゴンズに1年間移籍して星一徹コーチの指導を受けた時の確執と心服、見えないスイングを引っ提げてアメリカに凱旋してからの栄光、そしてベトナム戦争での負傷と死の物語は画面だけでなく小林さんの台詞にも涙を絞られました。特に記憶に残っているのは戦傷の悪化でカージナルスから解雇の通告を受けて抗議に押し掛けたオズマが退室する時、監督に「この車椅子は球団が贈ってくれたのか」と訊ねると「私のポケットマネーだ」と答え、すでに球団から見捨てられたことを悟る場面です。結局、オズマは育った家のベッドに横たわり、ベトナム戦争で贈られた勲章を握り締めながら「俺が得た物はこれだけだったんだ」と絶叫して死にました(号泣)。
一方、愚息たちの世代は実は昭和46(1971)年から放送が始まった「ルパン3世」の次元大介です。実は「ルパン3世」の作者のモンキー・パンチさんはアメリカ版「七人の侍」=「荒野の七人」に出演していたジェームス・コーバンさんをイメージして次元をキャラクター・デザインしたそうで、顎と口の形が似ていると言うことで洋画の吹き替えが専業だった小林さんはアニメ化が決まった時点で出演が決定していたそうです。
大竹宏さんは昭和38(1963)年の「狼少年ケン」の仲間のブラック(狼でも台詞はあった)、昭和40(1965)年の「オバケのQ太郎」のラーメンばかりを食べている小池さん、昭和41(1966)年の「おそ松くん」のダヨーン(存在感がある脇役)、昭和42(1967)年の「パーマン」のチンパンジーの2号=ブービー(猿の声しか台詞はなかった)、昭和43(1968)年の「怪物くん」のドラキュラ、昭和44(1969)年の「もーれつア太郎」のニャロメ(猫でも台詞はあった)や「紅三四郎」の愛犬・ボケ(犬の鳴き声だけ)などがありますが、野僧一家の代表作は何と言っても1988年から8年間放送された「キテレツ大百科」のブタゴリラに代表されるガキ大将役です。野僧としては昭和44(1969)年の「ひみつのアッコちゃん」の大将=赤塚大作も印象に残っていますが愚息たちが子供の頃には再放送しませんでした。
大竹さんは初期のアニメ制作では声優が台本を読むのを録音するだけだったのを洋画の吹き替えのように出来ている場面を見ながら演じるように改革し、動物の鳴き声での感情表現にはかなり腐心していたそうです。衷心より感謝を込めて冥福を祈ります。
  1. 2022/08/11(木) 15:23:36|
  2. 追悼・告別・永訣文
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<続・振り向けばイエスタディ214 | ホーム | 続・振り向けばイエスタディ213>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://1pen1kyusho3.blog.fc2.com/tb.php/7835-27ac4a07
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)