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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

8月31日・イギリスで切り裂きジャックがデビューした。

1888年の明日8月31日にイギリスでも下層民が暮らすホワイトチャペル地区で次々に売春婦を極めて残忍な方法で殺害し、遺骸を解体した猟奇的連続殺人事件で「切り裂きジャック」と呼ばれる犯人によると思われる最初の事件が起きました。
「切り裂きジャック(英語ではジャック・ザ・リッパー)」と言う名前は勿論、仮名で事件後、捜査に当たるロンドン警視庁宛てに犯人を名乗る人物たちから届いた多くの書簡の1つ「親愛なるボスへ」で自称していた名前を新聞や雑誌が取り上げたことで有名になり、犯人が現時点まで逮捕・判明していないため定着してしまったのです。
現場となったホワイトチャペル地区は当時のロンドンの市街地では東端=イーストエンドのテムズ川の北岸に辺り、19世紀半ばからアイルランド系移民が住むようになり、続いて帝政ロシアでの迫害から逃れたユダヤ人が集団で移り住むようになると労働条件や住宅事情が悪化して生活苦から強盗や恐喝が頻発した上、衛生環境も劣悪になったためロンドン市民の反ユダヤ感情が激化して暴行や殺人事件が常態化していました。
また夫が働き口を見つけられないため妻が売春で生活費を稼ぐしかなく、当時のホワイトチャペル地区には62軒の売春宿で1200人の娼婦が働いていて、それ以外の女性たちも街角に立って客を引き、233軒の簡易宿泊所には毎晩約8500人の男女が宿泊する一大売春地帯と化していたようです。
そんな中、1888年4月3日から1891年2月13日にかけて売春婦が殺害される事件が11件続いたのですが、このうち8月30日のメアリー・アン・ニコルズさん、9月8日のアニー・チャップマンさん、9月29日から30日の間のエリザベス・ストライドさんとキャサリン・エドウッズさん、11月9日のメアリー・ジェーン・ケリーさんの殺人事件は残忍な手口と異常な遺骸処理が共通していることからカノニカル・ファイブと呼ばれて同一犯=切り裂きジャックによる事件とされています。
この5件の手口は先ず喉を刃物で深く大きく切って致命傷を与え(多くは首の骨だけで頭部がつながっていた)、続いて性器や乳房を抉り取り、さらに腹部を開いて子宮や卵巣ほかの内臓を取り出して遺骸の周りに並べ、さらに鼻を切り取り、顔の皮を剥いで頭蓋骨を露出させると言う異常な残忍さですが、その一方で熟練した作業から精肉店員、屠殺業者や外科医まで捜査対象になりました。
日本では明治になって10年後とは言えサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイルさんが1887年に名探偵・シャーロック・ホームズ・シリーズの「緋色の研究」、1891年に「四つの影」を出版しているので当時のロンドン警察の捜査手法や科学鑑識の水準は具体的に理解できますが、鑑識医によるプロファイリングなども行われていて被害者が全て移民の娼婦だったにも関わらず国家の威信を賭けた大捜査だったようです。しかし、前述のように現時点まで犯人は特定されていません。
その後、ホワイトチャペル地区は移民を退去させての再開発が進められ、現在はファッションモールが建ち並ぶ最先端の街になっているそうです。
  1. 2022/08/30(火) 14:15:35|
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