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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

11月5日・世界の大衆車の頂点・トヨタ・カローラが発売された。

昭和41(1966)年の明日11月5日に1974年に車別生産台数で世界1位になり、1997年には累計販売台数でフォルクスワーゲン・ビートルを抜いてギネス世界記録に登録され、現在も年間販売台数1位を記録し続けている日本だけでなく世界の大衆車の頂点・トヨタ・カローラの販売が開始されました。
発売当時、野僧はトヨタの本社工場がある豊田市の隣りの岡崎市に住んでいましたが、父親が系列会社に出向していたので社宅には軽自動車ばかりでした。ところが小学6年で親会社に戻って社宅を変わると普通車の展示場になっていて日産のサニーやマツダのファミリアよりもトヨタのカローラが絶対多数でした(カローラ・スプリンターも混じっていた)。思い返して見ると登下校の途中で見たハイヤーや黒塗りの社用車・公用車も日産のセドリックやグロリアよりもトヨタのクラウンでした。余談ながら毎朝、白い鬚を蓄えたお爺さんが山高帽をかぶって運転するかなり古いタイプのロールスロイスが通って行きましたが(エンジン音で気がついて振り返って待っていた)、岡崎市内でも大手の老舗理髪店のご隠居で毎朝、食後のドライブを楽しんでいるとのことでした。
そんな幼い頃から慣れ親しんだカローラですが、自動車マニアの児童が揃って出かけたトヨタ本社への工場見学で聞いた開発された経緯は800ccクラスの小型乗用車のパブリカと1500ccクラスのクラウンに次ぐ準・高級車のコロナの間隙を埋める大衆車として企画されたそうです。ところが開発中に名神高速道路が開通し、機能性に特化した「パブリカでは高速道路の最高速度100キロが維持できない」との利用者からの苦情が殺到したためカローラでは走行性も重視することになりました。
さらにライバル社の日産は当時、コロナを凌駕するブルーバードの爆発的ヒットに慢心して社長自ら「金がない人はブルーバードの中古を買いなさい」と公言する状態でしたが、1963年に発売されたマツダのファミリやトヨタのパブリカなどの800ccクラスの小型車が売れ行きを伸ばしていることに危機感を抱いた営業と生産の現場が1000ccクラスの大衆車の参入を強く提言して後のサニーの開発が始まっていて(発売日は7カ月早い同年4月7日)、この情報を得たトヨタは当初の水冷4気筒1000ccのエンジンを1100ccに拡大してこれまでの大衆車の概念を超えた実用性に嗜好性、高級感を併せ持った画期的な車両となったのです。
この性能的余裕が多くの派生形を生み、バン・タイプやスポーツ車のスプリンター、クーペから何が何だか判らないセレスやレビン、スパシオなどが続出してアジア圏ではスポーツカー、南アメリカでは高級車に分類されています。
そのおかげで2002年にホンダ・フィットに明け渡すまで1969年度から21世紀の幕が開けた2001年度まで車名別日本国内販売台数1位を維持してきてトヨタが製造した車両の4台に1台がカローラだったことになり、世界のトヨタの工場で10秒に1台製造されていることになります。ちなみにトヨタは全ての部品をセットで輸出して現地の工場で組み立てるノックダウン生産方式を採用しています。
  1. 2022/11/04(金) 15:53:15|
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