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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

TBS「空飛ぶ広報室」について9

今回は自慢話から始まることをお許し下さい。
いきなり警備小隊が歩哨犬と使って侵入者を捜索、捕獲する場面から始まりましたが、これを航空自衛隊に持ち込んだのは野僧なのです。
警備小隊長だった時、米軍がベルジャン・マラノイ(最近はベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアと呼んでいるそうです)と言う犬種を使っていることを知り、横田基地の米空軍憲兵隊まで研修に行ったのですが、それにドラィバーとして同行した入間基地の歩哨犬訓練所の教官は、犬種だけでなく自衛隊と全く違う運用法にカルチャーショックを受けていました。
自衛隊では歩哨犬を重要警備地点のランニングチェーンにつなぎますが、米軍はそのような番犬式ではなく、常に隊員が同伴し命令で不審者を捜索、威嚇、攻撃、捕獲させるのです。
米軍はその実施方法まで実演して見せてくれましたが、野僧の通訳で具体的な質問もできたので、教官は満足し、空自でも導入に向けて研究すると言っていました。
その後、野僧は警察で米軍式の使用法が日本国内でも違法ではないことを確認し、自分の基地でも研究を始め、航空祭で実施しましたが、犬は本来、人の殺傷を目的とした武器ではないため、その使用により相手が怪我をしても武器使用にはならないのです。これが結実していることを知り非常に感激しました。
ちなみ「歩哨犬が2等空曹」と言うのは「旧陸軍の軍用犬が兵隊よりも上の伍長だった」との風説を踏襲したものですが、実際は高価格品、つまり物品扱いです(詳しくはブログ「航空自衛隊怪僧記」、小説「続・亜麻色の髪のドール」にてどうぞ)。
横田憲兵隊
次にブルーインパルスが登場しましたが、野僧は東京オリンピックの開会式で空に五輪を描いたF-86F、通称「86(ハチロク)ブルー」からT―2ブルー、そして現在のT―4ブルーを見たことがあります(86ブルーは渥美半島沖の太平洋上空で訓練していました)。
T-2ブルーは、スマートな機体で見栄えはよかったものの急旋回、低速度、低空での飛行性能が劣り、展示飛行には向かない機体で、演技をしてもそのまま視界から消えてしまう欠点がありました。このため8機編成にして6機の編隊飛行の合間に2機の演技でつなぐ変則的な構成にしていました。ところが浜松基地での下方開花(編隊で垂直に急降下しながら地上寸前で引き起こして開花する)中に墜落事故を起こし、さらに松島での訓練中にも墜落事故を繰り返したため、安全対策として演技の項目の大半が削除され、ただ編隊を組んで上空を通過するだけになっていました。
続いて登場したT-4ブルーですが、上昇力、旋回性能には定評があり、まさにアクロバット用に設計したような機体であるものの、運輸省・国土交通省に提出した安全対策を取り下げることは許されず、可能な範囲で演技を作る試行錯誤が続けられていました。
ですから大画面のビデオとは言えブルーエンジェルス(米海軍&海兵隊)、サンダーバーズ(米空軍)、スノーバーズ(加空軍)、レッドアローズ(英空軍)、バトルイユ・ド・フランス(仏空軍)、フレッチュ・トリ・コロール(伊空軍)などの映像を見馴れていた野僧にとってT-4ブルーの演技は、やはり安全管理の縛りがあって演技の難度が落ちるように思います。
一例をあげれば編隊を組んだ時の機体の間隔が広く(86ブルーや他のアクロチームは翼が重なって当たっている)、また急降下しながらの演技も殆どなく、横向きにアレコレやっていますが、機体がミルミル迫ってくる迫力には敵いません。
米空軍のサンダーバーズも編隊が全機滑走路に突っ込む事故を起こして演技に制限が加わりましたが、あちらは軍内の自己規制ですから公務員労組が反自衛隊の立場で足を引っ張る日本の運輸省、国土交通省の意図的な妨害とは違います。
ですからパイロットの憧れと尊敬はブルーインパルスよりも本当に極限まで飛ぶことができるアグレッサー(飛行教導隊)に移っているようです。
ブルーインパルス1T-2ブルー
ブルーインパルス3下方開花
ブルーインパルス4墜落
ちなみにブルーインパルスはパイロットスーツだけでなく、整備員の作業服も特注です。
ところでチャンバー(飛行資格)の検査・訓練を入間基地で受けると言っていましたが、チャンバーの航空医学実験隊は立川分屯基地あると思います(4ケ所にあるとのことなので、新たに出来たのかも知れませんが)。
気圧を急激に下げて鼻をつまみ耳に空気を吹き込んで鼓膜を押し出したり、低酸素状態の中、酸素マスクを外して簡単な作業をしたり、遠心力で圧を加えて高いG状態を体験したりと1日でクタクタになりますが、これがパスできないと上空で空気圧が下がり鼓膜が破れ、低酸素で失神することもあります。
最後に鷺坂室長が「定年退官後はしばらく亡き妻が行きたかったであろう場所を旅する」と言っていましたが、退官後に引き続き就職しないと防衛省、自衛隊の就職支援を受けられなくなり、保証人もなく自力で探すことになります。
同じ自衛隊員でも自衛官は階級ごとに定められた年齢の誕生日の前日、事務官、技官は60歳に達した3月31日付で退官になります。これは自衛官の雇用基準を定める法令が年齢しか規定していないことによります。
その点、米軍は身体検査と体力測定の基準さえクリアできれば何歳までも勤務できます。
おまけに米軍の士官・将校は立候補した者だけで競わせて昇任させますから(ただし、3回立候補して昇任できないと予備役編入です)、今の階級、役職で満足しているのなら健康と体力を維持できれば何歳までも勤務すればいいのです。
空井くんが「美しいから飛べるんです。飛行機は」と言っていましたが、航空機は無駄を徹底的に排除して設計されていますから、究極に洗練された機械なのです。
ある機体は後から加えた電子機器を収めるための約10センチの出っ張りがあるため空気抵抗が増大し、大幅に燃費が落ちました。そこで出っ張り部分を滑らかな傾斜にすると燃費は改善したそうです。航空機の美しさはこうして作られるのです。
現在、空自内では登場人物のモデルは誰かと言う推理が流行っているそうですが、モト冬樹さんが演じている浅野空幕長は野僧の親分・平岡裕治閣下で間違いないでしょう。
顔、口調がそのままであることも勿論ですが、浅野空幕長の胸にはウィングマーク(パイロットの徽章)がなく、パイロットでなかった空幕長は最近では平岡閣下くらいしか思い当たりません。
今回気になった場面ですが、いつもは「先輩」「柚木3佐」と呼んでいる槙3佐が柚木3佐に「お前が泣いてどうする」と言っていました。2人の仲はかなり進展しているようです。
次回の最終回は2年後の話ですが、果たしてゴールインしているのか?
平岡裕治閣下
平岡裕治閣下です。どうですモト冬樹さんよりも男前でしょう。
野僧の退職の決裁を1ヶ月間保留され、「まだ説得できないのか?」と繰り返しておられたそうですが、間に挟まっていた第6高射群第22高射隊長と第6高射群総務人事班長が辞めさせたがっていましたから、「将来、部内出身初の将官になれ」と言う閣下の期待を裏切ることになってしまいました(それは車力で机を並べた曹候学生の後輩に託しています)。
  1. 2013/06/18(火) 11:24:41|
  2. 「空飛ぶ広報室」解説
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