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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ294

私はKLM321便が強制着陸させられた後、トルコフ中佐に連れていかれた基地の司令部で強く要求した通り、司令部の一室で行われているドゥーフ機長とポンぺ副操縦士の取り調べに立ち会っていた。2人は司令部内の小部屋で1人ずつ居住しているが士官待遇を受けているようで「意外に快適だ」と言っている。しかし、ドゥーフ機長は乗客と乗務員の処遇を教えてもらえないことで気を病んでいた。実は私も収容所になっている士官宿舎と司令部の建物を車両で往復するだけなので別々の施設に収容されたらしい日本人と外国人の乗客、客室乗務員の現状に関する情報は何も持っていない。情報収集のためロシア語が理解できることを秘匿しているので監視の兵士や往復する車両の運転手の下士官に訊くこともできなかった。
そんな数日後、腹の具合が悪くなって司令部の下士官兵用のトイレに掛け込むと兵士たちの雑談で許し難い現実を知ることになった。後から3つ並んだ個室に入った2人の若い兵士がロシア語で馬鹿話を始めた。自衛隊ではトイレの個室を自慰行為にも使うが、2人はズボンを下ろして大便器に座る音が聞こえたから確かに用便のようだ。尤も海外のトイレの個室の扉は人物を隠す程度の扉しか付いていないので用便と自慰行為は一目で識別されてしまう。
「キエ・コモリかァ、あれは好い女だな。今夜が楽しみだ」「流石はキャビンアテンダントだ。責めまくって快感に溺れさせても喘ぎ声は上品なんだ」「お前が馬鹿なことを言うから姦りたくなっちまったよ」私は大便器に座ったまま2人の下卑たワイ談に唯一の日本人客室乗務員だった小森希恵の名前が出たことに唖然とした。
「あの生真面目そうな小森希恵がどうして兵士たちの性行為の対象になっているのか」推理しても答えはレイプ以外に浮かばない。ロシア軍の戦場性犯罪はウクライナでも嫌と言うほど見聞してきたが、この基地内の文民収容所でも発生していることになる。
「我慢できねェぞ。タンチャに言って昼休みに姦りにいこう」「タンチャのマ■コって名前はパラヴォアクト(ロシア語の性行為)のことだろう」今度はさらに許し難い名前が出た。梢の元夫・谷茶満庫は同じ旅行社の添乗員で、同級生の同期入社なのを口実にして言い寄っていた。梢は内心では嫌悪していたが、それでも同僚として接していると私と別れた傷心を慰める振りをして泥酔させ、アパートに押し入ってレイプした上、裸身の写真を撮って脅して結婚に応じさせた。当然、梢から名前を聞くことはないが淳之介とあかりが結婚した時、戸籍謄本の写しを見せられて父親欄にあった名前で氏名を知ってしまった。梢が生まれた頃は本土復帰前だったので満庫と言う名前は沖縄式に音読みにしていたのかも知れないが、復帰後は本土の言葉で性行為を意味する「マ■コ」は奥武山公園の地名の漫湖でさえ口にできないので「ミツクラ」とでも訓読にしていたのだろう。谷茶が小森希恵のレイプに関わっているとすれば放置できない。本当は肛門を拭き終わって出るところだったのが、このまま3人分の悪臭が充満したトイレで情報収集することにした。ただし鼻は摘んだ。
「大体、アイツはウラジオストックで朝鮮人の女を使った買収宿を経営していて逮捕されたんだろう。日本語の通訳として呼ばれて早速、商売を再開したんだな」「キエ・コモリも商売用の薬を飲ませて姦ったらしいぞ。その薬でロシア人の女も性欲に狂わせて日本人相手に売春させたそうだ。それで逮捕されたんだって」要するに谷茶満庫はロシアの極東における海の玄関口のウラジオストックで出稼ぎに来ている北朝鮮人女性を使った売春宿を経営していたようだ。谷茶が旅行社を退職した後の経歴は知らないが、貿易港で海軍基地のウラジオストックで売春宿を開業する商売のセンスは中々のものだ。それで調子に乗ってロシア人女性の日本人相手の売春にまで手を広げたのが運の尽きだったらしい。おそらく女性を売春婦にするのにも兵士たちが売春用の薬と呼んでいる媚薬を用いて正気を失わせて快楽に溺れさせるのを常套手段にしていたのだ。問題は媚薬を小森希恵に投与して性欲を過剰に高揚させて兵士たちの慰安婦にしたことだ。突然に理解不能の嫌疑で戦闘機の要撃を受け、ロシア軍基地に強制着陸させられ、身柄を拘束されて不安に囚われている同胞女性をロシア兵の性玩具に堕としたことだ。私の胸に国際刑事裁判所の次席検察官であることを告白した時に小森希恵が見せた不思議な笑顔が浮かんだ。あの時、小森希恵は謎が解けた快感と身近に専門家を得た安堵、坊主の格好をしている理由への好奇心が入り混じった顔をしていた。あの小森希恵が兵士に性的に責められて快感に溺れ、上品な喘ぎ声を上げているのだ。
「そのおかげで俺たちは高級な慰安婦を使えるようになったんだ。昼休みが終わる前に日本人の収容所に行くぞ」「今、ケツの穴を吹いているんだ。待ってろ」私は兵士たちの前に水を流してトイレを出た。手を洗うのを省略して廊下で待っているとこれから小森希恵を抱くらしい兵士たちが出てきた。自衛隊にもよくいる普通の若者たちだった。
  1. 2022/11/01(火) 15:15:27|
  2. 夜の連続小説9
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