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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

12月3日・対人地雷全面禁止条約が署名された。

1997年の明日12月3日にカナダのオタワで「対人地雷の使用・貯蔵・生産及び移譲の禁止並びに破棄に関する条約=対人地雷全面禁止条約」の署名が行われました。
野僧はスリランカを訪れた時、片足が義足の若者が非常に多いのに驚きましたが、それは長期化する内戦に徴兵で出征してタミル・イーラムの虎の支配地域に踏み込んで仕掛けてあった対人地雷を踏んだことによる戦傷でした。
日本人は地雷と言えば映画などで戦車を吹き飛ばす対戦車地雷を思い浮かべますが、こちらも埋設時に存在を隠蔽するため必要最低限の大きさにする必要があり、戦車本体を吹き飛ばすほどの威力はなくキャタピラを切り、車輪を破壊する程度です。一方、対人地雷はさらに残酷で、小型の物は足の甲から先、足首から下を吹き飛ばす重傷を与えても殺すほどではなく(車両が踏めばタイヤをパンクさせられる)、もう少し威力が大きくなると伸ばしたワイヤーに引っ掛かると跳ね上がって空中で爆発して鉄片で複数の兵員を殺傷する物もあります。特に小型の物は1つ1つ埋設するのではなくヘリコプターなどから泥地の草むらに投下すれば自然に埋没する形状になっていることもあります。
戦争法では地雷の設置場所を地図上に記録し、会戦修了後の排除を交戦当事者に義務づけていますが、前述のように設置時には存在を隠蔽することが基本なので完全な排除は困難であり、排除の作業中に兵士が対人地雷を踏んで負傷することも珍しくなく、カンボジアPKOでも自衛隊の施設部隊は作業現場が激戦地から外れていて、それでも事前の地雷排除を徹底したため触雷事故は発生しませんでしたが、外国軍やボランティアでは多数の被害者が出ているようです。
そんな人間を殺害することなく後遺症を与える対人地雷を非人道的な兵器として全面禁止する運動は1991年にアメリカのベトナム退役軍人財団とドイツの非政府組織が対人地雷全面禁止キャンペーンを立ち上げたことに始まり、1992年にニューヨークで欧米の6団体が参加した地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)が発足したことで本格化して、1996年にカナダのオタワで対人地雷全面禁止に関する国際会議が開催されて決定した内容を1997年9月18日にノルウェーのオスロでの起草会議で条文化すると同年12月3日にオタワで署名が行われ、1999年3月1日に発効したのです。
日本も1997年12月3日に署名して1999年3月1日に発効させていますが、オタワ会議に先立って外務省は陸上自衛隊に対して加盟の可否を問い合わせたそうですが、航空自衛隊にはありませんでした。警備幹部として野僧に確認があれば滑走路地区の警備用に指向式散弾地雷=クレイムア(1基250ドル)の導入を業計要望していたのでこの条約での取り扱いを質問したのですが、調印後にマスコミ報道で知って航空幕僚監部防衛部を通じて外務省に確認したところでは人間による作動が条件で対象外になったそうです。
2020年12月1日現在で加盟国は164カ国で未署名はアメリカ、ロシア、中国の常任理事国=軍事大国やインドとパキスタン、38度線に設置している韓国と北朝鮮、イスラエルとエジプト、サウジアラビア、イラン、シリアなどの中東諸国です。
  1. 2022/12/02(金) 14:40:16|
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