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古志山人閑話

野僧は佛道の傍らに置き忘れられた石(意志)佛です。苔むし朽ち果て、忘れ去られて消え逝くのを待っていますが、吹く風が身を切る声、雨だれが禿頭を叩く音が独り言に聞こえたなら・・・。

続・振り向けばイエスタディ369

「屯田くん、嫁さんは帰って来たかね」「まだです。時々は連絡してくるようにはなりましたが、誰かが見張ってるみたいであまり話が弾みません」エレナが航空自衛隊の中国地方の日本海側の某基地へ行って数週間が経過した頃、バイクで配達に向かう屯田局員は栗野駐在所の警察官に声をかけられた。最近、エレナは屯田局員が帰宅して夕食後に自室でテレビを見始めた時間にスマートホンに連絡してくるようになったが口調には妙に緊張感があり、仕事の話題には絶対に触れないので誰かの監視を受けていると推察している。
「君には辛いだろうが、現状では自衛隊の基地に保護してもらうのは最高の安心だよ。若し嫁さんが反ロシアのチェチェン出身と知られれば在日の半島人や中国人に襲われるかも知れない。その点、自衛隊の基地なら守りは鉄壁だ」確かに下関市内のコリアタウンの住人は日韓の武力衝突が発生しても親日的な態度を維持して両国の和解を呼びかけていたが、地域の代表夫婦が残酷に殺害されてからは口をつぐみ、どこからともなく現れた半島人の若者たちが防衛作戦を主導する双木外務大臣の自宅や家族をつけ狙い、対馬から山口県内に避難してきている島民への嫌がらせを頻発させるようになっている。いくら近所の住人たちが守ってくれていても所詮は高齢者であり、凶暴な若者たちに襲われればエレナが無事でいられるとは思えない。
「それよりも屯田くんに注意しておきたいことがあるんだ。こんな状況でも選挙は行われる。だから双木大臣も下関市に帰ってくる。そうなると暗殺を狙う人間が潜入する惧れがある。外国からの潜入となるとこの辺りも危ない」「加倍さんに続いて双木大臣ですか・・・下関市は立ち直れなくなりますよ」山口県警では陰謀の疑いさえ抱かせる奈良県警の大失策によって加倍元首相が暗殺されて以降、県内選出の国会議員の警護には全力を傾注しているが、双木外務大臣の大学教授の妻は地元でアイドル化していた加倍首相夫人とは違い政治には無関心なので、本人が顔を出さなければ選挙運動が盛り上がらない。双木大臣が実力は誰もが認めるところでも若手議員の応援に徹し切れないことで自民党内での人望において遅れを取り、誰が見ても格下の石田首相の派閥に所属しているのにはそんな背景もある。
「それは恐ろしいですね。俺は一回、鉄砲で撃たれてますからリアルに恐いです」「あの時は加光寺の和尚直伝の凄技バイク・テクニックで逃げられたが、相手がプロとなると難しいかも知れん」警察官は注意喚起を脅迫に換えてきた。それは日本の安全保障と治安維持に身命を賭している自衛隊と警察、海上保安庁、消防だけが共有している現実がさせているのだ。
エレナが某基地に行ってから北海道では陸上自衛隊がヘリコプターや輸送機を撃墜して事実上の戦争状態になり、奄美諸島の複数の島では海上から中国の武装ゲリラが潜入したことが確認されて派遣された陸上自衛隊が不法侵入者として捜索を開始している。こちらはまだ双方に死者が出ていないので都市部の環境団体や動物保護団体が現地に乗り込んで妨害しようとしたが政府が渡航を禁じたため亡国マスコミは一方的な批判報道を繰り広げている。
「俺たちも防弾チョッキを買ってもらった方が良いかな。ヘルメットも自衛隊の奴に替えてもらわないと」「兎に角、不審者を見たらスマホで通報してくれ。重中くんにもよろしく」屯田局員の反応が現実的なのを見て警察官は矢継ぎ早に補足した。仮に屯田や重中局員が不審者を発見して通報してくれば警察官が対処しなければならなくなる。暗殺の任務を帯びて海を越えて潜入してくるのは間違いなく軍の特殊部隊であり、38口径の回転式拳銃の弾丸5発では返り討ちになるのは見えている。それでも任務は遂行しなければならない。
「和尚さん、この間の手榴弾の使い方をもう一度教えて下さい」「韓国軍の特殊部隊が双木大臣を暗殺しに来るって言うんだな。日本の警察も現実が見えるようになったな」屯田局員は加光寺に寄ると傍樹森蔵(ソバジュモリゾー)和尚は参道の掃除をしていた。屯田局員は在日韓国人に銃撃された時、元フランス外人部隊軍曹の傍樹和尚に雑談で習ったバイクの回避動作で命拾いしたことがある。その後、日韓、日中の武力衝突が本格化すると護身用としてMK3手榴弾をもらってハンドル側カバンの底に隠している。今回はそれを使うまさかの事態になりそうなのだ。以前から傍樹和尚は「韓国は政権交代によってアメリカに接近しているように見えるが、支持率は3割に届かず国民世論は依然として反日のままだ。韓国軍は日本への武力行使に踏み切った前政権で陸海空軍のトップが国防部長官を歴任したことで明らかのように反日で固まっている」と言っていた。つまり韓国軍を敵と見ていたのだ。
「韓国軍かァ・・・素人は相手にしないことだ。フランス外人部隊にも入隊者がいたが、戦闘になると残虐過ぎて軍事裁判で有罪になる奴が多かった。護身用なら防弾チョッキと軍用バイク・ヘルメットをやろう。MK3は警察に見つかる前に深い海に捨てておけ」意外な展開で屯田局員は警察官に言っていた護身用装具を入手することができた。

  1. 2023/01/15(日) 13:50:36|
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